プレーバック劇団芝居屋第42回公演「通る道」7
ようやく坊守文子の身の上話が終わり二人きりになった妙子と奈美恵には足のしびれを隠す余裕はありませんでした。この騒ぎが久しぶりに会った二人の距離を縮めます。会うのは法事などの特別な日以外にない親戚同士、会話は近状報告的なものになりますが、日ごろ会わないという気安さが本音の話を引き出します。妙子には夫の正二の健康状態が気がかりでした。妙子「実はね・・・いや、いい。なんでもない」奈美恵「いやね、なによ言いかけて。溜まったものがあるんだったら、吐き出した方がいいわよ。お互い忙しくしてるんだから、何か聞いてもすぐ忘れちゃうわ」妙子「そうか、会うのは法事ぐらいなもんだものね、お互いに」奈美恵「そうよ。ここで吐いたものはお祖父ちゃんが全部持って行ってくれるわ」妙子「そうか、そうだね」妙子「実は・・・先生の事なの」奈美恵...プレーバック劇団芝居屋第42回公演「通る道」7
2024/03/31 11:27