ブログの休止宣言をしましたが、緊急寄稿します。 ウクライナ情勢に心を痛めている人が多いと思いますが、私もその一人です。 かつてウクライナ語の学習を通じウクライナの文化に触れた者として、またロシア人の妻を持つ者として、苦悶の日々が続いています。 今もリヴィウに住んでいるかもしれないオレスタは無事だろうか? ロシアにいる妻の両親が、国際的な経済制裁を受けてこれから生活が困窮するのではないか。 とに...
ブログの休止宣言をしましたが、緊急寄稿します。 ウクライナ情勢に心を痛めている人が多いと思いますが、私もその一人です。 かつてウクライナ語の学習を通じウクライナの文化に触れた者として、またロシア人の妻を持つ者として、苦悶の日々が続いています。 今もリヴィウに住んでいるかもしれないオレスタは無事だろうか? ロシアにいる妻の両親が、国際的な経済制裁を受けてこれから生活が困窮するのではないか。 とに...
ブログを再開してから早くも1年が経過した。コンスタントに毎週記事を書いてきたが、そろそろまた充電が必要なようだ。 書きたいことが無くなったらきっぱり休止しよう、そう決めていた。無理やりネタをひねり出してつまらない文章を書き連ねることほど惨めなことはないし、本意ではない。 このブログを3年半ぶりに再開した2021年2月18日、最初に書いた記事が「みのりさんの思い出」だった。みのりさんは私が若かりし頃に思...
ウクライナ語は面白い。ロシア語と同じ東スラブ語群に属するが、歴史的・地理的関係から西スラブ語群であるポーランド語の影響を大きく受けている。近年では日本語で書かれた学習書も増えてきたので、少しでも学ぶ人が多くなってくれれば嬉しい。 さて、ちょっとマニアックな話だが、ウクライナ語には受動の意味を表す特殊な構文がある。 まずは受動態とか受け身と言われる構文について英仏独語でどうなっているかを見てみ...
「日本人は中高6年間も英語を勉強しているのにちっともしゃべれない。」 もはや化石のようなフレーズだが、いまだに賛同する向きも多い。 1980年代以降、何度も英語教育改革が叫ばれ、既に実行されたものもあれば、これから導入される《改革》もあるであろう。 コミュニケーション重視の英語、小学校から英語、大学入試にTOEFLなどの外部試験を導入、英語で授業(ダイレクトメソッド)・・・挙げればキリがない。 しかし、残...
・・・って小川洋子さんあたりのエッセイにいかにもありそうなタイトルだ。 実はこれ、ずいぶん前に「まいにちフランス語(入門編)」を聞いていて出会った表現。(普段は応用編を聴いている私も、初心に返りたい時は入門編を聴く。基本は大事。) ひどい天気のことを un temps de chien 犬の天気 肌をさすような寒さを un froid de canard 鴨の寒さ というらしい。 調べてみると、寒さの方は un froid de loup 狼の...
カフェを後にした二人は、うっとうしいくらいにハロウィンの装飾が施された複合商業施設を通り抜け、エレベーターで最上階の映画館に向かった。見たい映画が特にあるわけではない。でも遠出はしたくないし、人ごみは避けたい。柚葉にとっては、クラスの子どもたちに見つかることが何より悪夢である。今なら人気のアニメも上映されていないので映画館は具合がいい。ただ二人で一緒にゆっくりできたらそれでよかった。 遥か彼方...
本ブログに時々登場し、フェージャと漫才みたいなやりとりをする白石さん。 実在の人物がモデルなのだが、今や本人を離れて勝手にキャラづけが進んでしまい、もはや架空の人物というかフェージャの妄想の産物となってしまった。そして、どうせ妄想するなら小説風に彼女の日常を綴ってみてはどうかと思いついた。 で、思いのほか上手く描写できたのでここに掲載することにした。 (前編・後編に分けて2日連続でお届けします...
私が中高生の頃、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」シリーズなどが大ヒットし、中世ヨーロッパ風ファンタジーが一世を風靡していた。 TVゲームのみならず、小説やTRPGなども盛況で、とりわけ人気があったのが『ロードス島戦記』だ。エルフという空想上の種族の、痩身で切れ長の目と長い耳を持つイメージを決定づけたのは、間違いなく本作品のディードリットだろう。関連するグッズも多数作られ、ネットショッ...
白石さん:えっ、フェージャさん、今日は自分の話ですか? いつもいろいろな言語の記事を書いてますもんね。 しかも読みやすくて面白い。よっ、言葉の魔術師! ※白石さんについては2021年4月15日・21日の記事「白石さん(仮名)」を参照 ・・・あ、ありがとう。 でもさすがにそれほど自惚れ屋ではない。 以前の2021年8月8日の記事「スーパースター」でも書いた通り、世の中には天才的とも呼べ...
私が子どもだった頃、「こども電話相談室」というラジオ番組があった。 調べてみると、TBSラジオで1964年から2008年まで実に44年間も放送されていた長寿番組だったようだ。熱心に聞いていたわけではないが、子どもが投げかけるどんな些細な質問にも、大人たちが真剣に回答していて感心したものである。(いやお前も子どもやん、その頃) 《以下ロシア語が分からない方は★の部分から読んでね》 さて、外国語を学習していると母...
前回と前々回の記事「ウクライナの歌姫」でも書いた通り、かつて私はウクライナ語という日本人にはあまり馴染みのない言葉を勉強していた。 今でこそ、中澤英彦『ニューエクスプレスウクライナ語』白水社2019や黒田龍之助『つばさ君のウクライナ語』白水社2020、『初級ウクライナ語文法』三修社2017などがあり大変恵まれた学習環境ではあるが、当時は中井和夫『ウクライナ語入門』大学書林1991しかなかった。今Amazonで調べてみ...
前編に引き続き、ウクライナの19世紀を代表する女性作家レーシャ・ウクラインカのお話。前編がものすごく長い記事になったので後編はあっさりと短めに。 ウクラインカは多くの抒情詩も書いている。 そのうち初期のものを一つ紹介しよう。(訳はもちろん私) САФОНад хвилями моря, на скелі,Хороша дівчина сидить,В лавровім вінку вона сяє,Співецькую ліру держить.До пісні своєї сумноїНа лірі вона пригає.І з ...
若かりし頃、ウクライナの国民詩人といわれるタラス・シェフチェンコについて勉強していた私。ウクライナを代表する3大作家と言えばタラス・シェフチェンコ、イヴァン・フランコそして今回の記事で扱うレーシャ・ウクラインカ(1871-1913)である*1 かつて日本のネット界隈でも「ティモシェンコたん」として人気が爆発したウクライナの元首相ユリア・ティモシェンコ。彼女の髪型はそのウクラインカをリスペクトしたものだと言...
何事も行き過ぎはよろしくない。 曲がりなりにも教育関係に身を置いているせいか、この業界における差別語(とされる言葉)への知覚過敏には今さら驚かない。もう10年以上前になるだろうか、とある人権関係研修での講師先生の言葉には驚かされた。いわく「目からウロコ」のような当たり前に使っている慣用表現でも、TPOに応じて配慮が必要なのだそうだ。 あれから状況はまったく変わっておらず、最近ではどこかで「片手落ち...
人生で睡眠の次に時間を費やすのはおそらく労働であろう。 ロシアのプロレタリア作家M.ゴーリキー『どん底』には次のような言葉がある。 Когда труд – удовольствие, жизнь – хороша! Когда труд – обязанность, жизнь – рабство! 仕事が楽しみなら、人生は上々だ! 仕事が義務なら、人生は奴隷生活だ! 本当にそう思う。しみじみそう思う。心からそう思う。 今私が従事している事務系の仕事は、就業してもう18年目を迎...
・・・っていうものまねタレントいたなあ。最近全然見ないけど。 語学学習ってまずは真似るところから始まるから、観察眼の鋭いものまねタレントさんたちって語学の上達も早いんじゃないだろうかと勝手な推測をしてしまう。 さて、歴史を顧みると、隣国同志というのは仲がよろしくないのが常である。 領土を接しているわけだからそりゃいろいろ摩擦もあるだろうし、両国が意識し努力しなければ関係は悪くなる。 現在の日...
ドイツ語は難しい。 いや、まあ自分の勉強が足りないだけなのは分かっている。 ドイツ語は大学院生時代に論文を読むために学び始めたので、当初の動機づけが弱かった。 でも始めてみると、ドイツ語ってクールでなんだかカッコいい。「チョウチョ」はドイツ語でSchmetterling(シュメッターリンク)ってなんだかイケてる。機動戦士ガンダムに出てくるモビルスーツの名前みたいだ。 ロマンス語系でもスラブ語系でもない、ゲル...
プロ野球2021年のレギュラーシーズンが終了した。 夏頃には今年こそ優勝間違いなしと思われていた阪神タイガース。結果は残念ながら2位だった。私は根っからのファンというわけではないが、大阪在住の身としては、タイガースが好調だとみんなの機嫌がいいので助かる。 そんな今年のタイガースの話題をさらったのがルーキーの佐藤輝明選手。 後半戦は絶不調だったが、球団の新人本塁打記録を塗り替えるほどの活躍ぶり。彼が...
白石さん :フェージャさん、ちょっと相談があるんですけど。 フェージャ:どうしたの? 白石さん :明日の夜、ある人からちょっとご飯に誘われちゃって。 行きたくないんですけど、何かいい断り方ないですか? フェージャ:うーん。(語学以外のことを聞かれても困る) ラ・フランス🍐でも買って、明日手渡せば? 白石さん :えっ??? フェージャ:あなたには用無し(洋ナシ)ってね 白石...
言葉についていつも考えている。 外国語を勉強したり、詩をつくってみたり、ラジバンダリ(このギャグ知ってる?)言葉に関することなら何でも気になるので、当然歌の歌詞なんかにも注意が向く。 その中で歌詞のメッセージ性が高く、就職氷河期世代ど真ん中の私の胸に深く突き刺さったのがTHE ALFEE 「希望の鐘が鳴る朝に」(1999) ドラマ「サラリーマン金太郎」の主題歌としてスマッシュヒットした名曲だ。 歌詞を見て...
普段は気楽に語学と親しんでいる私。 外国語を勉強するために受験勉強のように肩肘張って、デスクに辞書やら参考書やらを並べて「さあやるぞ」ってのも気が滅入る。 だが、どの外国語でもいいから一度はきちんと読む訓練をした方がいい。それも厳しい先生のもとで苦しむくらい真剣に。自己流はやがてどこかでつまずく。 柴田元幸『翻訳教室』新書館2006 は著者が大学の授業で行った翻訳演習を紙面に起こしたものである。...
SNSが発達し、誰もが自分の考えやお気に入りの食べ物、穴場スポットなどを手軽に発信できるようになった。 自分が好きなものはやはり人におススメしたい。 私の場合、大好きなロシア語を人にススメたいのだが、いかんせんハードルが高い。今時ロシア文学に興味を持つ人も少ないだろうし、バレエは何かニッチで高級な趣味の印象だし、日露関係は相変わらずよろしくない。 「ザギトワちゃんみたいなキュートなロシア人女性と...
鋭意アラビア語を勉強中の私。文法書なども揃いだし、割と本気モード。 今手こずっているのが、名詞の複数形の作り方。以前2015年3月8日の記事「嫌われ者の宿命」で書いた通り、これまで学習した外国語ではドイツ語の名詞の複数形が無語尾型、-er型、-e型、-en型、-s型と5パターンあり、単語ごとに覚える必要があったので割と大変だった。 ところがアラビア語の名詞の複数形はそんなの目じゃないくらい複雑だ。様々な本やサイ...
Those who find ugly meanings in beautiful things are corrupt without being charming. This is a fault. Those who find beautiful meanings in beautiful things are cultivated. For these there is hope. Oscar Wilde《The Picture of Dorian Gray》 美しいものが好きである。きっとコンプレックスの裏返しなのだろう。 以前2021年4月18日の記事「白石さん(仮名)前編補遺」でも書いた通り、美酒や美文や美女を積...
自分は今、確かに生きている。 あたたかな寝床と十分な食事もある。 でも、自分が誰だか分からない。私は幸せなのだろうか。 記憶喪失の話ではない。物心ついた時から自らのルーツを探し求め苦悩する女性。なかにし礼『戦場のニーナ』はそんな女性の人生を描いた長編小説だ。 以前の記事でも触れたように、なかにし氏と言えば作詞家でテレビのコメンテーターという印象が強く、小説を執筆していたとは知らなかった。 たま...
白石さん:どうもグラサージュ白石です(笑) フェージャさん、今日のタイトルはひねりがないですね。 お疲れですか? ※白石さんについては2021年4月15日・21日の記事「白石さん(仮名)」を参照 別に疲れてません。・・・あのね、いつも流行りのギャグとか織り交ぜるのは大変なんだから。何だったら記事の内容よりタイトルで苦しむこともあるんです。・・・っていうか私の渾身の詩的表現を出オチにす...
ことばを愛するすべての人へ
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ブログの休止宣言をしましたが、緊急寄稿します。 ウクライナ情勢に心を痛めている人が多いと思いますが、私もその一人です。 かつてウクライナ語の学習を通じウクライナの文化に触れた者として、またロシア人の妻を持つ者として、苦悶の日々が続いています。 今もリヴィウに住んでいるかもしれないオレスタは無事だろうか? ロシアにいる妻の両親が、国際的な経済制裁を受けてこれから生活が困窮するのではないか。 とに...
ブログを再開してから早くも1年が経過した。コンスタントに毎週記事を書いてきたが、そろそろまた充電が必要なようだ。 書きたいことが無くなったらきっぱり休止しよう、そう決めていた。無理やりネタをひねり出してつまらない文章を書き連ねることほど惨めなことはないし、本意ではない。 このブログを3年半ぶりに再開した2021年2月18日、最初に書いた記事が「みのりさんの思い出」だった。みのりさんは私が若かりし頃に思...
ウクライナ語は面白い。ロシア語と同じ東スラブ語群に属するが、歴史的・地理的関係から西スラブ語群であるポーランド語の影響を大きく受けている。近年では日本語で書かれた学習書も増えてきたので、少しでも学ぶ人が多くなってくれれば嬉しい。 さて、ちょっとマニアックな話だが、ウクライナ語には受動の意味を表す特殊な構文がある。 まずは受動態とか受け身と言われる構文について英仏独語でどうなっているかを見てみ...
「日本人は中高6年間も英語を勉強しているのにちっともしゃべれない。」 もはや化石のようなフレーズだが、いまだに賛同する向きも多い。 1980年代以降、何度も英語教育改革が叫ばれ、既に実行されたものもあれば、これから導入される《改革》もあるであろう。 コミュニケーション重視の英語、小学校から英語、大学入試にTOEFLなどの外部試験を導入、英語で授業(ダイレクトメソッド)・・・挙げればキリがない。 しかし、残...
・・・って小川洋子さんあたりのエッセイにいかにもありそうなタイトルだ。 実はこれ、ずいぶん前に「まいにちフランス語(入門編)」を聞いていて出会った表現。(普段は応用編を聴いている私も、初心に返りたい時は入門編を聴く。基本は大事。) ひどい天気のことを un temps de chien 犬の天気 肌をさすような寒さを un froid de canard 鴨の寒さ というらしい。 調べてみると、寒さの方は un froid de loup 狼の...
カフェを後にした二人は、うっとうしいくらいにハロウィンの装飾が施された複合商業施設を通り抜け、エレベーターで最上階の映画館に向かった。見たい映画が特にあるわけではない。でも遠出はしたくないし、人ごみは避けたい。柚葉にとっては、クラスの子どもたちに見つかることが何より悪夢である。今なら人気のアニメも上映されていないので映画館は具合がいい。ただ二人で一緒にゆっくりできたらそれでよかった。 遥か彼方...
本ブログに時々登場し、フェージャと漫才みたいなやりとりをする白石さん。 実在の人物がモデルなのだが、今や本人を離れて勝手にキャラづけが進んでしまい、もはや架空の人物というかフェージャの妄想の産物となってしまった。そして、どうせ妄想するなら小説風に彼女の日常を綴ってみてはどうかと思いついた。 で、思いのほか上手く描写できたのでここに掲載することにした。 (前編・後編に分けて2日連続でお届けします...
私が中高生の頃、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」シリーズなどが大ヒットし、中世ヨーロッパ風ファンタジーが一世を風靡していた。 TVゲームのみならず、小説やTRPGなども盛況で、とりわけ人気があったのが『ロードス島戦記』だ。エルフという空想上の種族の、痩身で切れ長の目と長い耳を持つイメージを決定づけたのは、間違いなく本作品のディードリットだろう。関連するグッズも多数作られ、ネットショッ...
白石さん:えっ、フェージャさん、今日は自分の話ですか? いつもいろいろな言語の記事を書いてますもんね。 しかも読みやすくて面白い。よっ、言葉の魔術師! ※白石さんについては2021年4月15日・21日の記事「白石さん(仮名)」を参照 ・・・あ、ありがとう。 でもさすがにそれほど自惚れ屋ではない。 以前の2021年8月8日の記事「スーパースター」でも書いた通り、世の中には天才的とも呼べ...
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前回と前々回の記事「ウクライナの歌姫」でも書いた通り、かつて私はウクライナ語という日本人にはあまり馴染みのない言葉を勉強していた。 今でこそ、中澤英彦『ニューエクスプレスウクライナ語』白水社2019や黒田龍之助『つばさ君のウクライナ語』白水社2020、『初級ウクライナ語文法』三修社2017などがあり大変恵まれた学習環境ではあるが、当時は中井和夫『ウクライナ語入門』大学書林1991しかなかった。今Amazonで調べてみ...
前編に引き続き、ウクライナの19世紀を代表する女性作家レーシャ・ウクラインカのお話。前編がものすごく長い記事になったので後編はあっさりと短めに。 ウクラインカは多くの抒情詩も書いている。 そのうち初期のものを一つ紹介しよう。(訳はもちろん私) САФОНад хвилями моря, на скелі,Хороша дівчина сидить,В лавровім вінку вона сяє,Співецькую ліру держить.До пісні своєї сумноїНа лірі вона пригає.І з ...
若かりし頃、ウクライナの国民詩人といわれるタラス・シェフチェンコについて勉強していた私。ウクライナを代表する3大作家と言えばタラス・シェフチェンコ、イヴァン・フランコそして今回の記事で扱うレーシャ・ウクラインカ(1871-1913)である*1 かつて日本のネット界隈でも「ティモシェンコたん」として人気が爆発したウクライナの元首相ユリア・ティモシェンコ。彼女の髪型はそのウクラインカをリスペクトしたものだと言...
何事も行き過ぎはよろしくない。 曲がりなりにも教育関係に身を置いているせいか、この業界における差別語(とされる言葉)への知覚過敏には今さら驚かない。もう10年以上前になるだろうか、とある人権関係研修での講師先生の言葉には驚かされた。いわく「目からウロコ」のような当たり前に使っている慣用表現でも、TPOに応じて配慮が必要なのだそうだ。 あれから状況はまったく変わっておらず、最近ではどこかで「片手落ち...
人生で睡眠の次に時間を費やすのはおそらく労働であろう。 ロシアのプロレタリア作家M.ゴーリキー『どん底』には次のような言葉がある。 Когда труд – удовольствие, жизнь – хороша! Когда труд – обязанность, жизнь – рабство! 仕事が楽しみなら、人生は上々だ! 仕事が義務なら、人生は奴隷生活だ! 本当にそう思う。しみじみそう思う。心からそう思う。 今私が従事している事務系の仕事は、就業してもう18年目を迎...
・・・っていうものまねタレントいたなあ。最近全然見ないけど。 語学学習ってまずは真似るところから始まるから、観察眼の鋭いものまねタレントさんたちって語学の上達も早いんじゃないだろうかと勝手な推測をしてしまう。 さて、歴史を顧みると、隣国同志というのは仲がよろしくないのが常である。 領土を接しているわけだからそりゃいろいろ摩擦もあるだろうし、両国が意識し努力しなければ関係は悪くなる。 現在の日...
ドイツ語は難しい。 いや、まあ自分の勉強が足りないだけなのは分かっている。 ドイツ語は大学院生時代に論文を読むために学び始めたので、当初の動機づけが弱かった。 でも始めてみると、ドイツ語ってクールでなんだかカッコいい。「チョウチョ」はドイツ語でSchmetterling(シュメッターリンク)ってなんだかイケてる。機動戦士ガンダムに出てくるモビルスーツの名前みたいだ。 ロマンス語系でもスラブ語系でもない、ゲル...
プロ野球2021年のレギュラーシーズンが終了した。 夏頃には今年こそ優勝間違いなしと思われていた阪神タイガース。結果は残念ながら2位だった。私は根っからのファンというわけではないが、大阪在住の身としては、タイガースが好調だとみんなの機嫌がいいので助かる。 そんな今年のタイガースの話題をさらったのがルーキーの佐藤輝明選手。 後半戦は絶不調だったが、球団の新人本塁打記録を塗り替えるほどの活躍ぶり。彼が...
白石さん :フェージャさん、ちょっと相談があるんですけど。 フェージャ:どうしたの? 白石さん :明日の夜、ある人からちょっとご飯に誘われちゃって。 行きたくないんですけど、何かいい断り方ないですか? フェージャ:うーん。(語学以外のことを聞かれても困る) ラ・フランス🍐でも買って、明日手渡せば? 白石さん :えっ??? フェージャ:あなたには用無し(洋ナシ)ってね 白石...
言葉についていつも考えている。 外国語を勉強したり、詩をつくってみたり、ラジバンダリ(このギャグ知ってる?)言葉に関することなら何でも気になるので、当然歌の歌詞なんかにも注意が向く。 その中で歌詞のメッセージ性が高く、就職氷河期世代ど真ん中の私の胸に深く突き刺さったのがTHE ALFEE 「希望の鐘が鳴る朝に」(1999) ドラマ「サラリーマン金太郎」の主題歌としてスマッシュヒットした名曲だ。 歌詞を見て...
・・・って小川洋子さんあたりのエッセイにいかにもありそうなタイトルだ。 実はこれ、ずいぶん前に「まいにちフランス語(入門編)」を聞いていて出会った表現。(普段は応用編を聴いている私も、初心に返りたい時は入門編を聴く。基本は大事。) ひどい天気のことを un temps de chien 犬の天気 肌をさすような寒さを un froid de canard 鴨の寒さ というらしい。 調べてみると、寒さの方は un froid de loup 狼の...
カフェを後にした二人は、うっとうしいくらいにハロウィンの装飾が施された複合商業施設を通り抜け、エレベーターで最上階の映画館に向かった。見たい映画が特にあるわけではない。でも遠出はしたくないし、人ごみは避けたい。柚葉にとっては、クラスの子どもたちに見つかることが何より悪夢である。今なら人気のアニメも上映されていないので映画館は具合がいい。ただ二人で一緒にゆっくりできたらそれでよかった。 遥か彼方...
本ブログに時々登場し、フェージャと漫才みたいなやりとりをする白石さん。 実在の人物がモデルなのだが、今や本人を離れて勝手にキャラづけが進んでしまい、もはや架空の人物というかフェージャの妄想の産物となってしまった。そして、どうせ妄想するなら小説風に彼女の日常を綴ってみてはどうかと思いついた。 で、思いのほか上手く描写できたのでここに掲載することにした。 (前編・後編に分けて2日連続でお届けします...
私が中高生の頃、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」シリーズなどが大ヒットし、中世ヨーロッパ風ファンタジーが一世を風靡していた。 TVゲームのみならず、小説やTRPGなども盛況で、とりわけ人気があったのが『ロードス島戦記』だ。エルフという空想上の種族の、痩身で切れ長の目と長い耳を持つイメージを決定づけたのは、間違いなく本作品のディードリットだろう。関連するグッズも多数作られ、ネットショッ...
白石さん:えっ、フェージャさん、今日は自分の話ですか? いつもいろいろな言語の記事を書いてますもんね。 しかも読みやすくて面白い。よっ、言葉の魔術師! ※白石さんについては2021年4月15日・21日の記事「白石さん(仮名)」を参照 ・・・あ、ありがとう。 でもさすがにそれほど自惚れ屋ではない。 以前の2021年8月8日の記事「スーパースター」でも書いた通り、世の中には天才的とも呼べ...
私が子どもだった頃、「こども電話相談室」というラジオ番組があった。 調べてみると、TBSラジオで1964年から2008年まで実に44年間も放送されていた長寿番組だったようだ。熱心に聞いていたわけではないが、子どもが投げかけるどんな些細な質問にも、大人たちが真剣に回答していて感心したものである。(いやお前も子どもやん、その頃) 《以下ロシア語が分からない方は★の部分から読んでね》 さて、外国語を学習していると母...
前回と前々回の記事「ウクライナの歌姫」でも書いた通り、かつて私はウクライナ語という日本人にはあまり馴染みのない言葉を勉強していた。 今でこそ、中澤英彦『ニューエクスプレスウクライナ語』白水社2019や黒田龍之助『つばさ君のウクライナ語』白水社2020、『初級ウクライナ語文法』三修社2017などがあり大変恵まれた学習環境ではあるが、当時は中井和夫『ウクライナ語入門』大学書林1991しかなかった。今Amazonで調べてみ...
前編に引き続き、ウクライナの19世紀を代表する女性作家レーシャ・ウクラインカのお話。前編がものすごく長い記事になったので後編はあっさりと短めに。 ウクラインカは多くの抒情詩も書いている。 そのうち初期のものを一つ紹介しよう。(訳はもちろん私) САФОНад хвилями моря, на скелі,Хороша дівчина сидить,В лавровім вінку вона сяє,Співецькую ліру держить.До пісні своєї сумноїНа лірі вона пригає.І з ...
若かりし頃、ウクライナの国民詩人といわれるタラス・シェフチェンコについて勉強していた私。ウクライナを代表する3大作家と言えばタラス・シェフチェンコ、イヴァン・フランコそして今回の記事で扱うレーシャ・ウクラインカ(1871-1913)である*1 かつて日本のネット界隈でも「ティモシェンコたん」として人気が爆発したウクライナの元首相ユリア・ティモシェンコ。彼女の髪型はそのウクラインカをリスペクトしたものだと言...
何事も行き過ぎはよろしくない。 曲がりなりにも教育関係に身を置いているせいか、この業界における差別語(とされる言葉)への知覚過敏には今さら驚かない。もう10年以上前になるだろうか、とある人権関係研修での講師先生の言葉には驚かされた。いわく「目からウロコ」のような当たり前に使っている慣用表現でも、TPOに応じて配慮が必要なのだそうだ。 あれから状況はまったく変わっておらず、最近ではどこかで「片手落ち...
人生で睡眠の次に時間を費やすのはおそらく労働であろう。 ロシアのプロレタリア作家M.ゴーリキー『どん底』には次のような言葉がある。 Когда труд – удовольствие, жизнь – хороша! Когда труд – обязанность, жизнь – рабство! 仕事が楽しみなら、人生は上々だ! 仕事が義務なら、人生は奴隷生活だ! 本当にそう思う。しみじみそう思う。心からそう思う。 今私が従事している事務系の仕事は、就業してもう18年目を迎...
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ドイツ語は難しい。 いや、まあ自分の勉強が足りないだけなのは分かっている。 ドイツ語は大学院生時代に論文を読むために学び始めたので、当初の動機づけが弱かった。 でも始めてみると、ドイツ語ってクールでなんだかカッコいい。「チョウチョ」はドイツ語でSchmetterling(シュメッターリンク)ってなんだかイケてる。機動戦士ガンダムに出てくるモビルスーツの名前みたいだ。 ロマンス語系でもスラブ語系でもない、ゲル...
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白石さん :フェージャさん、ちょっと相談があるんですけど。 フェージャ:どうしたの? 白石さん :明日の夜、ある人からちょっとご飯に誘われちゃって。 行きたくないんですけど、何かいい断り方ないですか? フェージャ:うーん。(語学以外のことを聞かれても困る) ラ・フランス🍐でも買って、明日手渡せば? 白石さん :えっ??? フェージャ:あなたには用無し(洋ナシ)ってね 白石...
言葉についていつも考えている。 外国語を勉強したり、詩をつくってみたり、ラジバンダリ(このギャグ知ってる?)言葉に関することなら何でも気になるので、当然歌の歌詞なんかにも注意が向く。 その中で歌詞のメッセージ性が高く、就職氷河期世代ど真ん中の私の胸に深く突き刺さったのがTHE ALFEE 「希望の鐘が鳴る朝に」(1999) ドラマ「サラリーマン金太郎」の主題歌としてスマッシュヒットした名曲だ。 歌詞を見て...
普段は気楽に語学と親しんでいる私。 外国語を勉強するために受験勉強のように肩肘張って、デスクに辞書やら参考書やらを並べて「さあやるぞ」ってのも気が滅入る。 だが、どの外国語でもいいから一度はきちんと読む訓練をした方がいい。それも厳しい先生のもとで苦しむくらい真剣に。自己流はやがてどこかでつまずく。 柴田元幸『翻訳教室』新書館2006 は著者が大学の授業で行った翻訳演習を紙面に起こしたものである。...
SNSが発達し、誰もが自分の考えやお気に入りの食べ物、穴場スポットなどを手軽に発信できるようになった。 自分が好きなものはやはり人におススメしたい。 私の場合、大好きなロシア語を人にススメたいのだが、いかんせんハードルが高い。今時ロシア文学に興味を持つ人も少ないだろうし、バレエは何かニッチで高級な趣味の印象だし、日露関係は相変わらずよろしくない。 「ザギトワちゃんみたいなキュートなロシア人女性と...
鋭意アラビア語を勉強中の私。文法書なども揃いだし、割と本気モード。 今手こずっているのが、名詞の複数形の作り方。以前2015年3月8日の記事「嫌われ者の宿命」で書いた通り、これまで学習した外国語ではドイツ語の名詞の複数形が無語尾型、-er型、-e型、-en型、-s型と5パターンあり、単語ごとに覚える必要があったので割と大変だった。 ところがアラビア語の名詞の複数形はそんなの目じゃないくらい複雑だ。様々な本やサイ...
Those who find ugly meanings in beautiful things are corrupt without being charming. This is a fault. Those who find beautiful meanings in beautiful things are cultivated. For these there is hope. Oscar Wilde《The Picture of Dorian Gray》 美しいものが好きである。きっとコンプレックスの裏返しなのだろう。 以前2021年4月18日の記事「白石さん(仮名)前編補遺」でも書いた通り、美酒や美文や美女を積...