「暫」 しばらく
「歌舞伎十八番(かぶきじゅうはちばん)」のひとつになります。もともと、「暫(しばらく)」というタイトルの独立した演目があったわけではありません。「悪人が横暴を極め、善人側の人々を殺そうとしているとき、「しばらく」と声をかけて圧倒的に強い正義の味方が現れ、善人たちを助けて悪人の陰謀を暴く(そのあと悪人の手下たちをなで斬りにして去っていく)」簡単に言うとこんな感じの一連の展開が、お芝居の中の約束ごととしてあったのです。細かい設定や役名は毎回違います。この展開をお芝居の中に使うとき、「『暫』の趣向を使う」という風に言いました。もともとはそんなフレキシブルなものです。どれくらい毎回違うかというと、元禄十年以降の「暫」が入っている作品の一覧を見たことがあるのですが、毎回毎回全部設定と役名が違うものが、24ページ分ありまし...「暫」しばらく
2016/03/21 14:36