駿河遊侠伝 ~ 子母澤寛のすごさ
変わったペンネームだと思っていたが、子母澤寛の「子母澤」は住んでいた世田谷区の地名から採ったそうだ。その子母澤寛の「駿河遊侠伝」を読んだ。正編、続編の2冊構成だ。最初は読みにくいなあ、と思いながら読み進めたのだが、まるで本当に見てきたような描写にいつしか引き込まれていった。子母澤寛は、明治25年生まれ。小説を書くようになってからも、江戸時代を生きた人は何人も存命していた。その人々に取材して「古老曰く」という描写で当時のことを詳しく聞いているのだから、かなりリアリティがある。この「駿河遊侠伝」は清水の次郎長のことを描いた小説だ。言うまでもなく、清水の次郎長はやくざだ。だから、いろいろ悪く言う人もいる。私自身、次郎長は明治以降は、「官」の側に行ったのだから、利権ももらえるし、悪いことをしなくてもよくなったのだ、くら...駿河遊侠伝~子母澤寛のすごさ
2021/08/18 20:33