架空線
冬の日太陽の重みで光の帯が空に上がり路地は淡い色に沈み始めている曲がるにつれて折れるにつれて壁が金色に塗られたり梅が咲いたりなどする文学者二人の対談を聞いていた寒さに負けていたのか温かい室内では溶け出した泥のようにわたしはうつらうつらした書物、形、言葉、心、詩、といった言葉がうわずみでぐるぐるしていた外に出ると雲ひとつない青空に知らされる冷たい空気とそれを留めさせない風と縮こまる体にもよくみると芯に温かさがあってわたしはろうそく文学者二人の話を聞きながらその背景にろうそくのようなペンキのような粘土のようなでたらめなしみを見たそれがわたしだと思ったいろんな時にいろんな場所にベシャッと投げつけられるひろがりわたしの人生と光の届かない道で思うと不思議な気がする他の誰にとってもわたしの「わたしの人生」は他愛無い見...架空線
2024/01/28 11:20