花菜漬け
暮れ時になると考える。今日は何をなしたのかと。別に人様に言えるほどのことはやっていない。大抵、無為に過ごしている。人に使われ、組織に属していた時はこんなことは考えなかった。考える余裕がなかったというほうが正しい。時間と山のような仕事に追いまくられ、成果として一日、何をやり終えたかなど考える暇がなかった。もちろんクォータだのヒストグラムは毎日意識して、憂鬱な気分になっていた。しかしだからと言ってそれを達成したとしても、どうしてもやったという実感がわかないのである。晴れて自由の身となった今は、同じく虚無感と徒労感にさいなまれている。想えば無為徒食の人生だったとつくづく思う。花菜漬け飯に熱き茶かけ注ぎ素閑花菜漬け雨の小僧が土間の口素閑醒めた酒花菜の漬けもの齧りたり素閑花菜漬け野の鳥たちもささやけり素閑花菜漬けくさむら...花菜漬け
2019/02/28 17:26