カエルの姫君(その2)
巫女姿の桐ちゃんは、春に池で初めて会った時のようにずっと大人の女の人に見えた。白い胴着に赤い袴。透けた薄い着物を重ねていて、天女みたいだ。まっすぐに延びた黒い髪を白い布で結んで背中に垂らしている。額にシャラシャラ音がする薄い金属の簪飾りをつけている。桐ちゃんと向かい合って踊る女の人も、桐ちゃんと同じ衣装で同じぐらいの長さの黒髪で、すごく良く似ていた。この人が桐ちゃんのお母さんだろうか。それにしてはすごく若い。桐ちゃんともうひとりの女の人は双子のようにそっくりで、鏡で合わせたようにぴったりと揃って踊っていた。僕が拝殿に飛び込んだ瞬間、2人の巫女と銀ちゃんと、神主姿の男の人が僕の方を振り向いた。銀ちゃんは、笛から口を離してちょっと目を見開いた。桐ちゃんは、あの春の夜のように僕の方を見ていても僕を見ていない。緑に輝く...カエルの姫君(その2)
2019/09/27 18:59