乾杯

空のグラスを右手にかかげ冷えた庭に絢爛と咲き誇るさざんかに乾杯する間もなく過ぎ去る今年の時空に今年は良い年だったかしら？アハハそう云えば良い年もかつてなかったけれど悪い年もなかったね夢中で生きた証かしらん過ぎてしまえばどの年もかけがえがなく愛おしい過ぎてしまえばどの年も銀河の真砂の価値がある乾杯

晩秋

久方ぶりに戸を開けてそろりそろそろ歩いて見れば外はすっかり錦色頬に触れるは清々しくもしんと涼しい極上の風浦島気分で風に酔い五体を預け目を閉じて紅葉の気を吸い込めば晩秋の光が駈け廻る血肉と化して駈け廻る晩秋