緑一色
現在、思い出そうとすると、その光景はセピア色に染まっている。 何の気もない日常が、それでもとても尊く思い出されるのは、 年をとった、ということなのだろうか? ::::::::::::::::::::::::::::: となりの卓から、怒鳴り声が聞こえた。 「ふざけんな、何が32,000点じゃい!」 酒が脳天まで廻っている様子のおっさんが、怒号をあげる。 酒のせいなのか、その頭頂の平野が真っ赤に燃えている。 まるで、おべんとうに入っているウインナーのたこさん、のような感じ。 「緑一色じゃ。おまえ、リューも知らんと、麻雀打ちよったとかいな?」 和了したほうのもやしのような風貌のおっさんは、淡々と続ける。 緑一色を、リュー、と呼ぶあたり、かっこいい。 本当は仲がいいのだろう、 ほかのジャガイモとはんぺんのようなおっさんも にこにこして、見守っている。 その..
2022/11/30 14:47