現代俳句選抄

高岡修・句集『凍滝』ジャプラン

蝶の骨顔にかくして山河とす高岡修斧の柄を春の日射しが来て握る同ほどかれて風船自由を見失なう同凍滝のなか月光の氷りたる同高岡修・句集『凍滝』ジャプラン

2021/01/24 11:58

黛執・句集『春がきて』角川書店

朽ち果てし舟を根方に藪椿黛執奥つ城に隣れる田より打ちはじむ同枯山の枯れの極みに水の音同星よりも水のきらめく聖夜かな同春がきて日暮が好きになりにけり同黛執・句集『春がきて』角川書店

2021/01/24 11:30

野中亮介・句集『つむぎうた』ふらんす堂

ぜんまいの月の中まで伸びあがる野中亮介風船の捕まえたがるやうに飛ぶ同春の月桶をあふれて天にあり同銀漢の尾に触れて鳴るオルゴール同野中亮介・句集『つむぎうた』ふらんす堂

2021/01/24 10:46

中西夕紀・句集『くれなゐ』本阿弥書店

空耳に返事などして涼新た中西夕紀刃となりて月へ飛ぶ沖ノ島同信号に止まり狐と別れけり同海の日を車中に入れて帰省かな同竹伐りの竹曳く道も竹の中同中西夕紀・句集『くれなゐ』本阿弥書店

2021/01/24 10:46

朝吹英和・句集『光陰の矢』ふらんす堂

戦場に繋がる海や野分雲朝吹英和靴下の穴に始まる大枯野同年輪の声聞く霜の夜更けかな同音階の行きどまりにて鶴凍つる同光陰の矢に刺し抜かる晩夏かな同朝吹英和・句集『光陰の矢』ふらんす堂

2021/01/12 20:13

海程・香川 発足十周年記念アンソロジー 青むまで

てのひらをこぼるる刻よ冬すみれ野﨑憲子石を積むこと息をすること涼し月野ぽぽな空缶に闇のはげしき修司の忌小西瞬夏海程・香川発足十周年記念アンソロジー青むまで

2021/01/10 22:56

林亮・句集『歳華』西村謄写堂

海のみか空もまた菜の花の沖林亮あるはずの後ろをなくす帚草同コスモスへ風の都の遷る見ゆ同鉄橋の数だけ渡る天の川同枯菊に燃ゆる音燃え移る音同林亮・句集『歳華』西村謄写堂

2021/01/10 22:48

谷口智行 編『平松いとゞ全集』邑書林

野遊につゝじを掘つて来りけり平松いとゞ酷寒の瘴癘の地の孰れとも同谷口智行編『平松いとゞ全集』邑書林

2021/01/10 22:19

山内繭彦・句集『透徹』角川書店

陽炎や大気の底に住み古りて山内繭彦その先の湖の明るさ麦の秋同吹かれゐて敗荷風を弄ぶ同山内繭彦・句集『透徹』角川書店

2021/01/10 22:11