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イッツ・ダ・ボム
著者 井上 先斗 出版社 文藝春秋 高架下や地下道などにスプレーで書きなぐられたアルファベットや絵柄は、「グラフィティ」と呼ばれるアートのひとつである。英語で「落書き」という意味の「グラフィティ」は、違法であることが前提で、グラフィティを書いた
2025/06/14 10:30
兎は薄氷に駆ける
著者 貴志 祐介出版社 毎日新聞出版 叔父の不審死について任意の事情聴取をうけた英之は、身に覚えのないストーカー規制法違反により、そのまま逮捕される。それは、実際には叔父殺害を自白させるための勾留であった。 別件逮捕を駆使して容疑者を長期間勾留する日
2025/06/07 08:30
大転生時代
著者 島田 雅彦 出版社 文藝春秋 はじめて会うのに懐かしい気がする。一度も来たことのない土地なのに既視感を覚える。誰もが一度ならずそんな感覚を抱いたことがあるのではないだろうか。誰に教えられたわけでもないのに、この人は好き、この人は嫌と感じる
2025/05/31 11:00
マリリン・トールド・ミー
著者 山内 マリコ出版社 河出書房新社 コロナが蔓延しはじめた2020年春に大学に入学した杏奈を待っていたのは、入学式もキャンパスライフもない、一人暮らしの部屋に籠り、かろうじてオンラインで授業や外部とつながる日々だった。緊急事態宣言で外出もままな
2025/05/24 10:00
坂の中のまち
著者 中島 京子 出版社 文藝春秋 東京大学をはじめ大学が多い文教地区と閑静な住宅街がある文京区の小日向周辺は、夏目漱石や森鴎外などの文豪が住んでいたことでも知られている。大学進学を機に上京した坂中真智は、小日向にある志桜里さんの家に下宿する
2025/05/17 11:30
八秒で跳べ
著者 坪田 侑也出版社 文藝春秋 高校男子バレーの全国大会前にチームの中心メンバー宮下景は足を痛めてしまう。下校時に隣のクラスの綾が校門を乗り越えようとするのを見て、驚いて自転車で転んだのが原因だった。それ以来、景は綾のことが気になり始める。一
2025/05/10 09:30
令和元年の人生ゲーム
著者 麻布競馬場出版社 文藝春秋 多感な学生時代に負った心の傷はあとをひく。一流大学の有名サークルのリーダー格だった沼田は、一流企業に入って有能に仕事をこなし、その能力を生かしたベンチャービジネスでも成功を収める社会的エリートだが、個人的に沼田
2025/05/03 11:00
われは熊楠
著者 岩井 圭也 出版社 文藝春秋 柳田國男から「日本人の可能性の極限」と称された博物学者、生物学者にして民俗学者、南方熊楠。生まれつき類まれな記憶力を持ち、幼少期から身の回りのものにあくなき探求心を抱きつづけた熊楠は、やがてこの世のすべてを知りつく
2025/04/26 10:00
冬に子供が生まれる
著者 佐藤 正午 出版社 小学館 夏の激しい雨の夜、見知らぬ番号からショートメッセージが届く。「今年の冬、彼女はおまえの子供を産む」。その予言めいたメッセージは、あるドキュメンタリー番組を観ているときに届いた。番組は、いまや有名人になった高校
2025/04/19 11:00
スメラミシング
著者 小川 哲出版社 河出書房新社 コロナウイルスが蔓延する社会で、ノーマスク、ワクチン接種反対をツイートする人々が<スメラミシング>というハンドルネームのツイートを信奉し、暴徒化していく。表題作「スメラミシング」は、言葉が都合よく解釈され、ツイ
2025/04/12 10:30
存在のすべてを
著者 塩田 武士 出版社 朝日新聞出版 平成3年(1991年)、神奈川県で日をおかず2件の男児誘拐事件が発生する。先に起きた事件に人員をつぎ込んでいた神奈川県警は、後発の事件の対応に大わらわとなる。だが、先の事件が身代金も取られず人質男児も無事解放さ
2025/04/05 12:00
身代りの女
著者 シャロン・ボルトン (川副 智子訳)出版社 新潮社 オックスフォードやケンブリッジといったイギリス屈指の大学に入り、卒業後もエリートとして人生を歩むことがほぼ確定している優等生6人は、高校卒業を目前に控えた夏休み中に気晴らしと肝試しで高速道
2025/03/29 08:30
ゆびさきに魔法
著者 三浦 しをん出版社 文藝春秋 通勤電車や仕事中、外食しながら、ふとした機会に自分のゆびさきが目に入る。スマホが手放せない現代の日常生活で、そんなゆびさきをネイルで彩る人が増えた。手元に素敵な色やデザインが施されているだけで、接客やパソコン
2025/03/22 12:30
スイマーズ
著者 ジュリー・オオツカ (小竹 由美子 訳)出版社 新潮社 日頃の運動不足の解消に、ダイエットのために、あるいは仕事上の嫌なことを忘れるために「わたしたち」は地下にあるプールに通う。水のなかにいると、病気のことや日常のあれこれから解放される気が
2025/03/15 11:00
息のかたち
著者 いしい しんじ出版社 講談社 川沿いのいつものランニングコースを走っていた夏実の頭に、野球少年たちの金属バットが直撃する。幸い怪我はなかったが、それ以来、夏実は人の吐く息が見えるようになる。空色の風船みたいな息、緑のかたまりの息、黄色、赤
2025/03/08 09:00
シャーロック・ホームズの凱旋
著者 森見 登美彦出版社 中央公論新社 数々の難事件を解決してきた名探偵シャーロック・ホームズが、このところ深刻なスランプに陥っている。相棒にしてホームズ譚の記録者でもあるジョン・H・ワトソンは、本業である医師の仕事もそこそこに連日ホームズの暮ら
2025/03/01 10:00
サンショウウオの四十九日
著者 朝比奈 秋出版社 新潮社 実家で成人式の振袖カタログを見つけた姉妹は、昔貼った色違いのポストイットを見てこれは妹の瞬か「私」だったかと語らう。思い出は「胎児内胎児」という奇妙な出生を経た父の話へと流れていく。赤子だった伯父の胎内に父がいて
2025/02/22 09:30
ヨルガオ殺人事件
著者 アンソニー・ホロヴィッツ (山田 蘭 訳)出版社 東京創元社 前作『カササギ殺人事件』で、担当していた作家アラン・コンウエイの死去に伴い、編集者のスーザンは勤務先の出版会社も編集者という仕事も失った。ギリシャに移り住んで恋人といっしょに小さな
2025/02/15 11:30
カササギ殺人事件
著者 アンソニー・ホロヴィッツ (山田 蘭 訳)出版社 東京創元社 『名探偵ポワロ』の脚本家であり、コナン・ドイル財団とイアン・フレミング財団からの公式認定をうけて『シャーロック・ホームズ』や『007』シリーズの続編を手がける著者が、構想から15年かけ
2025/02/08 10:04
まいまいつぶろ
著者 村木 嵐出版社 幻冬舎 十五代にわたって江戸幕府の頂点にあった徳川家には、後世までその名を残す名将軍もいれば、血筋で将軍になっただけのような印象の者もいる。江戸幕府中興の祖と呼ばれる第八代将軍吉宗の長男家重は、生まれながらの言語障害により
2025/02/01 10:30
谷から来た女
著者 桜木 紫乃出版社 文藝春秋 北海道内いたるところでその作品を目にするデザイナー赤城ミワは、出自であるアイヌの紋様を巧みに取り入れたデザインで人気を博している。アイヌを取り上げた地元テレビの番組審議会でミワの知遇を得た大学教授は、次第に
2025/01/25 11:00
オパールの炎
著者 桐野 夏生出版社 中央公論新社 時代の寵児が忽然と姿を消す。今や消息どころか生死すらわからない。そして半世紀近くの年月を経た今、彼女の主張は社会の常識となっている。1970年代にピルの解禁と中絶の自由を訴えた榎美沙子をモデルにした本書は
2025/01/18 10:56
六月のぶりぶりぎっちょう
著者 万城目 学出版社 文藝春秋 京都に縁の深い作家である著者の新たな京都小説である。京都における学徒出陣を描いた前作『八月の御所グラウンド』では、エンターテイメント性のなかに青春の哀愁を織り交ぜ、歴史の重みと責任を浮き彫りにしてみせたが、本
2025/01/11 10:04
別れを告げない
著者 韓 江(ハン・ガン) (斎藤 真理子訳)出版社 白水社 アジア人女性として初のノーベル文学賞を受賞した著者の代表作のひとつである本書は、韓国近代史の暗部に焦点を当て、人間心理を深く掘り下げた読み応えのある作品である。静かな筆致の裏に流れる無辜
2025/01/04 11:30
ハジケテマザレ
著者 金原 ひとみ出版社 講談社 コロナ禍を作品に投影している作家は多々いるが、金原ひとみほどあらゆる観点からコロナ禍を描く作家はいないのではないか。突然降ってわいた災厄としてコロナ禍をとらえ、鬱屈した日々を生きる人々を描いた『アンソーシャル
2024/12/28 11:30
獣の夜
著者 森 絵都出版社 朝日新聞出版 大学時代のサークル仲間たちが用意したサプライズ誕生会に美也を連れていく。それが今夜、紗弓に課せられた役目だった。しかし、結婚して8年経ち子育てに明け暮れる美也が久しぶりの外食にはしゃぎ、予約してあるヘルシー
2024/12/21 11:00
可燃物
著者 米澤 穂信出版社 文藝春秋 群馬県警察本部刑事部捜査第一課の敏腕警部、葛が解決する事件を集めた短編集である。雪山での遭難、深夜の衝突事故、ファミリーレストランでの人質立てこもり事件など、事件はさまざまだが、葛の洞察力が犯人を割り出して
2024/12/14 10:00
アンリアル
著者 長浦 京出版社 講談社 言葉とは裏腹に心の奥で敵意を抱く者の目が赤く光って見える沖野は、その特異体質を買われて警察の秘密セクションである国際交流課に配属される。対外的には存在しないとされている日本警察のスパイグループで、沖野は国境を越え
2024/12/07 11:30
続きと始まり
著者 柴崎 友香出版社 集英社 東京五輪が開催されるはずだった2020年、コロナ禍が世界を襲った。瞬くうちに蔓延していく新型コロナウィルスをまえに、五輪開催の夏には収束するだろうという希望的観測はもろくも崩れ去った。緊急事態宣言や自宅待機など、これ
2024/11/30 11:00
幽玄F
著者 佐藤 究出版社 河出書房新社 「三島由紀夫をモチーフに」という依頼で書かれたという本書では、エピローグ以外、各章の冒頭に三島由紀夫の遺作の『豊穣の海』が引用されている。予定を早めた最終回の入稿を終えた三島がその日に陸上自衛隊市谷駐屯地で
2024/11/23 10:54
噓つきジェンガ
著者 辻村 深月出版社 文藝春秋 テーブルゲームの定番ジェンガは、同じ大きさの板を組んで積み重ねたタワーを崩さないよう、ひとつずつ抜き取っては最上段に積み上げていく。抜き取られた下段はバランスが悪くなるが、誰かが倒してしまうまでグラグラするタ
2024/11/16 11:43
ツミデミック
著者 一穂 ミチ出版社 光文社 コロナウィルスの世界的流行はそれまで当たり前だった日常を180度転換させた。外出制限や非接触が奨励され、オンライン授業やリモートワークなどの新しい形態も生まれた。未曽有のパンデミックは既成の価値観もくつがえした。客が足を
2024/11/09 14:22
かたばみ
著者 木内 昇出版社 角川書店 就職の売り手市場がここ数年続き、それに伴い入社後数日、あるいは入社初日に退職する新入社員が話題になった。退職理由はさまざまだが、数日でここは自分の場所ではないと気づいたということだ。すぐに次を見つけられる、自
2024/11/02 14:09
ようこそ、ヒュナム洞書店へ
著者 ファン・ボルム (牧野 美加 訳)出版社 集英社 あらゆる本がそろう大きな書店ではなく、店長自らが吟味した本が並び、隅にはおいしいコーヒーが飲めるスペースもある。そんな本屋が近所にあれば、ふだん本に興味のない人たちもふらりと立ち寄るのではな
2024/10/26 11:30
トゥデイズ
著者 長嶋 有出版社 講談社 マンションの管理組合の理事を回り持ちでやることになった美春は、自分たちの棟で飛び降り自殺があったことを知る。でもマンションの会報では事件について触れない方針らしい。それは外階段からの飛び降りならマンションの資産価
2024/10/19 11:00
死んでから俺にはいろんなことがあった
著者 リカルド・アドルフォ (木下 眞穂 訳)出版社 書肆侃侃房 カルラの気まぐれで買った大きなスーツケースをひっさげ、あとは家に帰るだけだった。だが、いつもの地下鉄がストップして「俺」たちは家路がわからなくなる。「俺」たちには故郷の「くに」
2024/10/12 14:26
うるさいこの音の全部
著者 高瀬 隼子出版社 文藝春秋 人知れず投稿を続けていた小説で新人賞を受賞した長井朝陽は、職場のゲームセンターPALの同僚に祝福され、本社からも小説家としてのネームバリューを利用してPALの宣伝をしてほしいと依頼される。何年も帰っていない故郷の市
2024/10/05 10:40
恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ
著者 川上 弘美出版社 講談社 幼なじみを意味する「竹馬の友」は、子どもの遊びが変わった今ではピンとこない人が多いかもしれない。しかし、遊び方が竹馬からテレビゲームになっても、幼少時代をともに過ごした者同士のみに生じる特別な連帯感は今も昔も変
2024/09/28 11:00
神と黒蟹県
著者 絲山 秋子出版社 文藝春秋 ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ攻撃など、無辜の市民が命を落とす現在の世界情勢を見ると、神は本当に存在するのかと訝しんでしまう。そもそも神にとって人間とはどういう存在なのか。 神は、些細なことで怒
2024/09/21 11:38
ミライの源氏物語
著者 山崎 ナオコーラ出版社 淡交社 谷崎潤一郎をはじめ、田辺聖子、瀬戸内寂聴、近年では角田光代など数々の作家による現代語訳がある『源氏物語』は、古典文学でも特に愛されている作品だ。主人公の光源氏のみならず桐壺や空蝉、花散里、末摘花などの名が
2024/09/14 10:42
うどん陣営の受難
著者 津村 記久子出版社 U-NEXT 地元企業の野乃花を吸収合併した社之杜社の会社代表選挙は、一度目の投票で決着がつかず上位2人の決選投票となる。業績悪化の補填を減給で補うという藍井戸陣営と、元野乃花社員をターゲットにしたリストラによって現状打開し
2024/09/07 10:50
あちらにいる鬼
著者 井上 荒野出版社 朝日新聞出版 夫と娘を捨てて愛人のもとに走った長内みはるは、その奔放な私生活もあいまって気鋭の女流作家として注目を浴びていた。1966年春、四国への取材旅行でみはるは文壇の異端児、白木篤郎と出会う。チビで声ばかり大きい篤郎
2024/08/31 11:14
シェニール織とか黄肉のメロンとか
著者 江國 香織出版社 角川春樹事務所 学生時代からの女ともだちを中心にした群像劇「薔薇の木枇杷の木檸檬の木」は、お嬢さん育ちのまま結婚した女たちが、優雅にお茶を飲んでおしゃべりに興じ、パートナーや思いがけない相手との恋愛をたのしむ。しかし
2024/08/24 11:23
楽園の犬
著者 岩井 圭也出版社 角川春樹事務所 持病の喘息のために出世の道を閉ざされた麻田は、転地療養を兼ねて南洋サイパンでの仕事を引き受ける。大正3(1914)年に海軍が無血占領して以来、南洋群島を統括する南洋庁のサイパン支庁庶務係というのは名目上の肩書で
2024/08/17 10:58
二人キリ
著者 村山 由佳出版社 集英社 日本史に名を残す猟奇的事件のひとつに「安部定」事件がある。愛人の吉蔵を殺害したのち、その局部を切り取って持ち去った安部定は、捕まったとき、下腹に吉蔵の局部を彼のふんどしで巻いていたという。それほどまでに局部に執
2024/08/10 10:39
方舟を燃やす
著者 角田 光代出版社 新潮社 信心深いノアを救うため、神は来たる大洪水を予告する。神の言葉に従い、ノアは方舟を作り、種を絶やさないよう動物を1対ずつ乗せる。聖書の「ノアの方舟」が人々の心に残るのは、信心の大切さだけでなく、生き延びるための道を示唆して
2024/08/03 11:00
逸脱刑事
著者 前川 裕出版社 講談社 弁天代警察署の所轄にあるホテルで起きた男性刺殺事件と、その数日前にあった公園でのホームレスの弁当窃盗事件。刺殺事件はパパ活のもつれによるもので、ホテルを先に出た女性の身元も早々に割れる。弁当窃盗の方は罪にも問えな
2024/07/27 11:06
新古事記
著者 村田 喜代子出版社 講談社 「原爆の父」として知られるオッペンハイマーの生涯を描いた映画が今春日本でも公開されたが、本書は、そのオッペンハイマーが所長を務め、世界初の原爆開発に成功したニューメキシコ州辺境の地が舞台である。勝海舟率いる咸
2024/07/20 10:28
植物少女
著者 朝比奈 秋出版社 朝日新聞出版 出産の際の脳出血で植物状態になった母を持つ美桜にとって、母親とは病院に会いに行く人であり、ただベッドに横たわり呼吸する人だ。だが、筋肉拘縮で手を強く握った状態の他の植物人間に対して、脳幹が無傷だった母の手
2024/07/13 10:52
極楽征夷大将軍
著者 垣根 涼介出版社 文藝春秋 足利尊氏といえば、鎌倉幕府を倒し、南北朝時代を制した後、室町幕府初代征夷大将軍となった人物である。戦にも強く、人望も厚かったとされる尊氏だが、成り行きで頂点に上りつめただけで、実は本人にはそんな意志も使命感もな
2024/07/06 11:30
絶縁
著者 村田 沙耶香/チョン・セラン他出版社 小学館 同じテーマでアジアの作家たちが小説を書く。そんな画期的な試みが実現したのが本書である。日本、韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、ベトナム、そしてチベット。実にアジア9都市で活躍する若手
2024/06/29 11:40
水車小屋のネネ
著者 津村 記久子出版社 毎日新聞出版 ヨウムという鳥は、オウム目インコ科の大型インコで、その寿命は50年に及ぶらしい。しかも3歳から5歳児の知能を持つという。そんなヨウムのネネがいる水車小屋を舞台に1981年から2021年にいたる40年の人々のふれあいを描
2024/06/22 12:07
街とその不確かな壁
著者 村上 春樹出版社 新潮社 1985年に出版された『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は、デビュー作『風の歌を聴け』から一貫していた村上ワールドの真骨頂ともいうべき作品だった。壁に囲まれた静寂の街で「夢読み」する男の話と、地下組織
2024/06/15 10:23
白鶴亮翅
著者 多和田 葉子出版社 朝日新聞出版 ドイツで翻訳をして暮らすミサは、引っ越し先の隣人Mさんといっしょに太極拳教室に通いはじめる。教室にはドイツだけでなく裕福なロシアの未亡人、BBCアナウンサーのように流ちょうな英語を話すフィリピン女性など様
2024/06/08 10:05
腹を空かせた勇者ども
著者 金原 ひとみ出版社 河出書房新社 新型コロナが蔓延しはじめ、学校は休校になり部活もままならない毎日。だけど中学生の玲奈は部屋でトレーニングをし、友人とコミュニケーションをとり、全力で生きている。私立の中高一貫校だから、よほどでないと進学で
2024/06/01 11:16
東京都同情塔
著者 九段 理江出版社 新潮社 新宿御苑に建設予定の刑務所「シンパシータワートーキョー」の建築コンペに参加する建築家の牧名沙羅は、その名称に引っかかってなかなかいい案が浮かばない。もともと刑を犯さざるを得ない環境にあった囚人たちこそ社会の被害
2024/05/25 10:00
Q
著者 呉 勝浩出版社 小学館 子持ちの女と再婚しては離婚をくり返し、血のつながらない子どもだけを引き取る。そんな父のもとで肉親の愛情を知らずに育った義姉弟三人は、やがて末弟の侑九、通称Qの類まれな美貌と誰もが虜になるカリスマ性に自分たちの未来を
2024/05/18 11:33
木挽町のあだ討ち
著者 永井 紗耶子出版社 新潮社 芝居小屋が軒を連ねる木挽町は、吉原などの花街と同じく世間から悪所と蔑まれる場所だ。ときに食いつぶした者、どこにも行き場のない者、わけあり者も転がり込む。だが、芝居や見目麗しい役者を見て日ごろの憂さを忘れさせる夢
2024/05/11 10:53
地図と拳
著者 小川 哲出版社 集英社 気象学を学んでいた須野は、ある地図に描かれた島が実在するか否かという調査を満鉄から依頼される。それは「存在しない島が本当に存在していないことを証明する」という難題であった。以来、須野にとって地図の発生と意義を探るこ
2024/05/04 14:52
踏切の幽霊
著者 高野 和明出版社 文藝春秋 妻を亡くして以来、全国紙の社会部記者という第一線の仕事に対する意欲を失った松田は、女性誌の取材記者として糊口をしのいでいた。政治家の汚職を追及していた日々は今や遠く、目下取り組んでいるのは幽霊話の企画ものだ。読
2024/04/27 11:48
朝星夜星
著者 朝井 まかて出版社 PHP 長崎の老舗見世で奥奉公するゆきに縁談がもちあがる。宴で阿蘭陀料理を供した際にやってきた料理人丈吉がゆきを見そめたらしい。木箱を運び入れるのを手伝ったからかと思っていたゆきだが、実はゆきの食べっぷりが気に入ったのだと
2024/04/20 10:41
青木きららのちょっとした冒険
著者 藤野 可織出版社 講談社 本書に収められた9篇のいずれにも「青木きらら」が登場する。彼女自身が語り手のものもあれば、主人公のあこがれのアイドルだったり、河川敷に捨てられた惨殺死体だったりする。「青木きらら」は、いわば現代社会を象徴するよう
2024/04/13 10:30
真珠とダイヤモンド
著者 桐野 夏生出版社 毎日新聞出版 世界中どこにいても瞬時に最新ニュースを知ることができる現代だが、文字だけのニュースよりも映像によるニュースが臨場感および衝撃を与えるのは変わらない。紛争や天変地異、さまざまなニュース映像のなかでも、殺害の
2024/04/06 10:09
いい子のあくび
著者 高瀬 隼子出版社 集英社 雑踏や駅の構内でスマホを見ながら歩く人たちは、向こうから来た人が必ずよけてくれると思っているのだろうか。そうではないことを直子は知っている。体格のいい婚約者の大地には、「ながら歩き」の人とぶつかりそうになったこと
2024/03/30 21:17
照子と瑠衣
著者 井上 荒野出版社 祥伝社 後先考えず行動する友だちに手を貸して、どんどん窮地に陥るという女ふたりの逃避行を描いた映画『テルマ&ルイーズ』は、絶望的な結末に迷わず突き進む女の友情がすがすがしさを感じさせる名作だった。その題名をもじったような本
2024/03/09 11:26
本売る日々
著者 青山 文平出版社 文藝春秋 十返舎一九の『東海道中膝栗毛』や曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』などの人気本には目もくれず、漢籍や仏書、歌学書、国学書といった学術的な書物を扱う松月堂の平助には誇りと夢があった。単なる本売りではなく、いずれは版元
2024/03/02 14:47
カモナマイハウス
著者 重松 清出版社 中央公論新社 少子高齢化時代のいま、日本が直面しているのが空き家問題である。空き家率13.6%(2018年)、すなわち7軒に1軒が空き家で、それは空き家一軒にスイス人が一人ずつ住んだとしてスイスの全人口がまるごと収まってしまう数であ
2024/02/24 10:30
墨のゆらめき
著者 三浦 しをん出版社 新潮社 三日月ホテルに勤務して15年、生来人あたりのいい続力は、ホテルマンという職業はまさに自分の天職だと日々感じている。そんな彼が、真夏の日差しのもと、仕事の依頼で初対面の人の家に向かう。しかし、「線路沿いの道を五分
2024/02/17 11:00
ヒロイン
著者 桜木 紫乃出版社 毎日新聞出版 宗教団体が起こした無差別テロ事件の実行犯として指名手配された啓美だが、実際はたまたまその日、実行犯と行動をともにしただけで、事件については何も知らなかった。だが、無実であると証明するものはなにもない。その
2024/02/10 10:30
それは誠
著者 乗代 雄介出版社 文藝春秋 クラスのなかでも普段はそれぞれ別の友だちといる高校生が、修学旅行という特別な行事で同じ班になる。行き先は東京、まる一日が充てられる班行動は、あらかじめ計画表を担任に提出して計画通りに行動しなければならない。その計
2024/02/03 11:32
777 トリプルセブン
著者 伊坂 幸太郎出版社 角川書店 東京発の東北新幹線「はやて」に乗り、トランクを盗んで上野で降りる。その「簡単な仕事」も世界一ツキのない男、七尾がやると次々にトラブルが発生して上野で降りることができない。それどころか七尾の同業者同士のいざこざ
2024/01/28 15:58
悪口と幸せ
著者 姫野 カオルコ出版社 光文社 昭和の時代、たいていの親は子どもがマンガを読みふけるのにいい顔をしなかった。そんな親の目を盗んで読んだマンガのストーリーは、秘め事のスリルとともに長く少女の心に残る。同時に、主人公はいつも美しい少女で、どんな
2024/01/20 10:30
ハヤブサ消防団
著者 池井戸 潤出版社 集英社 亡き父が愛したハヤブサ地区に居を構えた作家の太郎は、誘われるまま地域の消防団に加入する。のどかな土地での和気あいあいとした閑職と考えていた太郎だったが、すぐにそれが思い違いだったことに気づく。ボランティアとは思
2024/01/13 21:03
八月の御所グラウンド
著者 万城目 学出版社 文藝春秋 さらさら流れる鴨川に架かる橋から望む大文字山。京都のそんな爽やかなイメージは夏の酷暑と冬の底冷えを一度でも経験すると雲散霧消する。京都の大学で学んで4年、夏休みには京都脱出を至上としていた「俺」だったが、休み前に
2024/01/06 14:54
荒地の家族
著者 佐藤 厚志出版社 新潮社 大地震と津波がすべてを奪ったあの日を祐治はいまだに心のなかで清算できずにいる。あれから時が経ち、街や道路は整備され、かつての惨状の痕跡はほとんど消し去られた。震災後の苦境時に亡くした妻や、再婚したがうまくいかなか
2023/12/30 12:30
夏日狂想
著者 窪 美澄出版社 新潮社 白皙の詩人、中原中也は、その才を惜しまれつつ若死にした。まだ学生だった中也の才能を見抜き、彼のミューズとして中也を支えた年上の女、長谷川泰子の生涯を描いたのが本書である。女優を夢見たが芽が出ず、男たちに愛され求めら
2023/12/23 14:40
奇跡
著者 林 真理子出版社 講談社 「事実は小説よりも奇なり」というが、逃亡犯たちについてのノンフィクション『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』のなかで著者の高橋ユキと対談した道尾秀介は、事実をそのまま書いたら小説はかえって嘘くさくなるといったコメン
2023/12/16 21:16
彼女のことを知っている
著者 黒川 創出版社 新潮社 人の記憶は不思議なもので、曖昧なところと妙に鮮明なところがある。誰かと出かけたときの些細な会話は覚えているのに、なぜいっしょに出かけたのかが思い出せなかったりする。著者の分身とおぼしきミツオが20代のときに取り組ん
2023/12/09 10:00
汝、星の如く
著者 凪良 ゆう出版社 講談社 瀬戸内海に面した小さな島にはプライバシーが存在しない。暁海の父親が愛人宅から戻ってこないことや、櫂が京都から転校してきたのは母親が男を追いかけて島にやって来たからだと誰もが知っている。いわば島の異分子である暁海と
2023/12/02 08:55
うたかたモザイク
著者 一穂 ミチ出版社 講談社 表題の通り、作風の異なる物語がモザイクのように散りばめられた短編集である。 読者モデルの杏が目立たない同級生に惹かれ、彼女の地下アイドル活動を推す「droppin’ drop」や、9.11で恋人を喪った従兄を慕い続ける「s
2023/11/25 10:51
待ち遠しい
著者 柴崎 友香出版社 毎日新聞出版 一軒家の離れを間借りしている春子は、大家が高齢で亡くなったあと、代わりに母屋に移り住んできた大家の長女、ゆかりに誘われて時々会食するようになる。母屋の向かいにはゆかりの甥夫婦が住んでいて、甥の妻の沙希とも
2023/11/18 11:09
開墾地
著者 グレゴリー・ケズナジャット出版社 講談社 「言葉の壁がある」というと、外国語を話せないから外国人と意思の疎通ができないという意味になる。隣国と国境を接していない日本では、国内で「言葉の壁」を感じることはなく、学校や近所で、ましてや家庭内に
2023/11/11 11:00
あなたに安全な人
著者 木村 紅美出版社 河出書房新社 都会の生活に疲れて9年ぶりに生まれ故郷に戻ってきた妙は、空き家となっていた両親の家に転がり込み、極力外出せずひっそりと暮らしている。新型コロナ感染症が広がりはじめた当初、人の行き来の少ない田舎では感染者の多
2023/11/04 10:00
水平線
著者 滝口 悠生出版社 新潮社 亡き祖父が昔住んでいた硫黄島の旧島民墓参事業に参加して以来、来未のもとに知らない男性から電話がかかるようになる。祖父一家が硫黄島から強制疎開する際、軍属として島に残り、十五歳で亡くなったはずの祖父の弟の忍を名乗る
2023/10/21 11:30
沈黙の終わり
著者 堂場 瞬一出版社 角川春樹事務所 千葉と埼玉の県境で数年にわたり起きている小学校低学年の少女の行方不明、殺害事件は、同一犯によるものではないかと若手記者の古山は察しをつける。県をまたぐ犯罪には目が届きにくい縦割りの警察と異なり、新聞記者は
2023/10/14 15:54
逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白
著者 高橋 ユキ出版社 小学館新書 漫画「ゴールデンカムイ」や吉村昭著「破獄」のモデルとなった白鳥由栄は、青森、秋田、網走、札幌各刑務所から計4度脱獄した経歴とその特異な手口から「昭和の脱獄王」の異名を持つ。狭い独房の壁をヤモリのようによじ
2023/10/07 11:00
燕は戻ってこない
著者 桐野 夏生出版社 集英社 元バレエダンサーの基とイラストレーターの悠子は、不妊治療の末に代理出産という手段を選ぶ。悠子の卵子は老化による不育症のため、基の精子を代理母に受精させる。つまり生まれてくる子は、実質的には基と代理母の子になるのだ
2023/09/30 14:50
パンとサーカス
著者 島田 雅彦出版社 講談社 選挙応援演説中の安部元首相が凶弾に斃れた事件を予見していたと話題になった作品である。政権与党の実質的な一党独裁が続く日本の現状やアメリカに追従しながら保身と蓄財にいそしむ議員たちを風刺的に描き、そんな政権を支持し
2023/09/23 10:49
クラウドの城
著者 大谷 睦出版社 光文社 ミステリー作家の登竜門のひとつ、日本ミステリー文学大賞の第25回新人賞受賞作である。バグダッドで起きた自爆テロで恋人を失った鹿島丈は帰国後、北海道に作られた世界規模のデータセンターの警備員として働き始める。国家機密や
2023/09/16 21:15
彼女の名前は
著者 チョ・ナムジュ (小山内 園子/すんみ訳)出版社 筑摩書房 大ベストセラー『82年生まれ、キム・ジヨン』で韓国社会における女性の姿を世間に知らしめたチョ・ナムジュが、新聞や雑誌などに発表した短編を集めた本書では、さまざまな年齢、社会的地位にある
2023/09/09 11:21
大鞠家殺人事件
著者 芦辺 拓出版社 東京創元社 大阪、船場の解体現場で防空壕が発見される。なかには大量の本があった。古今東西を問わぬ当時最新のミステリー本を包んでいた古びた布には「大鞠百薬館」の文字とロゴが染め抜かれている。同じころ、そこからほど近い病室では間もな
2023/09/02 11:00
すべての月、すべての年 ルシア・ベルリン作品集
著者 ルシア・ベルリン (岸本 佐知子訳)出版社 講談社 ルシア・ベルリンの名は、たまたま目にした雑誌かなにかで知った。それから読むのを後回しにしていたが、今ではもっと早く読んでおけばよかったという気持ちでいっぱいだ。幼少期から南米チリで過ごした
2023/08/26 11:27
スワン
著者 呉 勝浩出版社 角川書店 地元民なら誰でも足を運んだことのある大型ショッピングモール、スワン。のどかなモールに突然二人の男が現れ、手製の銃と日本刀で無差別に客に襲いかかる。犯行後、犯人たちはその場で自殺する。数十人の死傷者を出した未曽有の
2023/08/19 11:24
八月の母
著者 早見 和真出版社 角川書店 2014年8月、伊予市で起きた17歳の女子への集団リンチ殺害事件をもとにしたフィクションである。 男にだらしない母に育てられた娘は、母の生き方を嫌いながらも同じような生き方しかできない。生まれつきの淫靡な空気をまとい
2023/08/12 14:40
任務 松本清張未刊行短編集
著者 松本 清張出版社 中央公論新社 副題が示す通り、松本清張の未刊行作品を収録した短編集である。ほとんどが1950年代中頃から70年代にかけて雑誌掲載されたもので、推理小説の巨匠として名の知られた著者も若かりし頃は、さまざまな傾向の小説を手がけ、模
2023/08/05 14:11
俺ではない炎上
著者 浅倉 秋成出版社 双葉社 気になったツイートをリツイートする。それは大学で社会派サークルを主催する初羽馬にとって、ごく日常的な行為である。まして、リツイート数がたったの二十六なら自分がリツイートすることにより、さらに拡散することができる。
2023/07/29 13:42
掌に眠る舞台
著者 小川 洋子出版社 集英社 小川洋子の代表作とされる『博士の愛した数式』には正直、評判ほどの感銘は受けなかったのだが、以降発表された『ことり』『琥珀のまたたき』での世界の片隅にひっそり生きる人々への慈しみと優しさに満ちた作品には魅了されてき
2023/07/22 10:09
しろがねの葉
著者 千早 茜出版社 新潮社 食い扶持を探して石見銀山を目指す道中で両親とはぐれたウメは、伝説の山師、喜兵衛に拾われ、女人禁制の銀山に出入りするようになる。夜目が利くウメは重宝されるが、成長するにつれ女らしくなる体をもてあましはじめる。一方で、
2023/07/15 10:49
黄色い家
著者 川上 未映子出版社 中央公論新社 最後のページを閉じてすぐさま最初から読み直したくなる。バブル崩壊の予兆に満ちた1990年代にいっしょに暮らしていた黄美子が逮捕されたというニュースをきっかけに花が当時を回想する本書は、顛末を知っているからこそ
2023/07/08 11:27
女人入眼
著者 永井 紗耶子出版社 中央公論新社 武士が台頭した鎌倉時代に、源頼朝の妻でのちに尼将軍と呼ばれた北条政子は女ながらになぜ世を牛耳ることができたのか。政子の長女の花嫁教育の一環として都から呼び寄せられたひとりの女房の視点を通し、日本史上最強と
2023/07/01 11:10
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