竜の末裔 第110話

竜の末裔 第110話

「呪術!?そんなもんが存在しているなんてにわかには信じられないな。」「別に信じてもらえなくてもいいよ。お前がどう考えたって僕の呪いには影響しない。お前はここで死ぬしかないのさ。」淡々と語る少女が、今度は藁人形の左手を思い切り両足の間に打ちつける。「はぐあっ!!!」馬に蹴られたような声をあげ、サーガは砂の中にうずくまった。遠くに懐かしい声が聞こえる。それは幼いころの両親の優しい声であり、悪戯をしたときの村長の厳しい声であり、声をかけてきた女の子たちの冷ややかな声であり、自らと同じ秘密を持っている大切な友人の声であった。涙と鼻水にまみれながら、サーガの意識は遠ざかっていった。竜の末裔第110話