第四十八話(19)
会長の影人形はユラリ、ユラリと進行する。「…さあ、どうするα。」会長は表情を固くする。エリート達も、その行方を固唾を飲んで見守る。しかし、αは動かない。会長の影は、あと2m、1m…そしてその腕がαに届くところまで、接近する。それでも、αは動かない。(…抵抗しないのか…?)疑念を抱く会長。影人形はαを取り囲んだ。そのうちの一体が、腕を振りかざし、αに襲いかかった。「………」αの微笑、その瞬間。襲いかかった「はずの」影は、跡形もなく消滅した。「…え?え?」わけも分からず、副会長が思わず会長の顔を窺う。「…今のは…」会長は再び右手を動かす。左右から2つの影がαに襲いかかる。αがかすかに腕を動かしたように見えた。その2体も四散し、再び攻撃は退けられる。会長が、腕を止めた。「…指…」会長が呟く。「あいつの指先が触れたら、...第四十八話(19)
2019/08/15 17:32