夏至-2「こもれび」(by水無月)
夏至を過ぎると、季節は夏だ。気象庁は意固地なものでなかなか梅雨明けを宣言しないけど、季節はそういうものに縛られたりしない。インクを垂らしたような青空は、長い雨に磨き抜かれて、本来の輝きを取り戻している。ぷかりと浮かぶ雲は完璧というほど白くて、夏への自信をにじませている。校庭の片隅に静かなイチョウの木立があって、そこは最近見つけたお気に入りの場所だ。手の平をお椀型に合わせると"光の雫"がすくえるのではないかと思うくらい、光と影がみずみずしいコントラストを作る。そんなこもれびのベンチはこの上なくすがすがしくて、不都合なことなどまるで無い、という気持ちになる。セミもまだ鳴き始めていない。湿度の高い季節特有の、さわさわという風の音もない。静かだ。一年のうちほんの数日、こんな季節がやってくる。だから、午前中の体育の授業く...夏至-2「こもれび」(by水無月)
2010/06/21 11:58