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2005/10/29

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  • 時間飛行士へのささやかな贈物~フィリップ・K・ディック⑧

    「アディスン・ダグは、プラスチックのまがいアカスギの小枝を滑りどめにはめこんだ長い小道を、大儀そうにとぼとぼと登っていた。やや首をうなだれ、肉体の激しい苦痛に耐えているかのような足どりだった。ひとりの若い娘がそれを見まもっていた。彼女はとんでいって彼を支えてやりたかった。あまりにも疲れきったみじめなようすに胸が痛んだが、それと同時に、彼が生きてそこにいるという事実で心がはずみもした。一歩一歩と彼は近づいてくる。顔を上げようともせず、勘だけで歩いているように・・・まるでいままでにも何度かここにきたことがあるみたい、とだしぬけに彼女は思った。ばかに道順にくわしいなあ。なぜかしら?」時間飛行から帰還する際の事故にあってしまった、ダグたち3人の「時間飛行士」たち。既に死んでいるはずにもかかかわらず、いったんは未来...時間飛行士へのささやかな贈物~フィリップ・K・ディック⑧

  • 黄金律~デーモン・ナイト③

    「黄金律」とは、「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」との道徳の根本則であるが、本物語は、「黄金律」の否定型(silverrule)である「他の人からしてもらいたくないことは他の人に対してするな」がしっくりきます。ミズーリ州チリコシ界隈のあるエリアで、他者に対する行動がそのまま自分に跳ね返るような奇妙な事件が続発します。このことに、政府に関わるきな臭いものを感じた新聞記者のダールは独自に取材を行ううちに、当局から秘密裡に接触を受け、軍の研究施設において、真実を知ることと引き換えに、その機密をしばらくの間、隠匿することが人類にとって必要なことを理解し、公表しないことを求められます。ダールは、完全に承諾したわけではありませんが、事実を見て、判断することを前提に、軍の研究施設へと向か...黄金律~デーモン・ナイト③

  • 雨にうたれて~タニス・リー①

    「まだ幼かったころ、あの、いつ果てるともしれずつづいた<警報>の日々のことを、わたしはぼんやりとながら憶えている。母もまた、家の中に囚われたわたしの仲間だった。幼な心に理由もわからぬながら、邪悪な恐怖の奔流となって降りしきった雨。毒という毒と放射能が、あらゆるものの上に、目に見えぬきらめきを放ちながら積もりつづけ、空にもまたいつのまにか蓄積していたそれらを豪雨が一気にあらいながしてよこすのだった。」町に警報が鳴り響き、放射能やあらゆる毒素を含んだ鉛色の雨が降り注いでくる危険を知らせます。人々は,戸外に出るのを可能な限り避け、放射能を遮蔽し、ダメージの蓄積から逃れる暮らしを余儀なくされています。それでも,放射能の影響を完全に防ぐことはできず、癌による早死は,避けがたいことと受け止められています。一方、町には...雨にうたれて~タニス・リー①

  • 変革のとき~ジョアンナ・ラス

    あのメッセージが送られてきたときユキは車の中にひとりでいて、ツー・トン式の信号を一生懸命解読したのだった。ノッポで派手なわが娘は車からとびだしてありったけの声で叫んだのだった。だからむろん彼女もいっしょに来なければならなかった。このコロニーが築かれてから、このコロニーが打ち捨てられてから、その覚悟は理屈の上ではできていたが、現実となるとちがってくる。実に怖ろしいことだ。「男よ!」ユキは車のドアをとびこえながら、叫んだのだった。「戻ってきたのよ!本物の地球人の男が!」植民惑星「ホワイルアウェイ」では、600年前に、疫病により「男性」が死に絶え、残された「女性」たちは、生き抜くための苦難を何とか乗り越え、新しい、社会・経済システムを築こうとしていました。卵子同士を合体させるという手法によって、子孫を残すことが...変革のとき~ジョアンナ・ラス

  • 雪~ジョン・クロウリー

    「それまでに、少なくとも八千時間分のジョージーを伝達済みだった。彼女の一日一日、一時間一時間、出かけたり帰ってきたりする姿、言葉や動き、生きた彼女そのもの—そのすべてが、ほとんど場所も取らずに「パーク」にファイルされている。やがて時が来たら、「パーク」に行けばいいのだ。たとえば日曜の午後、(「パーク」の売り口上によれば)静寂に包まれ、美しく造園された環境で、彼女専用の個人安息室を訪れる。そして、最先端の情報保存と検索システムの奇跡を通して、一人きりで彼女にアクセスできるのだ。生きている彼女に、どこから見ても生前の彼女そのものの姿にアクセスする。いつまでも変わりも老いもせず、(「パーク」のパンフレット曰く)永久に色あせぬ記憶よりなおいっそうみずみずしい姿に。」ジョージーの、亡き資産家の前夫は、大枚をはたいて...雪~ジョン・クロウリー

  • ジャガンナート―世界の主~カリン・ティドベック

    「偉大なるマザーの中で新しい子供が生まれ、<育児嚢>の天井に突き出したチューブから吐き出された。子供はビシャッという音を立てて生きた肉の寝床に落ちた。パパが足を引きずりながら分娩チューブに近づき、しなびた手に赤ん坊を抱きあげた。」パパ曰く、「世界が駄目になったとき、マザーが我らを受け入れてくれた。マザーは守り手、ふるさとである。我らなくしてはマザーは生きられず、また、マザーなくしては我らも生きることはできない。」マザーと呼ばれる巨大な生物?の体内で一生を過ごす人間?たち。女性は、腸の蠕動を司る機関や、脚を動かし移動させる機関に配属され、男性は、受精や脳内において、マザーの案内者としての役目を担っています。<育児嚢>でパパの世話を受けながら育った子供は、「欠員」状況に応じて、大きくなった順に、各部署へと送り...ジャガンナート―世界の主~カリン・ティドベック

  • 失われた時間の守護者~ハーラン・エリスン⑦

    「もしもグレゴリウス教皇が、人々の心の中の時間を調整しなくてはならないという知識を啓示で受けていたならどうじゃ?もしも一五八二年の余計な時間が十一日と一時間だったらどうじゃ?もしその十一日は対処してきちんと消し去ったが、残った一時間がすべりぬけて解き放たれ、永遠にはねまわり続けていたらどうじゃ?ごく特別な一時間・・・決して使ってはならぬ一時間・・・決して過ぎてはならぬ一時間。もしもそうならどうじゃ?」亡妻の墓を訪れ、語りかける、ガスパールという名の老人。この老人を襲おうとしたチンピラ連中を蹴散らした、ベトナム帰りの黒人のビリー。ガスパールは、ビリーの家に身を寄せ、二人は共同生活を始めます。常に愛妻のことを忘れないガスパールは、老い先短い中で、自分が死ぬことで、この世界から妻の記憶が消え去ることを恐れています。一...失われた時間の守護者~ハーラン・エリスン⑦

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