二階
病院のあとすぐ家に帰らず自宅の最寄り駅まで戻ってからビル二階にある喫茶店に入った窓に向かって置かれたソファ席に沈み本を開く『いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ』本を開くと同時にいろんなページが開いてしまって信号で停まる車や横断歩道を渡る人々をその向こうの建物やその向こうの曇っている空を泳ぎながらいろんな思いつきや考えごとを渡り歩いた金本位制、利子率、株価の暴落手綱を離した意識は暴れ馬のようにあっちの柵こっちの柵を踏み倒し乗り越えて驚くほど取り留めがなかった我に返ると心持ち斜めにした膝を折ってソファに座っているだけだったたるみたかったのかもしれない若い頃はたるみが許されると計算していたあちこちが物理的にたるみ始める40代ともなるとこころのたるみをさらけだすことははばかられた遊びに行くでもなくおいしいも...二階
2023/03/04 23:06