「遠くへ」
「遠くへ」朝霧よりも密度の濃い分厚い水膜の向こうへ手を伸ばせば、なぜに届かざる地平線に届く群れをつくる白波よ輝く白浜に歯向かえ沖を行き交う帆船に目をやれば、なぜに見えざる異国を思う炎天下の陸に登れば街を闊歩する獅子のひざ下までしっとり垂れるそのたてがみなびきながらもつれながら彼方に揺れる志士達の魂よおい、地球の民よ騙し合っている探り合っている真っ白な嘘を塗り替えてみないかおい、地球の民よ痛みきっている弱りきっている大地のどよめきに耳を澄ませるがよい子分達に裏切られた怒り、憤り雲の群れはごうごうと流れる己の罪を大空に放ち希釈して振り返らず、立ち止まらず我が身を省みぬ地球の民よ地球を救済し、開発せよ鳥達が飛び立つ宿り木を見守る者などいやしない海がうねる陸がゆれる空がはねる地がはてる世の果てに投じた石ころよ水面をはね...「遠くへ」
2021/06/06 15:44