「二楽亭へようこそ!」 ハワイ細腕繫盛記 その11
かき氷を食べた鬼兵団員たちは、 その場に倒れて動かなくなっている。 「これはどういうことっ! 事と次第によっては…」 「タチアナ! 落ち着いてくださいまし―― そんなことをしてわたくしたちに何の得が…」 「音音様!」 音音の弁解を遮るように声が上がる。 「ダメです…鬼兵団員が凍結していきますっ…」 介抱していたメイドの悲鳴にも似た報告に、 うずくまっている団員たちを見ると、 霜が降りたようにうっすらと白くなっていた。 「音音っ! よくも私の大切な団員たちを!」 タチアナは言うが早いか、 腰の後ろに留めてあるナイフが手に滑り込むと そのまま音音の胸に刃が吸い込まれていく。 「あっ…」 自分の胸に刺さっているナイフの束に手を伸ばそうとして、 音音は膝から崩れ落ちていくのを、 護衛のオオゼキが腕を長く伸ばして辛うじて受け止めたが、 その腕の中でぐった..
2019/05/26 09:51