その28 対

その28 対

【光と影】【表と裏】【生と死】【この世界には、“対”で存在するものがある。】【光が強くなれば、闇は深くなる。】【かつて、神も“対”で存在していた。】「ルーちゃん」の事はずっと気がかりだった。ずっと隠れていたのか。探していたが気付けなかった。やはり、死ねなかったのだな。おそらく、あれから転生と憑依を繰り返したのだろう。別の何かに変わることで、ルーちゃんは、自分の名前も本当の自分も、分からなくなってしまっているようだ。外も内も、あの頃とは全く違う。(かつて彼は最も美しく、最も聡明な存在であった。)しかし、不思議と面影は残っている。久しぶりだ。懐かしいな。まだ、死を渇望しているのか。しょうがない。もう生きていたくはないだろう。しかし、我々は簡単には死ねないな。やはり。もう、わたくしはルーちゃんを追ったりはしない...その28対