■鉄の匂い032■
『僕』と楠木くんは親友になった。楠木くんは、『僕』の告白を黙って聴いてくれた。時折、大きく頷いたり目を見開いて。いくつもの学校を転校してきたこと。どの学校でも苛められてきたこと。だが今回だけはやりかえしたこと。その結果、人を殺してしまったこと。なりゆきでもう1人殺してしまったこと。ふたりを学校裏の山に埋めたこと。そのふたりは、みーと糞であること。いくつかの話は楠木くんを驚かせたが、いくつかの話には反応が無かった。驚くだろうと予想していたことに驚かなかった楠木くんに驚かされたりもしたが、全てを話すと決めたことは守った。全部を話し終えた時、『僕』はこれまでに感じたことのない開放感を味わった。友達って言うのは、こういう関係を言うのだろうか。時間が経つのも忘れ、夢中になって語りきった。話し終わった頃には、空に星が見えて...■鉄の匂い032■
2018/11/30 21:43