微熱 - 115 -

微熱 - 115 -

目の前に差しだされた箱と啓史さんを交互に見つめると、啓史さんが開けてみなさいと言うように深く肯く。促されるままふたを開けてみると、中には通帳と本のようなもの、それと封筒が入っていた。「これ……? あ、ちょっと」 俺が問う間も得ないうちに、樫木が脇からサッとそれらを奪いとっていく。括られていた紐を解くと、勝手にパラパラと通帳を捲った。「返せよ! あんたには……っぷ」 取り返そうと腕を伸ばすと、手にして...