忘れられない春一番
二年ほど前の出来事です。寒からず暑からず、陽気に満ちた名古屋市街は、日曜ということもあってか、大勢の人で溢れていました。そんな中で用事を済ませた私は、次の目的地に向かうべく駅へ、といっても時間に余裕はあったものですから、散歩の趣が多少なりとも含まれていたことを記憶しています。そういう私の前を、見知らぬ母子が歩いて居ました。買い物をしたであろう手荷物や、夕暮れが迫りつつあった時間帯を考えると、帰宅途中だったのかも知れません。その少女はA4判くらいの絵を持っていました。額に納められたものでなく、景品のようなもので、風に吹かれ、ひらひらしていたのです。母親は飛ばされる事態を懸念し、注意するよう言い聞かせましたが、少女は手に感じる風の力を無邪気に楽しんでいる様子でした。こんなふうですから絵は相変わらず、ひらひらを続ける...忘れられない春一番
2010/04/08 16:22