『ヨシュア記』感想
『ヨシュア記』は神の名のもと、自らの行動を正当化して成された大虐殺の記録である。本書ではその虐殺の様が、ある種誇らしげに書かれている。現代人から見れば信じがたい感覚だ。しかし裏返せばそれは、何かしらの理由と独善的正義感があれば、人間は虐殺を行なっても恥じることがないという事実を記した書とも言えるのだ。そういう意味、『ヨシュア記』は人間の醜さに関する記録とも言えよう。『ヨシュア記』によると、ヨルダン川西岸は主によってイスラエルの人々に与えられた土地であるらしい。それは先祖がそこに住んでいたことに由来するわけだが、その言動からは現在住んでいる人間に対する斟酌はいっさい見られない。すでにその出発点から彼らの独善は始まっている。とは言え、そう語っているのはヨシュアをはじめとした指導者層の話だ。おそらく一般人感覚で...『ヨシュア記』感想
2024/07/30 21:23