「バグダードのフランケンシュタイン」~〝モザイク国家〟を疾走する人造人間
叡王戦第5局を伊藤匠七段が制し、藤井聡太八冠は七冠に後退した。二転三転の熱戦だったが、131手の6四桂から形勢は伊藤に傾いた。5五桂なら藤井優勢だったようだが、秒読みで正着を指し続けるのは藤井でさえ難しい。同い年のライバル関係で、将棋界はさらに盛り上がるだろう。持将棋を挟み藤井に10連敗していた伊藤だが、負け続ける中で掴んだものは大きかく、第5局では腹を据えた踏み込みで流れを引き寄せていた。この1年に限定しても、その国の小説を初めて読む機会は何度かあった。「ある一生」はオーストリア、「わたしの名は赤」はトルコ、「自転車泥棒」は台湾、「マイ・シスター、シリアルキラー」はナイジェリアと、各国文学事始めの感がある。今回紹介するのは初めて読むイラク産「バグダードのフランケンシュタイン」(2014年、アフマド・サア...「バグダードのフランケンシュタイン」~〝モザイク国家〟を疾走する人造人間
2024/06/21 22:44