第一部 1章−1 神々のディベート
いまだ何人もかつて訪れたことがなく、今後も誰も訪れることがないであろう西インド諸島とアゾレス諸島の狭間に位置する「バミューダトライアングル」の二万里を越える海底に、四次元空間につながる海主ネプチュヌスの城がある。陽の光さえ届かぬ深海底にひっそりとたたずむ城の回りでは、赤、青、黄、緑、オレンジにかがやく魚、エイ、鮫たちが泳いでいる。場内になるきらめく宝石のように飾り立てられた百の部屋は、マーメイド、マーライオン、セイレーンなど、海主の眷属たちの住処。水龍とマーライオンが戦う姿が描かれた広間では、人類の時間なら何百年にもわたる地球の明日を左右するかも知れない神々の議論が続いていた。青みがかった白銀の髪をなでるネプチュヌスは議論をおさめようとする思念を発することもなく天主と冥主の議論の行方を見守っている。マリンブルー...第一部1章−1神々のディベート
2019/05/31 00:00