searchカテゴリー選択
chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

カテゴリーのご意見・ご要望はこちら
cancel
プロフィール
PROFILE

ブログリーダー」を活用して、hachiro86さんをフォローしませんか?

ハンドル名
hachiro86さん
ブログタイトル
自治体職員の読書ノート
フォロー
自治体職員の読書ノート

hachiro86さんの新着記事

1件〜30件

  • 【2777冊目】夏目漱石『こころ』

    こころ (新潮文庫)作者:漱石, 夏目Shinchosha/Tsai Fong BooksAmazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン100冊目。夏に始まった100冊読破企画も、秋の終わりを迎え、やっとこさ終わりました。記念すべき100冊目は、言わずと知れた定番中の定番、近代日本文学の代表作のひとつです。とは言ってもこの本、ずいぶん前に読んだきり、ずっと読み返せないでいました。初読の印象がなんとも「痛かった」ので、なかなか再読する気が起きなかったのです。特に「先生の遺書」は読んでいて辛かった。そして再読したのですが、なんとも不思議な小説だったという印象です。前半の「私」はど…

  • 【2776冊目】一木けい『1ミリの後悔もない、はずがない』

    1ミリの後悔もない、はずがない (新潮文庫)作者:一木 けい新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン99冊目。過去と現在が交錯する連作短篇集。著者のデビュー作とのことですが、信じられない完成度です。冒頭のシーンから、イカを捌いていたら中から魚が丸ごと出てくるところが生々しく描かれていて驚かされます。イカのぬめりや内臓の感触まで感じられそうな文章です。実際、この人の文章は読む人の肌感覚にまで食い入ってくるようなところがあります。忘れられないのは、夫の実家での鍋のシーンです。各自が皿に取った具材を鍋にぼとぼとと戻し、ご飯を入れて雑炊にする気持ち悪さに、夫の実家での妻の…

  • 【2775冊目】町田そのこ『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』

    コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―(新潮文庫nex)作者:町田そのこ新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン98冊目。フェロモン全開でファンクラブまである超個性的な店長がいるコンビニ「テンダネス門司港こがね村店」が舞台の連作短篇集・・・・・・と言って、食指が動く人がどれくらいいるでしょうか。私も正直「新潮文庫の100冊」に入っていなければ、手に取ることはなかったかもしれません。でも、この小説はとてもいい。コミカルですが人の人情の機微に触れるものがあり、短いながらそれぞれの登場人物のドラマがあります。女子高生、30代のパート主婦、中年男性、定年を迎えた初老の…

  • 【2774冊目】重松清『ハレルヤ!』

    ハレルヤ! (新潮文庫)作者:重松 清新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン97冊目。学生時代にバンドを組んでいた5人が、人生の後半を迎えてバンドの再結成に向けて動き出す・・・・・・というような話じゃなくて、安心した。本書で描かれているのは、人生の折り返し点に立った5人がつかのま交錯し、それぞれのステージで後半戦をはじめるさまなのだ。「終章」に書かれた作者の独白のようなものを読むと、もともとは別の物語を構想していたのが、キヨシローこと忌野清志郎の死で全部ぶっ飛んでしまい、そこから始まった「何か」を書くことにした、と書かれている。なるほど、確かにこの小説は、とても…

  • 【2773冊目】湊かなえ『豆の上で眠る』

    豆の上で眠る(新潮文庫)作者:湊かなえ新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン96冊目。失踪した姉が2年ぶりに帰ってくるが、妹だけは姉が偽物だと思えて仕方がない・・・・・・という話なのですが、実は半分以上が、姉の失踪期間中の出来事で占められています。姉を探すため「変質者探し」でスーパーに張り込み、小学生の妹をダシに怪しい家の家探しまでさせる母の描写がエグいです。子どもが行方不明になって半狂乱になる気持ちは理解できますが、妹があまりにもその犠牲になりすぎていて、なかなかに読むのが辛いものがありました。姉が帰ってきてからの、妹だけが偽物だと疑い続けるところもスリリング…

  • 【2772冊目】湯本香樹実『夏の庭』

    夏の庭―The Friends (新潮文庫)作者:香樹実, 湯本新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン95冊目。名作です。平成4年の刊行ですから、定番の名作が多い児童文学としてはかなり「新しい」作品ですが、おそらく本書は、はこれからもずっと読み続けられるでしょう。それほどの小説です。ズッコケ三人組を思わせる小学生3人が「死」に興味をもち、近所のおじいさんが死ぬまでを観察しようと集まります。しかし、思いがけずおじいさんと交流するようになった3人は、さまざまなことをそのおじいさんから学ぶのです。おじいさんが教えてくれるのは、どれも3人が親から教えてもらったことのない…

  • 【2771冊目】住野よる『か「 」く「  」し「 」ご「 」と「 』

    か「」く「」し「」ご「」と「(新潮文庫)作者:住野よる新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン95冊目。高校生5人が主人公の連作短編です。章ごとに語り手が変わります。変わっているのは、それぞれが相手の心の中を覗ける特殊能力をもっていること。その内容は、喜怒哀楽がトランプのマークの形で見えたり、数字で見えたり、気持ちの向きが矢印で見えたり、とさまざまです。ただ、この能力以外の点では、本書は仲良し5人組の気持ちの交錯を描いた、ふつうの青春小説です。むしろこの小説のトーンからすれば、能力は果たして必要なものだったのか、よくわかりません。著者は、人の感情が分かってしまうこ…

  • 【2770冊目】瀬尾まいこ『あと少し、もう少し』

    あと少し、もう少し (新潮文庫)作者:瀬尾 まいこ新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン94冊目。中学駅伝に挑む6人を主人公とした作品です。いい作品でした。まず構成がいい。1区から6区まで、それぞれの区間の走者を語り手に、同じ時間に起きた出来事を6通りに語ります。だから、同じ出来事でもまったく違う捉え方になるし、周囲からの見え方と本人の思いが大きく違う、ということも。そして、どの章も駅伝のシーン、次の走者にタスキをつなぐシーンで終わるのです。登場人物がいい。いじめられっ子の設楽、乱暴者の大田、気取り屋の渡部、盛り上げ役のジロー、素直な後輩の俊介、部長でリーダー役…

  • 【2769冊目】伊予原新『月まで三キロ』

    月まで三キロ(新潮文庫)作者:伊与原新新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン93冊目。珠玉の短篇集です。どれくらい素晴らしいかというと、図書館で借りて読み始めたにもかかわらず、最初の作品を読んですぐ本屋に走ったくらい。こういう出会いがあるから、読書はやめられません。どの作品にも、さまざまな過去や鬱屈を抱えている人が登場します。ある人と出会うことで凝り固まった感情がほぐれたり、人生が大きく変わるのですが、ユニークなのはそこに、月科学、化石、火山といった「科学」が介在していること。それも、単に知識上の小道具として出てくるのではなく、科学自体のありようが、人に大きく影…

  • 【2767・2768冊目】芦沢央『許されようとは思いません』『火のないところに煙は』

    許されようとは思いません(新潮文庫)作者:芦沢央新潮社Amazon 火のないところに煙は(新潮文庫)作者:芦沢央新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン91•92冊目。100冊中に複数作品がエントリーされていたのは、芦沢央のほかには重松清だけ。その割に名前くらいしか知らなかったので、興味津々で読んでみた。いずれも短篇集なのだが、『許されようとは思いません』は意外な結末が魅力のミステリ仕立て。絶妙なシチュエーションと心理描写の巧さがとにかく際立っている。「目撃者はいなかった」の営業マンが、ミスを隠蔽しようとするうちにどんどん追い込まれていくさまは、自分のことのように…

  • 【2766冊目】米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』

    儚い羊たちの祝宴(新潮文庫)作者:米澤 穂信新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン90冊目。舞台は現代のはずなのに、スマホもゲームもSNSも出てこない。裕福な旧家の屋敷や召使いたち、どこか病んでいる登場人物、まるで横溝正史か江戸川乱歩の世界。短編集である。バベルの会という読書会が共通して出てくるが、最後の作品を除けばほとんど名前のみ。そして、どの作品も女性の一人語りであって、ギョッとするラストが用意されている(「山荘秘聞」はそこを逆手にとっているが)。本書の独特の雰囲気は、その語りのうまさにある。やはりどこか江戸川乱歩を思わせる。まあ、それだけといえば、それだけ…

  • 【2765冊目】津村記久子『この世にたやすい仕事はない』

    この世にたやすい仕事はない (新潮文庫)作者:記久子, 津村新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン89冊目。ちょっと風変わりな「お仕事小説」。風変わり、というのは、お仕事小説の多くは「一つの仕事を通じて人間が成長していく」プロセスを描くが、本書は、一人の女性がいろんな仕事を転々としていく連作短編なのだ。しかもその仕事が、どれも、どこか変わっている。ある小説家をひたすら監視。バスの広告アナウンスの原稿づくり。菓子袋の裏のプチ情報作成。ポスターの貼り替え。そして最後は、広大な森林公園にある小屋でひたすらチケットにミシン目を入れるという、ほとんどコナン・ドイルの「赤髪…

  • 【2764冊目】三浦綾子『塩狩峠』

    塩狩峠 (新潮文庫)作者:綾子, 三浦新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン88冊目。読み終えて、いろんなことを考えさせられました。特に、キリスト教というもの、信仰というものと、そろそろ正面から向き合わなければなるまい、という思いが強くなりました。自分の命を犠牲にして列車を止めるという信夫の行動自体は、彼自身の気高さ、人間的な高み、ということで説明がつくのかもしれません。しかし、それをかたちづくったのは間違いなく、キリスト教の信仰であったことを考えるとき、そのことを抜きにして信夫の行動だけを称えるというのは、やはりある種の欺瞞ではないかと思うのです。歴史を見れば…

  • 【2763冊目】伊坂幸太郎『ホワイトラビット』

    ホワイトラビット(新潮文庫)作者:伊坂幸太郎新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン87冊目。誘拐ビジネス。たてこもり。死体隠しに、オリオン座に「レ・ミゼラブル」。う〜ん。並べてみても、まったくもって意味不明ですね。でも、この小説はこれ以上の解説が難しいので、致し方ありません。とにかく予想外の展開の連続で、しかも話が行ったりきたりするので、ややこしいことこの上ない。でもその分、全体像が見えてきた時の快感は、ちょっと比類がありません。まあとにかく、伊坂幸太郎の真骨頂とでもいうべき、トリッキーな展開に変わり者の登場人物のオンパレード。関係ないと思っていたオリオン座の蘊…

  • 【2762冊目】江國香織『号泣する準備はできていた』

    号泣する準備はできていた (新潮文庫)作者:香織, 江國新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン86冊目。「前進、もしくは前進のように思われるもの」「じゃこじゃこのビスケット」「熱帯夜」「煙草配りガール」「溝」「こまつま」「洋一も来られればよかったのにね」「住宅地」「どこでもない場所」「手」「号泣する準備はできていた」「そこなう」の12篇が収録されています。今更ですが、江國香織はタイトル名人ですね。上に挙げたタイトルも、それぞれに見事で、内容が気になります。その内容もまた、素晴らしい。大きな事件が起きるわけではありません。夫の実家に行ったり、デパートで買い物をした…

  • 【2761冊目】王城夕紀『青の数学』

    青の数学(新潮文庫nex)作者:王城夕紀新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン85冊目。数学と情緒を結びつけて語ったのは岡潔ですが、この小説では、数学と叙情が結びついています。細かい説明よりも、独特の空気感に包まれて読む小説です。描かれているのは、数学をめぐる、高校生たちの戦いと青春ですが、雰囲気はまるでスポーツ青春ドラマのよう。それも、ガチのスポ根モノというより、少女マンガ要素が入ったさわやかスポーツ青春モノなのです。実際、この小説は、マンガになったものを読んでみたいと思いました。叙情に流されがちな文章も、マンガであれば同時に背景を描き込むことで説明が足りる。…

  • 【2760冊目】谷崎潤一郎『春琴抄』

    春琴抄(新潮文庫)作者:谷崎潤一郎新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン84冊目。再読ですが、何度読んでもヤバい小説です。「愛している」と、言葉で言うのは簡単です。それなりの行動で示すことも、あるでしょう。でも、ここに出てくる佐助のような行動を「愛のために」取れる人はいるでしょうか。盲目の春琴は、佐助にとって三味線の師匠であって、圧倒的な崇拝の対象でした。ところが、あるトラブルが原因で、春琴は顔面に熱湯をかけられ、その美貌が損なわれてしまいます。醜くなった自分の顔を見ないでくれ、と願う春琴。そこで佐助は、春琴の願いを叶えつつその傍らにいるために、自らの眼を針で突…

  • 【2759冊目】ハリエット・アン・ジェイコブズ『ある奴隷少女に起こった出来事』

    ある奴隷少女に起こった出来事 (新潮文庫)作者:ジェイコブズ,ハリエット・アン新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン83冊目。当初はフィクションと思われて忘れられていたが、実話とわかるや否やベストセラーになったといういわくつきの一冊です。確かにノンフィクションとしての迫力やリアリティはものすごいですが、小説だからといって忘れられるというのは、いささか腑に落ちません。小説だとしても、本書のもたらす感動は十分なものだと思うからです。むしろこれは、刊行された1861年という時代が影響しているのではないかと思います。なにしろこれは、南北戦争が始まった年なのです。奴隷制が…

  • 【2758冊目】小川糸『あつあつを召し上がれ』

    あつあつを召し上がれ (新潮文庫)作者:小川 糸新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン82冊目。実ははじめての小川糸作品。前から気になっていた作家さんではあったのですが。短篇集です。どの作品も、食べ物が登場し、重要な役割を演じています。味や香りの記憶は、人を過去に引き戻したり、失った人を思い出させてくれます。父親が愛してやまなかった中華屋のぶたばら飯。母が作り方を教えてくれた味噌汁。記憶の中にだけ息づくコロッケ、いや「ハートコロリット」。一番良かったのは「季節はずれのきりたんぽ」でした。亡き父がこだわったきりたんぽを再現しようとする母と娘。料理を作るうちに生き生…

  • 【2757冊目】佐藤多佳子『明るい夜に出かけて』

    明るい夜に出かけて(新潮文庫)作者:佐藤多佳子新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン81冊目。大学を休学し、コンビニの夜勤バイトで生活する富山は、実はひそかに深夜ラジオにネタを投稿しています。実は、以前は別の名前で頻繁に投稿していた有名な「ハガキ職人」だったのですが、とある出来事がきっかけでバッシングされ、心が折れてしまったのです。本書は、そんな富山がバイト先の先輩でネットの「歌い手」である鹿沢、深夜のコンビニに登場するエキセントリックな女子高生の佐古田、性格にかなりクセがあり、富山の過去を知っている友人の永川と関わるなかで、少しずつ精神を回復していく物語です。…

  • 【2756冊目】宮沢賢治『銀河鉄道の夜』

    新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)作者:賢治, 宮沢新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン80冊目。「よだかの星」「オツベルと象」「猫の事務所」「セロ弾きのゴーシュ」など定番の名作揃いですが、やはり表題作「銀河鉄道の夜」が一頭抜けています。圧倒的にせつなく美しい物語世界は、日本のすべての小説の中でも最高峰でしょう。たとえば次のような描写は、ほかのどんな作家にも書けないものだと思います。「するとどこかでふしぎな声が、銀河ステーション、銀河ステーションと云う声がしたと思うといきなり眼の前が、ぱっと明るくなって、まるで億万の蛍烏賊(ほたるいか)の火をいっぺんに化石させて…

  • 【2755冊目】寮美千子編『空が青いから白をえらんだのです』

    空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集― (新潮文庫)新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン79冊目。少年刑務所の受刑者が書いた詩を集めた一冊です。巻末にある編者の文章「詩の力 場の力」を最初に読むことをオススメします。詩を書くこと、書いた詩を褒められることを通して、罪を犯した少年たちがどのように変わっていったかが書かれています。いつもふんぞり返っていたのに、俳句を褒められたことがきっかけで、身を乗り出すような姿勢で話を聞くようになったO君。自傷傾向があり精神的に不安定だったけど、妄想や空想をノートに書くことで落ち着き、人の相談を受けるまでになった…

  • 【2754冊目】乃南アサ『しゃぼん玉』

    しゃぼん玉 (新潮文庫)作者:アサ, 乃南新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン78冊目。親から愛されず育ち、何をやっても長続きせず、ひったくりで生活している翔人が、ひょんなことから山深い村で老婆の世話になり、人間性を取り戻していく・・・という、あらすじだけ読むと、なんともベタな物語ですが、これが実に良い小説で驚きました。特に翔人が村に戻っていくラストには、小説では滅多に泣かない私がうるっときてしまいました。翔人は、村で厳しく叱られたり、指導されたわけではありません(「シゲ爺」には叱られたり、はたかれたりしてましたが)。手作りのおいしい食事、「ぼうは、良い子」と…

  • 【2753冊目】恩田陸『夜のピクニック』

    夜のピクニック(新潮文庫)作者:恩田 陸新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン75冊目。実は、恩田陸の小説はちょっと苦手。なので、本書もなんとなく敬遠していたのですが、読んでみたら予想外の素晴らしさにびっくり! 読むうちに夢中になってしまいました。全校生徒が丸一日、80キロを歩き通す「歩行祭」。本書は全編が、そのイベントの中で展開されています。ひたすら歩き、語るだけなのに、そこで起こるすべてがなんとみずみずしく、懐かしく、そして輝いていることか。そして、400ページ以上にわたって歩きつづけるだけなのに、次々に場面や話題が切り替わり、一瞬たりとも飽きさせず、むしろ…

  • 【2752冊目】コナン・ドイル『シャーロック・ホームズの冒険』

    シャーロック・ホームズの冒険 (新潮文庫)作者:コナン ドイル新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン74冊目。言わずとしれたシャーロック・ホームズの第一短篇集。「ボヘミアの醜聞」「赤髪組合」「花婿失踪事件」「ボスコム谷の惨劇」「オレンジの種五つ」「唇の捩れた男」「青いガーネット」「まだらの紐」「花嫁失踪事件」「椈屋敷」が収められている。小学校の図書室にあった江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズから入り、シャーロック・ホームズにハマり、そこからクリスティ、クイーンに進むという王道ルートでミステリを読み始めた人間としては、本書のラインナップはなんとも懐かしい。同時に、…

  • 【2751冊目】谷川俊太郎『ひとり暮らし』

    ひとり暮らし (新潮文庫)作者:俊太郎, 谷川新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン73冊目。著者は詩人だが、本書は詩集ではなくエッセイ。日常のつれづれやいろいろな思いをやさしい言葉で綴っているが、その奥はとても深い。そのあたりは、エッセイとはいえさすが谷川俊太郎、というべきか。生と死をめぐる文章が面白い。著者は葬式について「結婚式に行くのよりずっといい」と書く。なぜかというと、結婚式にはどうしても「未来」がつきまとうが、未来には心配や不安がつきものだ。だが葬式には「未来というものがない」。だから気楽なのだという。だいたい、みんな「死」のことばかり心配するが、実…

  • 【2750冊目】角田光代『さがしもの』

    さがしもの (新潮文庫)作者:光代, 角田新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン72冊目。「本」にまつわる短篇集です。「旅する本」「だれか」「手紙」「彼と私の本棚」「不幸の種」「引き出しの奥」「ミツザワ書店」「さがしもの」「初バレンタイン」の9編に、「あとがきエッセイ」がついています。どの作品にも、本が登場し、「本を読む人」が登場します。古本屋に売った本に旅先で再会する「旅する本」、本を共有した彼との別れを本と一緒に振り返る「彼と私の本棚」など、読むほどに、本は本だけでは存在しないこと、そこにはかならず本を手に取り、読み、本棚に差す「人」がいることが感じられ、そ…

  • 【2749冊目】H・P・ラヴクラフト『インスマスの影 クトゥルー神話傑作選』

    インスマスの影 :クトゥルー神話傑作選 (新潮文庫)作者:H・P・ラヴクラフト新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン71冊目。創元推理文庫の全6巻(現在は全7巻)、黒一色に不気味なイラストの『ラヴクラフト全集』にハマったのは、中学生から高校生の頃でした。他のどんな小説とも違う、独特すぎる世界観とそれを支える異様な文章は、自分を特別だと思いたくてしょうがなかった当時の自分にぴったりだったのでしょう。本書に収録された「インスマスの影」や「クトゥルーの呼び声」を読むと、当時のことをいろいろ思い出します。ちなみにその頃はクトゥルーは「クトゥルフ」、ヨグ・ソトホートは「ヨ…

  • 【2748冊目】芥川龍之介『蜘蛛の糸・杜子春』

    蜘蛛の糸・杜子春(新潮文庫)作者:芥川龍之介新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン70冊目。「蜘蛛の糸」「犬と笛」「蜜柑」「魔術」「杜子春」「アグニの神」「トロッコ」「仙人」「猿蟹合戦」「白」を収録。芥川といえばこの作品、と誰もが思うであろう短編が揃っています(これに「羅生門」「芋粥」「鼻」が加われば、まさに芥川入門書ですね)。子どもの頃は「蜘蛛の糸」「杜子春」「魔術」のような、寓話のような作品が好きでしたが、今読むと、「蜜柑」「トロッコ」のような作品が気になります。どちらも子どもが登場するため、少年少女むきの作品と思えますが、その味わいは大人になってからのほう…

  • 【2747冊目】山本周五郎『さぶ』

    さぶ (新潮文庫)作者:周五郎, 山本新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン69冊目。最初に読んだのは大学生の頃だっただろうか。そのときは通り過ぎるように読んだのだと思うが、それなりに年を重ねてから読むと、印象が全然違う。たとえば初読のときは、主人公がどう見ても栄二なのにタイトルが「さぶ」なのが不思議だった。特に本書のメインとも言える寄場での日々はほとんど栄二のみで、さぶはときどき面会に来るに過ぎない。しかもさぶときたら鈍くてどんくさく、とても主人公という感じではない。でも、これはやはり栄二が主人公で、なおかつタイトルが「さぶ」であることが大事なのだ。なぜなら、…

カテゴリー一覧
商用