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【追想】「声にならない会話」 ――旅人
ときどき、思うんです。 人は、本当に“死ぬ”んだろうかって。 もちろん、身体は動かなくなって、息をしなくなる。 棺に入り、花に囲まれ、火に還る。 でも、それで終わるなら、なぜ人はこんなにも“残る”んだろう。 この仕事に就いたのは、正直なとこ
2025/06/03 15:32
【追想】短編スピンオフ
「背中の仕事」 ――葬儀社社員・塩崎正吾(しおざき・しょうご) 葬儀というのは、喋らない仕事だ。 少なくとも俺にとっては、昔からそうだった。 口で取り繕うより、背中で見せる。 その方が、残された人には伝わると思っている。 旅人――あいつが入
2025/06/03 15:31
【追想】エピローグ 「それでも、人は手を伸ばす」
東京の冬は、急に来る。 十一月の終わり、旅人は北島長一から一通の葉書を受け取った。 端正な筆跡で、ひとことだけ。 「無事、初七日も済みました。今、家の裏に畑を作り直しています。 大根の芽が出ました。春には、漬物にできそうです。 ありがと
2025/06/03 15:27
【追想】第五章 「そして、手を離す」
朝の光が、ゆっくりと正蔵院の境内に射し込んでいた。 昨日の雨が、敷石にまだわずかに残り、光を弾いている。 旅人は、まだ誰もいない本堂に立ち、静かに一礼した。 空気は澄み、冷たい。だがその冷たさには、何か静謐な敬意のようなものが宿っている。
2025/06/03 15:25
【追想】第四章 「灯る夜、ほどける声」
風が止んでいた。 夜の帳が降りた正蔵院に、提灯の光がひとつ、またひとつ灯ってゆく。 本堂の内陣では、白木の祭壇が柔らかな照明に照らされ、花々の輪郭が浮かんでいた。 百合、菊、リンドウ―― 弟が好んだという、控えめな色味の花たちが、静けさの中
2025/06/03 15:23
【追想】第三章 「名を刻む場所」
それから旅人は、北島と並んで縁側に腰を下ろした。 畳の上に夕日が射し込み、二人の影が斜めに伸びる。 北島が静かに口を開いた。 「うちの檀那寺は“正蔵院”って言う。徒歩で十分ばかり。昔は村の祠みたいな扱いだったが、いまじゃ立派なもんだ」 旅人
2025/06/03 15:21
【追想】第二章 「声のない声」
茶を注ぐ音が、かすかに響いた。 急須の口から細く落ちる湯が、湯呑に小さな波紋を描く。 北島長一は、盆の上に湯呑をふたつ載せ、足を引きずるようにして戻ってきた。 旅人の前に静かに差し出すと、自分も胡座をかき、ゆっくりと座る。 「……それで、ど
2025/06/03 15:17
【追想】旅人の秋
秋の空は、高く、澄んでいた。 東京郊外、駅からゆるやかな坂を十五分ばかり上った先に、その家はあった。築百年の木造住宅。黒ずんだ瓦屋根に、苔むした石段。風に揺れるススキが、庭先でかすかに鳴った。 旅人は、門の前で一礼し、鳴りの悪いインターホン
2025/06/03 14:43
【追想】明治葬儀社 事務所
1997年、東京のある町にひっそりと佇む葬儀社――明治葬儀社。建物は古びたビル、薄暗い通りにその存在を隠すように立っている。外観は決して新しくはないが、長年の風雪に耐えたその姿には、何かしらの誇りを感じさせる。入り口に足を踏み入れると、静か
2025/06/03 13:08
地蔵菩薩
地蔵菩薩(じぞうぼさつ)は、仏教における菩薩の一尊であり、特に日本において広く信仰されています。 地蔵菩薩の概要 * **梵名:** クシティガルバ (Ksitigarbha) * **本地仏:** 釈迦如来また
2025/06/01 11:33
2025年6月 (1件〜100件)
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