「時の娘」~ロマンティック時間SF傑作選

「時の娘」~ロマンティック時間SF傑作選

「時間」を超える物語は、SFの定番・鉄板の分野で、膨大な作品とともに、数多のアンソロジーが編まれています。その一つが、中村融氏編集の「時の娘」(創元SF文庫、2009年)です。SFマガジンなどに掲載されたきりで埋もれていた佳作に今一度スポットが当たるのは、オールドファンにとって、嬉しくもあり、また、今の読者がどう評価するのだろうなあというのも興味がありますね。冒頭の作品は、ウィリアム・M・リーの「チャリティのことづて」(1967年)。熱病にかかったことをきっかけに、1965年の現代に生きるピーターと、1700年に生きるチャリティとが、相手の声を聞くことができ、相手の目を通じて、互いの世界を見ることができるようになります。二人が親密になっていく中、未来の世界を知ることになったチャリティは、不注意な発言により...「時の娘」~ロマンティック時間SF傑作選