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Moon Age https://blogmura.com/profiles/10454021

こころのなかに積まれた想い出や、触れ合った記憶。迎える日々の愛しさやもどかしさ。じょうずな感情の手放し方を探す旅をしています。

ふつふつときた時にだけ、書く。

ルーナ
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住所
斑鳩町
出身
鳥取市
ブログ村参加

2012/01/21

1件〜100件

  • ベストフィット

    目覚めた時のポーズ あたまの置き処 からだの沈み処 ふとんの団子具合 それが たぶんわたしのベストフィットだ だから、 眼を開けたけど 動きたくない これを記憶しておいたなら、 形状記憶できたなら、 あんなに寝返りを打つことないのに 溜め息をつくこともないのに ……と、いつも思う どうして毎晩思い出せないんだろう 今日あったことのいいことを ひとつ ひとつ並べて 口の端っこをすこし 持ち上げ…

  • 通り雨

    珍しく  私より早く 貴方が雨音に気付いた ふたりして  洗濯物リレーして 慌ただしく取り入れた 雷が地響きをたてて ガソリンスタンドの洗車みたいに  窓硝子を洗って 景色も流れていった ストローくらいの太さで 斜めに降り注ぐ雨を視ながら ふたりして  お皿を並べて 遅い昼ご飯を食べた 「また、夏がくるんだなあ。」 私は 図書室から借りた本をかばいながら走った、 夏休みのプール帰りの道を…

  • あなたの居る部屋

    あなたとの空間は とても好き だけれど ひとりの部屋も 至極好き あたまの中でとりとめもなく 環状線に乗っているみたいに ぐるぐる ぐるぐる 明日のわたし 昔のわたし 巡ってみる 眠れるはずの睡眠誘導音楽を探して ネットの中をとりとめもなく 感情船に乗ってるみたいに ぐるぐる ぐるぐる 浅い眠り 忘れたはずの顔ぶれ 甦ってはじかれる ベッドから手を垂らして 空気をかいてみたい でも 誰かに…

  • 身ひとつ

    手放すことも楽しいんだ そう言えるまで、随分と月日がかかった 手に入れることの楽しさを追いかけていた 弾かないギターが処分品といっしょに、 不用品回収トラックの幌に吸い込まれていった 「傷ついちゃいけないからなあ。」 って、クタクタの段ボール紙に幾重にもはさまれて 業者のおじいちゃんの口元は すこし上がってゆるんでいた 売り先に思いを巡らせていたのか かわいい誰かの喜ぶ顔を描いていたのか …

  • 万能なことば

    「ありがとう。」と、「ごめんなさい。」と。 そのふたつを憶えたなら きっと だいたいは上手くやっていける ……と、 あなたを視ていて そう思う それは 万能のことばなんだよ (覚えて 憶えて)” ポケットにいつも 入れておいてよ あなたが 「ありがとう。」って言ってくれたら わたしも嬉しい。 あなたから 「ごめんなさい。」があったら わたしは頷くよ。 そしたら だいたいは許してしまえるんだ …

  • 今日咲く花

    長い尾っぽをぶんっと振って、 電車みたいに連なって 修学旅行のバスが右折していく 開け放たれた窓から  なだれ落ちそうに 眠っている制服の君たちを視ていた 幸せかい 愉しいかい ついこの前まで、 あの広い駐車場に バスは一台も停まってなかったんだよ 何気ない日常 決められた時間割のなかの予定 気だるいかい 味わってるかい 今日とおなじ日は二度と来ないこと知ってるかな 私はあの頃 わりとのほ…

  • 取越し苦労

    なんにも作れなかったあなたが 「もう 食べられる?」 と わたしを呼ぶ テーブルに あなた手製の朝ごはんが光っている すごく長い道のりのようでいて いつのまにか…の ようでもあって おいしいね と 微笑んで おいしいね と うなずき合う いつか どちらか一人の食卓になる日々も そんなに遠いことじゃない そんな時 ふたりで 陽のあたる山々を視ながら こうして食卓を囲んだこと 何気ない会話で盛り…

  • 瞬間

    いつだったか… 「ボケるのはええで なんもわからんようになるんやで なあんも忘れてしまうんや  こんな気楽なことがあるかあ なあんもやで 全部やで」って そんな言葉を聞いた あんまり何度も繰り返すから 困ったひとだなあ と 思った 計り知れない苦労を 誰かに負わせて そんな気楽は無いだろうって 私は ずっと自分を判って居たい 私を失くしたくないと思った 真夜中にふと よみがえり 顔を洗う手が止…

  • 初詣で

    大晦日の夜が 極まっていく 急かれるように 重ね着をして  雪だるまになって 人通りの捌けた夜を往く 信号の青は なかなか来ない 見上げれば 16番目の月が ずっと 私達の上を照らしている 造り酒屋の在る路地へと曲がり 猫坂を上がる時  ふと あなたが呟いた 「知らない町を歩くようだ。」 現実的なあなたの口から 感覚的な言葉がこぼれた ぽかんと あなたの横顔を視た ぼやっと 時空がブレた気…

  • 雲よ流れろ

    風の神さまが走られるから お正月は 雲も忙しい お陽さまの前を横切るたんび ストンッと 部屋が夕昏になる 気持ちもズンッと落ちていく 雲が捌けて 陽が降れば 窓辺の花も にっこり笑う ある時~ ない時~ の まだら模様に わたしの気持ちも忙しい 雲に傾いて 翳るのを予期して虚ろうか 陽に傾いて 晴れるのを予感して待つか 心配性と楽観的 どちらに傾く? 分度器の度数で きっと毎日はぜんぜん違う…

  • 仕切り直し

    もうすぐ 年が暮れるからって あなたが磨いてくれた窓のこちら側で 子犬のように並んで 鉢植えの花が寒空を視ている 後ろ姿が かわいい 冷たい風が吹けば 枯れて終うのは自然の摂理だけど そばに居て欲しくて 硝子の内側に入れた 我がまま 南国の花ブーゲンビリアは 内に入れた途端 ほとんどの花と葉を落とす いつも いさぎよい 環境が変わるといつも 蕾も若葉もサッパリ 自ら落としてしまう そして 瞬…

  • 響き

    一軒の家を隔てて 前には 線路が走っていた 数分置きにやってくる 規則的な振動と騒がしさと 知らず知らずに 終電に始発は時計代わり ふくろうのため息と鶏の雄叫び あの頃は 憂いたこともあったけれど 今は 想いふくらむ 夜が更けて 街が寝静まると 懐かしい列車のリズムが 遠くから響いてくる 枕に 耳を着けて眼を閉じる ガタン ゴトン… ガタン ゴトン……  眠るまで もう少し走っていて ああ…

  • 意識

    いつも 気になるもの 鳥の翼 細いプラスチックのような脚 魚のひれ うろこ エラの閉開 猫の瞳 しっぽのクネリ 犬の耳 心臓の鼓動 兎の鼻 背中の丸み ネズミの手 忙しい前歯 イルカの笑い顔 話し声 トンボの複眼 首の捻り などなど それから  あなたの枯れた声 咳の音  わたしの脳トレ 筋トレ 人間の五感と生物の五感 わたしよりずっと優れた耳が ぴくぴく動いてると 何処の音を聴いているんだ…

  • シーラカンス

    「いつか解かるよ。」と 言ったら 「いつかの話ばかりする」って 苛立った顔をした 今はまだ 判らないことが沢山あるよ 発展途上の道半ばだもの 言葉だけじゃ 仕方ないんだ 時を重ね 少しずつ登り詰め 坂の上に立った時 初めて視える景色があるんだ 昔 やっぱり私も解らなかった 今だから判る感情がある みんな 待てなくなっていく 想像を頭の中でひろげる前に 答えが知りたい バーチャルで見せてよ 今…

  • 本能

    さっきから ぱんぱんっ!と音が鳴っている ビービー弾で狙われているみたい 身体を硬くして 辺りを窺う 逃げた方がいいのかな お隣で 焚火の牧が爆ぜてるのかな 家宅捜索をしたら 犯人は鞘のなかの花の種だ 窓際で陽を浴び 鞘がふたつに割れている お皿の上でくるくると カールしたマカロニだ 螺旋によじれて寝そべっている   種はジャンプして 床の上に着地している そうか そうだね 自分からだね 待…

  • 聖夜の夜更け

    叩け 叩け 叩け 心の扉を叩け 今 どこで考えた? そう 身体の高いところに在る その 頭脳のなかで ずっと そこが主役だ 出てきた言葉は 的をすこし外れているよ 自分では気づかない でも ほら  眼の前に居る人が すこし首をひねっているよ 怪訝な顔をしているよ 自分のことなのに まるで 誰かがもうひとり居るみたい 他人事のよう 第三者になっているよ 叩け 叩け 叩け 誰も それぞれひとつ…

  • 想い出が尽きない夜を

    ああ よかったな スマホの操作を間違えたって スマホの画面に あなたのビックリ顔が現れた わたしは とにかく可笑しくて可笑しくて ずっと 笑いが止まらないよ 嬉しすぎて 笑いが止まらないよ そうか…… 人は嬉しすぎると笑いが止まらないんだな そう言えば 子供って確かそうだなあ 嬉しいとクニャクニャして やたら笑ってるなあ ビデオ通話が出来ること 知っていたけれど いつか 老いていくのを憂い…

  • 素顔の野菊 (再編)

    薄日射す路地を行けば 群れ咲く野菊 いたずらっ子の瞳をして フェンスから顔を覗かせ 服の裾 つかもうと手を伸ばす 冬枯れの野に入れば 素顔の野菊 支え合いもつれ合い 冷えた土に横たわり 流れる雲を 眼で追っている 居たたまれず いくらかを手折り持ち帰り ガラスの瓶の水に挿せば 慣れない部屋に惑って ひどく居心地悪そうに 外ばかり視てる気がした 気取りない野菊 薄紫のあどけない野菊 むかし唱…

  • たからもの

    「こども扱いしないで」 と あのこが言ってる 「いつまでもこどもだと思ってるんだから」 と また あのこも言ってる こどもでいられることは どれほど 安堵なことだろう それを知らない だれもが大人になれと言う もう こどもじゃないんだよと言う おとなの顔をして おとなのふりをして それでも いつまで経っても おとなになれない自分がいる だから こどもに戻れる母さんの傍は いっとう 恋しい こ…

  • だいきらい

    吹っ切る 吹っ切れない  吹っ切ります 吹っ切れ ずっと ぐるぐる考えてしまうんだ メビウスの輪のように 終わりが無いよ “考え癖”って言うらしい ほんとは何でも 至極シンプルなはずなんだ それを 複雑な迷路にしてしまってるんだ じぶんから こどもが泣きながら 「大嫌い!」と叫んでいる ストレートだ 一本道だ いつから 言わなくなったんだろう 好き か 嫌い か… シンプルじゃないか ス…

  • 手が届く日まで

    冬の くぐもった鈍色の空を 旅客機が泳いでいく おもちゃみたいにミニチュアだから 手を伸ばせば つまめそうだ 異国へ行きたいなあ いつのまにか世界は近くなって 空港へ行って 路線は選び放題なはず…だな それなのに このごろ なんだかすごく遠い さみしいな 物語のようなホテルに泊まって 視たことない風景の窓を開けたい 嗅いだことのない匂いのする街 誰も私を知らない街で 人ゴミをくぐって歩きたい…

  • それぞれのデッサン

    あの駅前のロータリーで待ち合わせて 初めてデートした時から わたしたちは 互いのデッサンを始めた ナナメに向き合って 食事をして おぼろげな輪郭だけ 逢うたびに幾らかずつ 鮮明になっていく 笑った顔 怒った顔 惑った顔 哀しい顔 記憶の襞に どんどん書き込まれていく 黄や赤や灰に蒼と うっすら彩色も浮かんでくる 空白には憶え書きも増えて 賑やかになっていく 今日のあなたはオレンジ色をしていた…

  • バリア

    あなたが 花をみて“かわいいねぇ”って 言う あなたの横顔をみて (ああ よかったな)って 思う 心にバリアを打ち建てて ただ やり過ごす日々 分刻みで追われる日々 護ることで終わる日々 花は あなたを見上げているけど その色はモノクロで あなたの心に届かない あなたが 花をみて“調子いいね”って 笑う あなたの笑顔をみて (ああ うれしいな)って 思う あなたの心のバリアを どうやって取…

  • 憧れ

    あの頃 母の箪笥の上 乗っかってる飾り棚 瞳は釘づけだった 和服姿の人形や 鋳物に木彫り それぞれが くっついたり離れたり 硝子戸を隔てて わたしを見下ろしていた ショーウィンドウを覗くように 伸びあがって 時には椅子をはこんで 硝子を開けたり そっと 手に取ってみたりした 母と過ごしたあの部屋へ 眼を閉じれば 出掛けて行ける 子供には広い畳の部屋 大の字で寝そべった 背高のっぽの姿見に わた…

  • 大地の夕暮れ

    目覚めて眠る 絶え間ない循環  水槽で暮らす熱帯魚のあぶく こころが揺さぶられる 澄み渡るのは 極々シンプルなことだ と そんな扉の前に行き着く 一面のススキが原で 夕暮れを待つ 雲間から光が射した瞬間 辺りは黄金色に輝き もう なにもかも許された気がした 技術の進歩はめざましく 眼を瞠るけれど 心が洗われるのは そんな瞬間しかない気がする 咲誇る花がはらはらと散るとき 芽吹いた葉が燃…

  • とりとめのない話

    水の流れない沼の 表面に おおきな ちいさな 円盤が 絶え間なく生まれては ひろがり 融けていく 樹々は雫を溜めて 重たそうにうなだれている わたしの気配に気付いたのか 魚が 水面に黒く影をつくった 珠には 空を視においでよ 瞳が濁ってしまうよ 水面に落ちた わたしの傘と わたしの影が 逃げて 樹々と空と水草だけになった 流れたいな 流れたいな 留まると澱んでしまう ほんのちいさな希望でも…

  • 冬のともしび

    休日の陽だまり スマホを片手に とろとろと夢をみていた パンパンと矢継ぎ早の破裂音して まどろみから引き戻される 日は傾いて すっかり夕間暮れ ベッドから降りれば 裸足の足がつめたい 遠く山のふもとで 誰かが 空へ灯を投げ上げている ああ 粋だな 冬の花火だ 三日月の空に 菊華の切り絵が貼られて また 塗りつぶされていく もっと投げて もっと投げてよ ずっと夢を見させてよ 幾度でも幾度でも …

  • あなたの瞳

    むかし  ひととき預かった猫の  瞳が 水晶のようで胸が揺さぶられた 机の上が定位置で いつも窓の外を眺めていた 横顔にみとれた 光に透けていたな 空が映っていたな クリスマスの時にもらった 雪が降る硝子玉にも似ていた ひたすらに見つめたけれど ミィがなにを視ているのか わからなかったな… 凪いでいたのか 憂いていたのか 夢中なのか 冷めていたのか…… 言葉はすれ違っていくから もう要らな…

  • 秋の終わりの

    指先が冷たくなった朝 ひっきりなしに聴こえている カラカラと カカカカと 折々に手を止めて 顔を上げてしばらく 見つめている ただ見届けている 公園の傍らのいつもおとなしい樹が 秋の終わりを知らせている 葉を朝焼け色に染めて  カラカラと 乾いた葉でアスファルトを叩いている 風にカカカカ…と転がって ポストの下に積もっていく ああ、そうなんだ…手紙だな 枝を別れて降りていく  その一葉一葉が…

  • 霧の朝には

    陽が昇る前の うっすらと明るい山の端が好き 闇が明けていく ほおっと肩をおろす カーテンの隙間のガラス越し 信号がぼやけている フォグランプを点けて車が走っている ああ霧の朝だ 胸が躍る 窓を開ければスルスルと流れ込んで 部屋じゅうが ぼんやり なにもかも霧に融けてしまえ 手探りしたら ほんとに大切なものだけ 掴めるかもしれない サンダルを履いて出てみよう 靄の中を泳いで 新聞を取りにいこ…

  • 懐かしい夢

    しあわせな夢をみた ああ にぎやかだったな 霧雨が降っている 庭に降りて ひと巡り 今朝 流れる空気に触れる なぜ? 空を見上げる そんなにいつも 悔いていないよ もう過ぎたことだから ありふれた会話 笑った横顔 もう ここに無いけれど そんなにいつも さみしくないよ 雨に打たれて 首を揺らしながら それでも花は咲こうとする 寒さにひるんではいないもの 今は 今のしあわせが在るもの …

  • 新しい発見

    隣の部屋から聞こえてくる クイズ番組を視てるあなた テレビ相手に ファイターでおしゃべりだ 初めは似てるところばかり探していたのに いつしか 三角の眼をして  違うところばかり気になったり “寄り添う”ことから外れていく 組み立てるピースの順番が違っていたり 使う言葉が違っていたり 思えば 当たり前なのに そっくりおなじ人間なんているはずがないのに 「だいじょうぶ?」と、 撫でられた背中の…

  • 言い忘れたことがないように

    通りすがり あなたの匂いのする部屋で あなたを真似て 椅子にすわり あなたがはさんだ栞のページをひらいてみる 顔を上げて 窓のそとを眺める そうか こんな感じ 坂の道を車が登っていく 空が近いね 工場の音がすこし聴こえてくるね… あなたがいないこの部屋は なんだか不自然 胸のなかがモヤモヤする 慌てて部屋を飛び出して 高速で階段を走って降りた ふんわり灯りのドアを開けて 「あのね、あなたの…

  • 自然の一部

    カーテンの端をつまんで わずかに残る蒼い空を じっと見つめていた 眼をそらすと 雲に食べられてしまいそうで 蒼い空はほんとは見なかったかもしれない そんな頼り無さで くぐもった光に浮かんでいた 今朝の話だ もごもごと布団を抜け出すと 床はひんやり 裸足の指がまるく縮まる 幾つ重ねようか  長袖の上着をベッドの上に投げて クローゼットの扉を開けたり閉めたり 仕度はもたもた てのひらで温もりの宛…

  • 心はほどけているかい?

    四十年来の親友から やっとスマホにしてLINEを始めた知らせ 情報通なくせに 頑ななとこ彼女らしい ふたりの歴史… 受け入れられるものと拒むもの それぞれ違っていてもいい 話は平行線でもいい ただ 雨の日も風の日も ずっと返事をくれてありがとう いつも 私を許してくれてありがとう LINEの距離は近いな レシーブの速いこと うたた寝の真夜中に話は尽きない 「もう寝よう」を 言い合いながら 昔気質な互…

  • 愛しいひとりぼっち

    中央公園の ゆるやかなスロープを上がれば 寝そべった山々と街並みが見下ろせる 秋の陽とわたし 土はアイボリーにあたたかく 石ころを乗せている ああ いい日和だ すてきなひとりぼっちだ 揺れるのをわすれたブランコに (乗ってみたらいいじゃないか)と もうひとりの私がささやく ひとりぶんの板きれ 二人乗りをしたこともあった 後ずさりして 地面を蹴ってみる 空は近づいて ゆらり遠ざかる あの桜の葉…

  • 夜明け前の夢

    明け方にみた夢は 駅のホームからだった あなたの声は受話器の向こう 「ごめんね ごめんね」と 二度繰り返してぷつんと途切れた 発車の電子音とアナウンスが 後ろでけたたましかった そんな物語は最近は視ていないな  わたしの意識はどこに在るんだろう あなたの顔が やたら鮮明に浮かんでいた 膝をかかえて丸くなって もうしばらく眠ろうとして まだ明けやらぬ障子のマス目を視ていた ホームに敷き詰めた…

  • かならず日は昇るのに

    舞い降りた命をあたためるひとと あたためていた命を空に返すひと 一日のうち ふたつの命のやりとりに触れる あたらしい命を護るあなたと 護り続けた命を手放すあなたと ひとは愛しくてかなしい ひとは優しくてさみしい 誰かのためにたいせつな命じゃない じぶんのためにたいせつな命だ だからどうか  誰かのために生きてとは言わない あなたのために その鼓動を感じて 胸に手をあてて その響きを確かめ…

  • わたしは旅をする

    とにかく とろとろと なめらかなコーンスープのように ねむって ねむって ねむって 意識は旅をする おもいがけないところへ むせ返るような草の匂い 仔牛のつぶらな瞳に青い空が映っている 石ころはみんな心を持って転がっている 眠ることで記憶の整理をするなら わたしはずいぶんと片付けている 夢遊病のように起きて 言葉を探していた分を ねむって ねむって ねむって 細胞は旅をする 千切れる前ひとつ…

  • まだ知らない秋

    曇天の朝に 窓を開けて風の匂いをかいだ 季節は 足早にながれていく 重なる雲に 憶えの秋を乗せてみる どれもみな 確かに在りながら 遠い彼方に 浮かんでいる ひとつとておなじ形をしていない 風は動いているのに わたし コップのなかの水のようだ たぷたぷとちいさな器のなかで 揺れて足踏みをしている 隅っこに置いたままの新しい靴 手にとって足を入れると 思いがけず温かい 床の上 踏み慣らして…

  • 森に居る

    樹々は言葉をもたない だからわたしも 言葉は部屋に置いていく 枯れた葉を踏んで 枯れた枝を拾って 空と鳥と風と 樹々の間を渡っていく 樹々に語弊はない すれ違いも言い訳も わたしたちの 訪れを待って 花を咲かせたりなんかしない 葉を捨てて枝を落として また 芽吹いて 時を重ねていくことに 迷いもてらいもない それが  とにかくうらやましい 見上げれば なにをそんなに憂いているんだい? ……

  • 窮屈を置いていく

    ほの暗い部屋の中に居て 開け放された 扉の向こうが気に掛かる 連なる部屋を 奥へ奥へと分け入りながら 視線はいつも ひずんだ硝子の 向こうばかりを泳いでいる 箱庭の四角い青空がまぶしい 明るい方へ 明るい方へ 手を伸ばすから 誰かわたしの腕をつかんで 陰に佇む わたしをここから連れ出して すぽっと抜けたら 私は松の枝に留まり おおらかな山々を飛び石にする そして あの空へジャンプする 窮屈…

  • ペンギンの夢

    昨夜 ペンギンの夢をみた 高い岩場のへこみから たくさんのペンギンが 海へ飛び込んでいく 雪崩るように 雪崩るように どうして今 ペンギンなんだ? 目覚めれば 忘れてしまう夢もあるのに 何度でも甦る 夢うらないを見てみれば あなたはこどもに慕われています あなたは家族に愛されています もしくは あなたはこどもを愛しています あなたは家族を愛しています いったい どちらの夢なんだろう …

  • むかしはむかし

    わたしはあの街を知っているけれど あの街はわたしを知らない もう 時が流れてしまったから あの浜辺で体育座りをして 時間をつぶしたこと あの店で知ったかぶりをして 珈琲を飲んだこと あの電車で雪に閉じ込められて 一日が暮れたこと わたしはあの街を憶えているけれど あの街はわたしを忘れてしまった わたしが居ないまんま 今日も 眼を覚まして眠っていく それは そんなに哀しいことじゃない もう …

  • 自由自由というけれど

    気ままに風に揺られている… 何にもとらわれない 自由で居てほしかったのは わたし 自由で居たかったのは わたし か細い葉のエアプランツを 旅先の銅山跡地で拾った 桜の枝に乗せてみた 苔を挟んで 細い細いワイヤーで巻く それだけで かなりの罪悪感 翌朝 別人?のように生き返っていた ホッと安堵しているように… 宿りたかったのだなぁ 落ち着きたかったのだ 思い込みはいけない もの言わぬ植物から…

  • 移ろい

    今朝 アスファルトの匂いはしなかった 湿った土の香りと 気がゆるんだように ふわふわ 浮き上がる アイビーの羽ばたきと 戦いはもう過ぎたのかな 時折 揺り起こされたように ひぐらしが鳴く 時雨の声を探すけれど もうどこにも 降ってこない 暑かったね…… 気がこぼれて ふわふわ 浮き上がる 足が地面に着いてない もうすぐ 息を吹き返したように 彼岸花がスッと伸びて あぜ道に ぎゅうぎゅうに…

  • 時と在ること

    むかしむかしの話を聴きたがるのは おさないこども 過ぎ去った彼方を懐かしむのは 時を積んだおとな 走っているのは 現在(いま)を渡る彼と彼女 こどもとおとなの真ん中すすむ それは 右へ右へとじぶんで巻く ゼンマイ仕掛けか それとも 遠い宇宙から送られる 間違わない時計か だれも持っている時間 数字盤のまんなか あの針の軸に立っているのはあなた 分刻みの目盛りを指差しながら 追われるか 追い…

  • 眠れぬ夜

    タイフーンがやってきて あなたとわたし この家のなか ふたりきり 雨はナナメに降っている 風は木々を捻っている あなたは眠っている わたしはカーテンの向こうの 雨音を聴いている カレンダーの過ぎた日に引かれた ナナメの線を視ている あとどのくらい こうして いっしょに居られるだろう あなたは寝息をたてている わたしはその呼吸を聴いている

  • シェルター

    すこし疲れたから 森のなかへ 迷い込んでしまおう 国道沿いにちょっとだけ 口を開いている 後ろからクラクションの音がしても 今は振り向かないで アスファルトの道を蹴って 降り積もった化石の葉を踏んで シダや突き出した根っこを横目で視て 傍ら 水の音が聴こえる 小石をころがしながら流れていく 倒れ込んで枯れた枝になって 束の間流れてしまおう そんなこと考えて ふっとわらう 繁みから 鳥の声…

  • 通り雨

    見上げれば 空の光が失せていた もうすぐ ここも スコールに飲み込まれていく 図書館の本を胸に守って 濡れるだけ濡れてやった 遠い夏がよみがえる そんなに迷わなかった 降られるまま 雨に打たれてしまえ わたしなんて この本よりもちっぽけだ プール脇の道を歩きながら まっすぐに前をみていた 煙る視界のそのむこうを 今も そんなに変わりはないな 相変わらずの じぶんの秤に安堵する 来た道を まだ…

  • 盆帰り

    盆帰りの夜に 二階のベランダから 眩しいほどの光が射していた 電灯をつけないで そっと上がり 垣間見ると 樹々の間から お隣のひろい縁がみえた 開かれた縁に みんな 宿り木に留まる鳥のよう ポリエチレンに似た懐かしい灯り燈るなか ふしぎな宴は進んでいく 3人の演者の聞き慣れない歌は 辺りをはばかることなく とうとうと流れる わたしはこどもになって カーテンの隙間細く 息を潜めていた 「あれ…

  • あやふやな話

    あなたは 「正論だね」って 腕を組むけれど わたしたちは教室や会議室で 議論を戦わせている訳じゃないよ 正論かどうかなんて この際 関係ない ふたりの決まりごとは 茶の間のテーブルの上で 湯呑や布きんやテレビのリモコンや そんなのが聞いてるだけなんだから 雨の日の昼下がり 空がすこし明るくなったから もう話をやめて 庭に出てみようよ あたらしい花が開いてるかもしれないよ それから もどって…

  • あの背中へ (再編)

    ポストの中で ひんやり冷えた 刷りたての新聞を小脇に抱えれば 足もとで ガザレアが 首をもたげて光を探っている 咲こうか 咲くまいか… しゃがんで「おはよう」を言うと ミストな雨が じんわりと滲みてくる こころなしか 辺りがぼんやり霞んでみえる 何故だか不思議な心持ち お盆に伏せたこんもりお山 その裾野まで 霧はそろそろ降りてきて もうすぐ 街も包まれていく 電車はノロノロかたつむり わた…

  • 囚われの彼女

    囚われている彼女が 自由になれるには どうしたらいいだろう 膝を突き合わせて パズルの解き方を探すけれど 決め手のピースは彼女が持っているから だれも答えにたどり着けない 高い高い塔にある ちいさな窓を開けて 今日咲いたばかりの花を そっと 投げ捨てる 花は風に身を任せ くるくると踊りながら ゆっくりと落下していく 身を乗り出して そのゆくえをみつめている 下で掲げている花籠のなかに 花はじ…

  • 希望ふたたび  (再編)

    たいせつなものを どこかに置き忘れてきたようで 見上げれば いつも曇り空 「希望」 駅で視たポスターに デカデカと ソレです! 忘れ物はソレです! 「希望」 遺失物預かり所にあるかな 電話してみようかな はやく迎えにきてって べそかいているかな 「希望」 呟いてしっくりする ほのかに胸のなかに灯りが燈る ふしぎなチカラが生まれる 生きていくのがつまらなく 曇天ばかりなら きっと希望が足り…

  • あどけない寝顔

    夜更けに 娘からのメールが滑り込んで ひとしきり 言葉を交わす それは とても幸せな時間 わたしの昔を そんなに話してなかったかな 「知らなかった」と、 驚く娘に わたしも驚く 忙しかったから でも 話した気もするな 娘も忙しかったんだ 日々を乗り越えていくことに 目線はふとした時から変わっていく こっちを振り返ってくれて 嬉しいな わたしのなかの冒険心が あなたを勇気づけられたな…

  • 雨宿り

    雨の音がちいさくなった 雨宿りから解かれたのかな お隣の空き家あたりから聴こえていた 子猫の鳴く声もしなくなった 行き当たりばったり そばの店に飛び込んで 雨止みを待って よく珈琲を飲んだな 本屋で 外の通りの雨具合を視ながら 立ち読みをすることもあった 軒下を借りて雨を見上げれば 見知らぬ人が お入りなさいと屋根のあるところまで 道行きを誘ってくれることもあった 近頃は 雨宿りをしなくなっ…

  • 山寺の紫陽花まつり (再稿)

    遮断機のひっきりなしと 行き交う人々の気忙しさと クラクションのけたたましさやら みんなみんな 置き去りにして 紫陽花が咲誇る山寺を目指す 道すがらの田圃の畔に すっくと立ってるアオサギに驚き 思わず声を上げながら くねくね道に身を任せれば アスファルトの帯はだんだん細くなる 竹林はいつも しんっと静まり返っている ふっくらと降り積もった枯れた葉は 砂時計の砂みたい ゆるやかに波打っている …

  • 愛の在り処を問われたら

    愛はどこにあるかと問われたら 愛は たぶんわたしのなかにあります まず わたしのなかの愛を育てるのが 揺るぎなく わたしを支えてくれると感じます みんな それぞれに胸のなかに潜ませていますが 表に出し慣れたひともいれば 胸の奥深くに沈んでいて あることすら じぶんで探せない人もいます 贈り方がわからない人もいます わたしのなかの愛はあげても減りません あげるほどにわたしが和んでいき…

  • 鳥になるために

    雲に隠れそうな 高い高い山の上から 鳥になるために 地面を蹴るヒトがいる 足元に土が無くなって 空に浮かぶ瞬間 なにもかも手放すんだろうな なにもかも地面に置いて 思いきり自由になるんだろうな 色とりどりのとんびの群れが ほわほわと風に乗り旋回する 地面を走る車窓から わたしは見上げている ぽかんと口を開けて いいなあってため息を吐きながら ちっぽけなわたしが そこから見えま…

  • アプリに夢中

    なんのてらいもなく みんな手を上げて 好き! 好き! 好き!って 言っている 好きなことを好きと言えるしあわせ なんて 楽しいしかないんだろう  思いきり空に解き放たれる いいね!って 返ってくる ありがとう!って 分かち合う ともだちがいっぱいだ 名前はなあに? どこから来たの?? SOSして教えてもらう ある朝に ぽんっ!と突然咲く花の 感激をシェアしたい  解かり合える誰かとすぐに 好き…

  • 心はいつも ずっと傍に

    家々の壁が すこしずつセピアに褪せていく レーヨンやポリエステル綿をのばしたような 雲がちぎれて 流されていく 空がずっと透けて見えてた 今日は心地好い一日だった… 夕暮れといっしょにみんな 声がやわらかく降りていく 傾いていく陽を手放して 肩の荷を下ろしていく 漏れて聴こえるニュースの声も なだらかに暮れていく どこかで、 「ママ! ママ!」と 何度も呼ぶ声がする 「はい はい ここよ」 …

  • エアプランツのように

    あれから あなたのために何ができるだろうと ずっと考えていたんだ 眼を離してた目玉焼きの焦げ付きがなかなか取れない そんな毎日 あなたは ただ居てくれるだけでいいと言う わたしは 何かできないかともがく 幾晩も眠れぬ夜を過ごすうちに ふと気づいたことがあるんだ あなたは もう昔の泣き虫じゃない わたしも もう昔のしゃかりきなブルドーザーじゃない でもわたしには ずいぶんと経てきた時間が積まれ…

  • わたしを解き放つのはいつもわたし

    わたしたちは 解き放たれたこどもだ ひろい森の中を 腕を振って大股で闊歩する 丸太の階段を降りれば そこは地球の緑地だ 今は池のそばだよ 水車小屋が視えるよ トランシーバーで言葉を交わそう 眼の前をしゃぼん玉がぽぽぽぽと流れてくれば 夢中で追いかけてやろう シロツメクサは踏まないよ 踏まないでね キャッチボールの傍を ナナメに横切って あの大きな滑り台まで走ろう 少し胸がざわざわと騒ぐけど …

  • アカシアの森に降る雨が (再編)

    アカシヤの森に降る雨が うつくしいのを知っている ドラマに映えるシーンのように 物語の挿絵のように わたしのなかに棲んでいて 束の間 浮かび上がっては 引き出しの奥 帰っていく 枯れた松葉の積もる地面は たっぷりと水をふくんで 踏み入れると ゆっくり沈んだ 葉に溜まる粒のひとつひとつに 森は閉じ込められていた クリスマスにお店に並ぶ あのガラス玉のように なかほどで立ち止まり 幾たびも 幾…

  • てのひらのたんぽぽ

    綿毛は旅立つものだと思っていた…… 公園の片隅で 丸いぽんぽんのたんぽぽの綿毛が  風が吹くのを待っていた ひと息に吹ききれば幸せ 旅立てば別離 ふたつの花言葉のなかで揺れていた 幼子が ぽんぽんに頬をふくらませ ひといきに吹いて にっこり笑う あの日向の板塀の前に居て 懐かしい一枚の写真を想い出した 綿毛は旅立つものだと思っていた ハードスプレーを吹き付けて ガラス瓶のなかにそっと落と…

  • 恋する彼女

    彼女は今も恋をしているんだろうか 仕事をそつなくこなす知的な彼女は 幾度も幾度も恋をして そして 幾度もうなだれていた あきらかに怪しかったり あきらかにずるかったり 騙されているよとたしなめても  誰の話にも耳を塞いでいた とろけるような瞳をして 彼の甘い囁きだけを聴いていた どこまでも 逢いに出掛けていた 恋はいつも数ケ月しか続かなかった そして いつもいろんなものを失っていた 彼女はそ…

  • かけがえのない瞬き (再編)

    飛び石を絶え間なく跳ぶように わたしたち 瞬間を渡っている スライド映画で繋がれた ひとつの物語のように 瞬間が連なっている この前 見とれた桜から もう やわらかな葉が吹き出している つぼみだったチューリップも すうっと首をのばして すぼんだ口を開き ヒラヒラと風にゆらめいている お母さんと手をつないでいる 甘えんぼうさんも そのうち制服を着て ともだちを追いかけて 走っていくんだろ…

  • ふしぎな午睡(ひるね)

    過ぎた日に訪れた海が 瞳の裏で光っている なぜだろう わたしは鳥になっている 地面を這ってなんていない 高いところから 見渡しているんだ 島並みが息をのむほど美しかった 薄暗い螺旋階段を登って 灯台の中ほどに出れば 吹き付ける風が耳元でごうごうと鳴り 口は塞がれるようだった たっぷりの青い水面に 幾筋も潮の道がついていた 行き交う船が 貼り付けた磁石プレートのようにみえた 一枚の絵画がどこまで…

  • 宇宙の塵になってしまえ!

    空を見つめている時は どこかへ行ってしまいたい時だって 空に逃げ場所を探しているんだ ここではない何処かへ 空は広くて自由だから 遠いむかし 空に吸い付いたように 眼を外せないことがあった ここではない何処かへ 心を必死に逃がしていたんだ やがて訪れる別離が怖くて やりきれないことがあるよ 言葉にできない虚しさや つかんで空へ投げてしまえ! 粉々に宇宙の塵になってしまえ!

  • 鏡の中のあなた

    忘れられる訳がない 花を見ればあなたが居る わたしの食の好みも仕立て方にも いつもあなたが居る あいさつのしかた ふとんの上げ下ろし 部屋の風の通し方 物事の筋の通し方 なにもかも わたしの中にはあなたがいる いつもそばに居てくれる 娘と話す時の わたしの口からこぼれる言葉は どこかで聞いたことがある いつのまにか 母の言葉に近づいている 娘からの贈り物が とても綺麗で ああ これは娘が使いた…

  • ひとりよりふたり ふたりより三人

    玄関先のヒイラギの葉のトゲトゲが無くなってきている 家を護ってもらおうと植えたのに、それじゃあ…… ヒイラギも歳相応に 丸くなっていくのかなあ お向かいの一人暮らしのおばあちゃんが 戻って来られた 歩くのはまだつらそうだけど、声はしっかりされている よかった お隣のおばあちゃんは二年前に出られたきり お家はからっぽのままだ たまに草抜きに縁者の方が訪れる その抜き方が…… まさにムシった感じ…

  • お気に入り

    なんだ いつのまにか私の好きなものばかりじゃない あなたのお気に入りがぜんぜん無いよ もっとなにか置いてよ リビングを見渡せば わたしのお気に入りだらけ あなたのは そうだな…テレビくらいかな……やっぱり そんな言いがかりをつけたら あなたは 首をかしげて苦笑いしてた 日が暮れて灯りをつければ 窓ガラスがスクリーンになった 椅子に座り 頬杖ついてる私と眼が合った うん?…… 「ごめんね わたし…

  • 天気雨

    夕刊がポストに落ちたよ 今日の日が傾いていくね 東の空にちぎり絵のような お月さまが浮かんでいるよ もうおうちへ帰りましょう って やさしい声が スピーカーから流れているよ 撫子の花が咲いたよ 緑の葉に赤が醒めるようだよ 夕べは少し雨が降ったんだね 朝刊を取って 車のフロントガラスに 水滴をみつけた 花たちがホッとしていた 急に暑くなったから ジョウロじゃ足らなかったんだね ごめんよ …

  • がまんが足りない

    ああ 失敗しちゃったな…… 一日のうちに何度も届く“だいすきだよ”のメールは (あいたいよ) (むかえにきてね)のメッセージだったんだよね ちゃんと解っていたんだよ だからずっと “あいにいくよ だいすきだよ”って 返事をしてた ちびもわかっていたんだよね “やったー!!”って よろこびながら 今は 扉を開けちゃいけない 家に籠っていなくちゃいけない 我慢の時で逢えないってこと “あいたいよ…

  • ついたちはいつも

    石造りの鳥居をくぐると 手水鉢がみえる 手拭いを渡して わたしが水鉢の後ろに回る あなたはひしゃくをかまえてスタンバイする あなたの唇の端は すこし引き締まってみえる 栓を軽くひねってるつもりだけれど 水は真鍮の鶏のくちばしからほとばしり うつくしい放物線を描いて あなたのひしゃくを軽く超えていく あなたは 小さく声を上げながら 慌てて ひしゃくで水を追いかける ごめんねと言いながらわたし …

  • 声を忘れていなければ

    頃合いに大気がぬるみ 寒さわすれる夜が巡る 五日目に風が吹き 十日目に雨が降る この頃は 束の間の凪日和 とろり波間に 浮かんで眠る 眠りに落ちるまで 憶えの部屋のドアを開ける あの口癖とその調べ ころころころがる笑い声 お腹の底から響く声や 叱りながら許してくれてる甘い声 ひとりひとりの面影が ひととき寄せて引いていく 懐かしさやら恋しさが ドッと胸に込み上げる 確かにわたしのなかに在る …

  • わたしも連れてって

    時の流れは のそりのそりと かたつむりのようだったり 一瞬でとどく ひかりのようだったりする 静まりかえった休日の路地に カラッと乾いた風が吹く 各駅停車に乗り換えたように 毎日はゆるやかに過ぎて行く 朝早くから 早口で言葉を折りたたむように鳴く鳥の声がする いろんな声音でとにかく賑やかだ 玄関先を掃く手が止まる ああ これは昔聞いたことがあるよ あたまの中でシュンッと音がする 高速で時の糸…

  • 知りたいことは山ほどある

    季節がぐるりと巡って 誕生日がやってきた 早起きをして お味噌汁をつくる 日付変更線を越えてすぐメールをくれたあなたに ありがとう これからもよろしくねって 朝ごはんをつくろう 相変わらず わたしが突っ込みであなたはボケてね これからもふたり たくさん笑おう ジェスチャーゲームして笑おう 今できることをひたすらがんばります 毎朝 手を合わせて神さまに誓う 過去でもなく未来でもなく 今に暮らす…

  • 瞳を開けたままみる夢

    通りの東と西 どちらの先にも見透かせば海が見える そんな漁師町の片隅で彼女は眠っている Webフォトから 一年前に訪れた旅の写真が届いた 方々を巡った果てに 念願だった彼女が生まれ育った町に辿り着いた 吹き荒れた雨風が止んで ふしぎなくらい静かだった 潮の香りが通りにあふれている 彼女が愛した街を歩き かつて生家の在った本屋を訪ね 奥まった彼女の部屋の前でしばらく佇んだ 記念館で生い立ちを ひ…

  • こどもの時間

    「うごいているよ!」 ちびからのメールには 器のなか ぷくぷくあぶくを出してるシジミの動画 (今夜はシジミのお味噌汁だな) 撮っているちびの影と みつめているちびの息づかい 受取りながら いっしょに眺める 「生きているんだねぇ」と、送れば 「そう!」と、生きのいい返事 昨夜は 大量な採れたてのワカメを グッとつかんで お湯のなかに入れてみる 一瞬に鮮やかな緑に変わるのを ちびに見せてやりたかっ…

  • 美しい星

    11光年先に 地球そっくりの星があるらしい  大きさもほぼ 気温もだいたい 生命体が居るのなら どんな暮らしをしているのかな ソチラもコチラに気づいてるのかな 住み心地はいかが?なんて 興味津々 ドキドキワクワク そっとコチラを窺ってるかな 毎日空を視ていると  雲の隙間を抜けてって コチラを覗いてみたくなる 地球儀まわして眺めるみたいに だれのものでもない地球に 間借りのはずが 線を引いて陣…

  • 母のふところ

    小さい方の娘が  ひととき わたしのふところにもぐり込んで また フィールドへもどって行った 見送る道すがら  前をじっと見つめながら 至極自然に 両の手でわたしの手を包んだ そして  ああ この手だ…と 言った こう見えてわたしは照れ屋だから むかしは するりと逃げてしまったけれど 今はもう 後に悔やんでしまうこと知っている 離さなかった ずっと 離せなかった ずっと それが あなたの救い…

  • 痛み分け

    春の嵐に 桜は雪のように舞った むかし 桜が散っていくさまに「あぁ」と思わず漏れた声から 「あわれ…哀れ」という言葉が生まれたらしい 桜はほろほろと流されて 連れていかれてしまった 嵐になる前に 玄関先の樹を刈り込んでよかった 葉の申し送りで これもまた雪のように落ちてしまう 斜交いの奥さんが玄関先をまいにち掃かれるので ずっと 風待ちをねらっていた 緑若い葉を刈りたくはなかったので 「今年…

  • お薬をもらいに

    服の袖越しにボタンを押した エレベーターのドアが開いたとき  一瞬 足が前に出なかった からっぽの待合室  長く降りたブラインドが風によじれていた いつもにこやかな受付の方は 奥の方 三人くらい団子になっている おびえた瞳で (エタノールを押して)と身振り手振り 診察はスルーになって先生には逢えなかった 希望の数だけでつくられた処方箋をいただいた いつも穏やかなおじいちゃん先生に わたしは…

  • 風のゆくえを追っていく

    公園がにぎやかだ  なんだかとてもはずんでいる 聞き流そうとして 二度見した もうとっくに公園を卒業してしまった男子達が 声変りをした声で ちいさな子供たちを束ねている ちびっこギャングたちは 少し戸惑いながら けれど嬉しそうにうなずいて そのうしろを追いかけていく あれ? これはかつての…縦のつながり 最近は回顧ドラマでしか見られない光景 これは夢?  新しいゲームが始まっている 娘たちが幼…

  • スーパームーン

    「階段の灯り またつけっぱなしだよ。」 「あっ ごめん。」 あなたは思わず謝るけれど いつだったかな  わたしが暗がりで 階段でつまずくんじゃないかって消せないって それからわたし こたつがつけっぱなしでも ホットカーペットがつけっぱなしでも そうか そうか って なんにも言わないことにしたんだ なにもかも 一辺倒に量れないなって う~ん…?って 思う時もあるけど あなたはあんまり 言い訳をす…

  • 空につぶやく

    心配ごと 眠れない時は ふとんのなか  膝を胸にくっつけて まあるくまあるくなって そう 体育座りのまんま ころがるみたいに 指のさきで くちびるにそっと触れてみる あったかい…… ほっとして そうしてちょっと眠くなる おかあさんのおなかのなか もどったようで ある日 とつぜん 地球に生まれて 大きく息を吸った それが 初めてひとりでしたこと びっくりして 泣いた なにも知らなくて ひとつひと…

  • 桜 ひらいて笑う

    桜待ちをしていた 車を走らせ 父が眠る桜下庭園へ向かう 道すがらは 桜桜桜…花の盛り 閉じこもりがちだったから 突然 眼が覚めたようだ ここにも居ますよ  わたし桜だったんですよって いつも見過ごしてしまう車窓に 次々と現れて 笑っている 山ふかく トンネルを抜けると 時間がゆっくり流れ始める 香が焚かれ 庭園はいつも美しい これ以上は無いほどに春が咲き乱れている いらっしゃい 手入れをして…

  • 別れを惜しむ

    読みかけの本に栞をはさんだまま 逝ってしまわれた方たち 続きが読めなくなることなど 思いもよらなかっただろう 今年のエイプリルフールは嘘をつく気になれなかった ずっと なにもかも錯覚で そのうち ごめんごめんって 種明かしをしてくれないかと思ってる もぅ いいじゃないか 気が済んだだろうって 視えない誰かに 言いたくなる 思いがけない人との 思いがけない別れ ただ素直に とても怖い 胸がざわ…

  • たからもの入れ

    お陽さま色をした缶だったから 選んだんだよ 開けたら しましま帽子のピエロのサブレ わぁって 瞳がキラキラ輝いた 缶カンはたからもの入れに変身して ずっと ちびのそばに居る ちびを明るく照らしてくれる そんな 願いをかけたんだよ お雛さまに お団子をいっぱい詰めて贈った その空き箱が ちびちびのたからもの入れになってると知って まことに嬉しいこと お気に入りのチラシを切って入れて  小脇にか…

  • おなかが空いたよ

    あっ おなかが空いてきたな もうだいじょうぶ 今日のわたしはきっと元気だ だって おなかが空いたから あんしん あんしん かなしいで  おなかがいっぱい さみしいでも おなかは満ぱい もうなんにも 入らない おなかが空くなら だいじょうぶ なにを作ってたべようかな 空き過ぎて 動けなくなる前に よいしょっと腰をあげなくちゃ どんな野菜があったかな 旬の息吹をいっぱいたべて 生きるチカラに…

  • 海のなかへ

    うたた寝をしたまんま 白い朝がきていた お隣の雨どいのどこか 朽ちているのか ひっきりなしに溝板を叩く音がする あぁ ちょっとだけ静かにして 考えないと 停止したアタマで そろそろと立ち上がり 顔を洗う あっ 今だ 泣いてしまえ そうだ 濡れているからわからない それより 庭へ出て行けばいい 空を見上げて 雨に打たれれば 泣いていたってわからない おふろもいいぞ 髪を洗えば 泣いていたってわ…

  • 掘り出しもの

    角っこの野菜市場の コンクリート打ちの床に 旬の野菜やくだものが ところ狭しと並んでいる ざるに乗せられて 袋に詰められて ごろごろ ごろごろ 踏まないように隙間を縫って どんどんカゴに入れていく 「野菜みてたら なにより嬉しそうだなあ。」 そう もぎたての野菜がなにより いっぱい元気をいただけるから   赤ちゃんを抱っこして よいしょっ よいしょって 新米のおかあさん 眼が合ってニッコリする…

  • 泣いたって

    あれは いくつの頃だったかな 母の鏡台の前にペタンと座り おおきな声で わんわんと 聞こえるように泣いてみた 母が 居なくなってしまうこと いつか逝ってしまうこと 聞いて おどろき慌てふためいて 泣いたらどうにかなるだろう わんわんと わあわあと けたたましく泣きながら 鏡のなかでいそがしそうに 行ったり来たりする母の 横顔を そっと盗み見ていた こんなに涙でぐちゃぐちゃなのに 母は知ら…

  • 他愛ないこと

    寝起きで あなたのつむじの髪の毛が ピンッと そらを向いているのが とにかく おかしい そのまま 神妙な顔をして テレビのニュースに 真顔でコメントしてるのが とにかく おかしい むかしなら 鏡に映したり 見せるのに苦心したけど いまは スマホで撮って ひとしきり ふたりでわらう そんな他愛ないこと いっしょにわらえるのが とにかく たのしい

  • あなたの瞳

    あなたの瞳をみていると あなたの胸の内がみえる 愉しんでいるのか 憂いているのか 夢中なのか 諦めているのか 言葉だけで量れない もっともっと中心の あなたのほんとが映っている 光のとどかない深いところ 感覚だけが際立って 瞳の色は褪せていく そんなところにずっと居て 生きていくための 爪ばかりを研がないで 時には大きく息を吸って ひろがる空に逢いにきて 澄んだ水にも棲めないけれど 濁っ…

  • お留守ばん

    お向かいのおばあちゃんが 雨戸を引いて カーテンになるのが 毎朝 だいたい十時半 去年の春に おじいちゃんが逝かれて ひとり暮らすおばあちゃんに 母が重なり いつもなにかと気になってしまう 雨戸は開かなくなって しばらく 門の前の葉ボタンは タワーみたいに徒長して 椿は大輪でいくつも 梅はぽちぽち可愛くて ぼけの一木に 紅白はあっ晴れ 雪柳もちらほら視えるよ 窓越しに眺めては 雨戸をみつめ…

  • 立春大吉

    夕べ  ヒイラギの葉にいわしのアタマ 恐がって 鬼は来なかった 豆は美味しくて食べきっていたから ほっとした 明けて 空は透けるように蒼く 見張るかす山の端がクッキリとしていた 新聞をとって 玄関先の落ち葉を掃いて 昨日乾ききらなった洗濯物を干した 『立春大吉』 彼が書いた文字を玄関に掲げて 大きく息を吸い込んだ すでに 咲き終わった花がらを摘んだ 空の鉢に 昔うちで咲いていた花の小さな…

  • ふたりの周期

    もう 駅の灯りが視えてきたよ もっともっと なにか 話していようよ さよならのスレスレまで ずっと 手をつないで 急いで 急いで “ありきたりじゃないの 変わったおもしろいの“ じゅもんみたいに 呟いてる がんばれ がんばれ 飛んできたのは やっぱり 『リンゴ!』 そう そこからね 焦ると いいの浮かばないね お手玉放るみたいに あなたの言葉のしっぽを わたしの言葉でむすんで ふたりずっと …

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