馬場あき子歌集「あさげゆふげ」 のこと
「あさげゆふげ」を読んだのはかなり前である。ブログに書くつもりだったが遅れてしまった。この第二十七歌集は夫の岩田正の急逝が詠まれ、読みながら私は辛かった。秋になったら更に書き難い。八月が去らないうちに今日こそ書こう、と思う。🔘朝餉とは青いサラダを作ること青いサラダは亡き母好みき🔘しごと一つしたこともなくて夕焼けにけふは西瓜を食べ忘れたり🔘歯を磨くあとどれだけを噛み砕く力残るや朝の歯みがく🔘ぼんやりとしているからだは気持ちよくたっぷりとした時間の海だ🔘透きとほるほどの薄さで食べたしと夫のいふなる東京たくあん🔘ふたりゐてその一人ふと死にたれば検死の現場となるわが部屋は🔘月桃餅すこし残るをあたためて分かち食うべぬ最後の昼餉🔘きみの死のみづみづとわれの手に甦るまだ温かき胸や肩や手🔘亡きひとよしんしんとろりゆつくりと眠つ...馬場あき子歌集「あさげゆふげ」のこと
2019/08/29 16:25