竜の末裔112話

竜の末裔112話

大仰に名乗った甲冑男の全身から蒸気が湧き上がる。「暑くないんですか?」戦闘の最中ではあったが、先ほどからの疑問がつい口に出てしまった。「暑い!暑いとも、少年!だが、暑さは気の持ちようでどうとでもなる!いまはこの戦いを楽しもうじゃないか!フェン・ルイム!」ざわっと皮膚の下を何かが這いずり回るような悪寒。なぜこの男は自分の名前を知っているのだろうか?浮かび上がった疑問は、ランスローの振り上げた大剣の唸りにより霧散した。とっさに後ろに飛び退る、と同時に大量の砂が巻き上げられる。(これだけの重量の剣を軽々と・・・)地に向かって降り注ぐ砂とは対照的に、高速の鋼が振り上げられる。そして、まるで生き物のように上から、横からフェンの急所に飛びついてくる。あたりの砂塵がおさまったとき、息一つ乱していないランスローと、急所こそはず...竜の末裔112話