寂しん坊のある日
今日も朝から蝉の声がやかましい上に、お日様ぎらぎら。 うんざりと窓の外を眺めつつ房江は今日こそ病院に行こうと思っていた。 どこと言って悪いところもないのに、全身倦怠感とふわふわ感で心もとない気持ち。 じっと考えてみるのに、これはもしかして鬱ではなかろうか。 後期高齢者で一人暮らしももう長い。 自分のことだけ考えていたらいいのだし、友達もいるし趣味もあるし、退屈をすることもない。 他人様からみれば気楽なばあさんなのだ。 ただ、退屈しないことと寂しいことは全く別物だと房江はこの頃やっと気がついた。 近所の少し年上の初枝さんの姿が見えないなあと思っていたら、昨日見かけたので 「初枝さんどこかへおでかけでしたか」 と聞くとくっくっと笑って 「私入院してたのよ。そこの脳神経外科へ」 「えっ脳神経外科?」 「昨年倒れて入院してから、しんどくな..
2019/08/23 16:52