その31 日常

その31 日常

「日常」夜が明ける。朝の時間が好きだ。毎朝、当たり前のように、東の空に太陽が現れる。ちひろは、それを不思議だと思う。地球が動いているから、朝日が昇る。地球が動いているから、朝と昼と夜が来る。自分の足元を見ても、それが動いているとは思えない。しかし、昇る朝日を見ていると、少しだけこの地面が動いている事を実感できる。この巨大な地面が、数十億年の間、休みなく回り続けていると言う事実を考えた時、ちひろは言葉に出来ない気持ちになる。朝の空気はきれいだ。夜の間に空気が洗われている感じがする。生まれたての日の光がそれを照らす。朝、気分が良ければ、ちひろは兄の弁当を作る事もある。学校には、毎日通っている、このまま行けば、皆勤賞をもらえるだろう。学校には、ちひろにとっての日常がある。楽しみにしている授業もあれば、退屈な授業...その31日常