11.ラーメン屋

11.ラーメン屋

ラーメン屋の店内は、天井や壁紙は油で色あせ、無造作に置かれたストーブは、壊れてるのか、ウィンウィンと変な音が鳴っている。真ん中に汗まみれの店主が競馬新聞を広げて座って、貧乏ゆすりをしていた。親父と入ると、「いらっしゃいませ。」としわがれた声で競馬新聞をたたんで、横に置いた。古びたカウンターがあり、席に着くと、壁に貼られている油がついたメニュー表が一枚ずつ目につく。印刷してある字なのか、自分で書いてある字なのか薄くなってて、見づらい。左からラーメン、チャーハン、ビールとおにぎりと見ていくと、トイレの隣には本棚があり、こち亀が一巻から十三巻くらいまであり、あとは飛び飛びの巻があった。その中には北斗の拳や隣の凡人組などのコアな漫画本が並べられている。親父と横に並んで、いつものラーメンとチャーハンを頼んだ。店主がラーメ...11.ラーメン屋