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脳科学研究センター-脳研究の最前線 https://x.com/KaworuNagisa27

「脳を知る」「脳を守る」「脳を創る」「脳を育む」の異なる分野を統合しながら目標達成型の研究を統合的に進め、脳科学への理解を進行。

脳の研究を総合的に行うべく、脳科学総合研究センタが1997年に設立された。

渚カヲル
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2025/05/15

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  • 応用の時代に入った脳科学

    脳は対象を選ばない二一世紀にはいり、 脳科学は応用の時代に入ったと言われています。 巷では多くの脳関係の書籍が出版され、 たくさんの情報に触れることができます。 書籍だけではありません。新聞、テレビの中でも、 脳という言葉を見ない日はありません。過去に置いてこれほど、 人々の関心が脳に向かっていた時代はないのではないかと思います 。まるでみんな最近になって、 自分の頭の中に脳があることに気がついたかのようです。そのようなメディアで取り上げられる脳についてのトピックスは、 さまざまな内容があります。純粋な基礎研究に関するもの、 そこから派生した応用、 科学的には実証されていない民間信仰に近いもの…

  • 脳の活性化は機能を低下させる?

    ところで、同じ言葉を使っていても、 科学者が使っている言葉の意味と一般に使われている言葉の意味と はかなり異なっていることがほとんどです。 一見同じ言葉を使って正しい科学的知見を引用しているように見え る議論も、脳科学の細分化と高度化により、 それを実際に扱っている研究者以外は正しく理解できないほうが多 くなっています。たとえば、「脳の活性化」 という言葉をよく聞かれるかと思います。 これは脳科学者からみると、 脳の一部での神経細胞が一時的に増加したということにすぎません 。「活性化」した脳が、 脳の健康にとって良いのか悪いのかはわかりませんし、 もしかしたらその「活性化」された脳の活動は、 …

  • 精神疾患から脳を探る-参考文献

    E.フラー・トーリー著/南光進一郎、中井和代訳「統合失調症がよくわかる本」日本評論社 2007 G.ウォーレンシュタイン著/候刀浩訳「ストレスと心の健康-新しいうつ病の研究」培風館 2005 加藤忠史「こころだって、からだです」日本評論社 2006 加藤忠史編「精神の脳科学」東大出版会

  • 遺伝子の関与

    統合失調症はいわゆる遺伝病ではないか、遺伝子配列が完全に同じ一卵性双生児では、およそ50パーセントの確率で二人とも発症する。この率は、遺伝子を半分しか共有していない二卵性双生児きょうだい(10パーセント程度)に比べてはるかに高いことから、統合失調症の発症に遺伝子が関与していることは間違いない。その遺伝子を探る試みは1980年代から盛んに行われてきた。 一つの方法は、染色体の中の沢山のキーポイントとなる遺伝子配列を指標として、統合失調症に関係する遺伝子の在処を探る、遺伝子連鎖解析である。 もう一つの方法は、統合失調症の原因に関係ありそうな分子を調べる。候補遺伝子の解析である。真っ先にその候補にあ…

  • 統合失調症とは

    2005年の厚生労働省の「患者調査」では、日本全国で146万人の入院患者がいるが、そのうちのおよそ20万人が統合失調症の患者であることは、あまり知られていないであろう。また東京の都心部では精神科病院が不足していて、精神医療過疎地と言っていいくらいで、多くの精神科病院は、郊外である。多数の統合失調症患者がいるにもかかわらず、その存在は十分知られていないということだろう。実際は、統合失調症の生涯罹患率は、およそ0.8パーセントといわれており、100人に一人くらいの数の患者がいるのである。 幻聴、被害妄想、滅裂な会話など、世間の人たちが思っている精神病のイメージは、恐らくほとんどがこの病気に関しての…

  • 統合失調症の原因とD-セリン

    最近では、D-セリンは統合失調症の候補薬剤として期待されているだけでなく、実は統合失調症の原因にも関係しているのではないか、と考えられるようになった。西川の検討では、脳内のD-セリン濃度に変化がなかったが、2003年になって、統合失調症患者の血清を調べたところD-セリン濃度が低下していることを千葉大学の橋本らが報告した。統合失調症の(連鎖解析で有力な部位の一つである)13番染色体(13q34)から同定されたG72遺伝子が、Dまアミノ酸酸化酵素活性化因子であることが判明したことと相まって、統合失調症患者のD-セリン代謝そのものに異常ががある可能性が高まってきたのである。 理研BSIの吉川のチーム…

  • ネプリライシン:孤発性アルツハイマー原因解明に向けて

    私たちの研究室では、それまで誰も行わなかった新しい実験方法をもってこの問題にチャレンジしました。まず、ラジオアイソトープで標的したAβ1‐42ペプチドを合成・精製しました。ペプチドの化学合成は、カルボキシ末端側から一残基ずつ付加することによって伸ばしてゆきます。一残基あたり10時間を要しました。放射線物質を取り扱う上に、一つでも失敗したら台無しですから、緊張感が張りつめっぱなしでした。同僚の岩田修博士と津吹聡博士と私では、毎日侃侃諤諤の議論をしたものです。合成と同じくらい苦労したのが精製でした。結局、共同で作業を進めていた米国のある企業の不誠実な対応(脱落)が原因が遅れたため、計画を立てて、精…

  • Aβ分解系による挑戦‐研究が遅れている分解素 2

    Aβの分解は神経組織において細胞質の外側で進むと考えられています。このような方法では脳内の複雑な立体的構造において進行する代謝課程を再現できるわけではないので、可能性のある候捕が次々に浮上するだけでした。 #東京大学 #脳科学 #アルツハイマー病 https://blogmura.com/ranking/in?p_cid=11203416

  • Aβ分解系による挑戦‐研究が遅れている分解素

    分解系は合成系と対をなしてAβの存在量を規定します。速度論的には、分解系全体の活性半分が半分に減るだけで、合成系が二倍に上昇するのと同程度の効果があります。家族性アルツハイマー病の原因として最も典型的なプレセニリン1の変異は、Aβ1‐42の畜産力を約1.5倍上昇させるだけで、若年におけるAβ畜産を引き起こします。つまり、分解系が数十年にわたってわずかずつ低下していっても、十分にアルツハイマー病理の原因になりうるということです。たとえば、生まれてから一年ごとに1パーセントずつ低下しても50年では50パーセント低下するということになりますから、その30年以上後の80代以降に発症することを上手く説明…

  • βセクレターゼに注目

    これらなかで、βセクレターゼは、新規の膜結合型アスパラギン酸プロテアーゼ BACE‐1であることが報告されました。他のセクレターゼと比較して基質の配列特異性が高いうえに、BACE‐1遺伝子を破壊したノックアウトマウスではAPPのβ部位での切断が完全に消滅することから、薬学的な効果が期待できるとして注目されています。当初、遺伝子ノックアウトマウスに重篤な異常が見られないとされていたことも理由です。実際、多くの基礎研究者が企業研究者がβセクレターゼ阻害剤の合成や探索に取り組んでいます。しかし、ニューレギュリンという神経調整タンパク質も基調であることがわかり、ノックアウトマウスに末梢の髄鞘形成異常が…

  • Aβの生成

    Aβ生成に関するプロテアーゼ(タンパク質・ペプチドを加水分解する酵素)、セクレターゼと総称され、Aβのアミノ末端を切断するものがβセクレターゼ、カルボキシ末端を切断するものがγセクレターゼです。さらに、βセクレターゼに代わって、アミノ末端側で切断するαセクレターゼの存在も知られています。αセクレターゼの産物は病原性がないとされています。前述で述べた家族性アルツハイマー病原因遺伝子の中で、APP遺伝子における変異は、βセクレターゼ切断部位およびγセクレターゼ切断部位の付近に存在するものがほとんどです、Aβ1‐40およびAβ1‐42の産生量を増加させ、後者はAβ1‐42の産生量を増加させます。その…

  • 未解決の重要課題

    アルツハイマー病研究は約100年前に始まりました。当初は、臨床医学や古典的病理学による「現象論」でした。その後、病理生化学が神経病理の物質的実体を明らかにすることによって、因果関係検討の突破口が開かれました。アルツハイマー病が科学的研究の対象になった瞬間です。Aβのアミノ酸配列が明らかになったことによってアミロイド前駆体タンパク質の遺伝子がクローニングされ、家族性アルツハイマー病の原因遺伝子が初めて同定されました。原因因子変異の表現型を調べることによって、病因論的研究は大いに進みました。しかし、未解決の問題が沢山あります。一部繰り返しりなりますが、以下、列挙します。(1)孤発性アルツハイマー病…

  • アルツハイマー病克服のための長期戦略‐ワクチン療法の威力と失望

    前節までは、現在進行形で進んでいる研究戦略について述べました。これらに加えて、将来を見据えた次なる戦略が必要だと私は考えています。前述しましたが、アルツハイマー病モデルマウスをAβで免疫すると抗Aβ抗体が産生され、Aβ蓄積が抑制されることが報告されました。現在も臨床試験されているAβワクチンは、この結果に基づいたものです。しかし、最初の第二相臨床試験では、被験者の5パーセントが髄膜炎を発症し、患者さんが死亡したケースがあったため、治療は取り止めになりました。現在、より安全なワクチン療法の開発と治療が検討されています。このワクチン療法が与えたインパクトと失望は、アルツハイマー病研究に警鐘を強く鳴…

  • 臨床試験の現状

    現在、国内外で多くの治療薬候補が臨床試験を受けています。総額で数千億円以上の費用が投じられているはずです。研究開発に用いた資金を出来るだけ早く回収したいのでしょう。臨床試験の結果は結論が出るまで公表されませんから、今後どのような展開になるかについては正確に予測することは不可能です。製薬企業にとっても死活問題であり、臨床試験の失敗が報告されて株価が10分の1に下がったケースもあります。あくまで私の個人的な予測ですが、劇的に効果のあるアルツハイマー病治療薬が見出だされることは当面ないように思います。病態が神経変性まで進んだ状態では、Aβ蓄積を抑制するだけで認知症が回復するとは考えにくいのではないで…

  • 対メカニズム療法

    「アルツハイマー病の最大の謎」の項で述べたように、Aβが蓄積して認知症に至るメカニズムは残念ながら解明されていません。この問題が克服されない限りは、アルツハイマー病の完全な予防と治療は不可能でしょう。現在考えられている主な可能性を示します。「炎症反応」は、おもにマイクログリア(免疫系のマクロファージに相当)等が活性化してラジカル等を産生し、これによって神経細胞が傷害されると考えられています。一方マイクログリアは老人斑などの異常蓄積物を除去する作用があることも指摘されています。したがって、炎症反応が悪玉なのか善玉なのかはっきりしていません。今のところ、抗炎症剤の投与によって病態が際立って改善され…

  • Aβ以外の治療標的‐対処療法

    現在アルツハイマー病治療のために世界で最も使用されている医薬品はドネペジルです、これは、エーザイの杉本八郎博士(京都大学)が開発に成功した、世界に誇る日本の成果です。製薬品をアリセプトといい、年商約1000億円といわれます。ドネペジルはどんな経緯で開発されたのでしょうか?1980年代にアルツハイマー病脳内において低下している神経伝達物質が検索されました。その結果、アセチルコリンが低下していることが分かりました。また、アセチルコリンを合成する神経細胞が変性していることも見いだされました。そこで、研究者たちは「脳内アセチルコリンレベルを上げれば、症状が緩和されるのではないだろうか」と考えたわけです…

  • Aβレベルを下げるアプローチ

    現在、アルツハイマー病の根本的治療の対象として、脳内のAβレベルを下げるアプローチが精力的に進められています。これまでの主流のアプローチは、セレクターゼの阻害剤とAβワクチンです。動物実験においてある程度の効果が認められたので、現在臨床試験の最中です。Aβ分解酵素ネプリライシンを活性化する方法も探られています。Aβワクチンは、Aβに対する抗体を用いて脳内のAβを除去するものです。能動免疫と受動免疫の二つに分けられます。能動免疫は、抗体(Aβペプチドあるいは誘導体)を投与して患者の免疫系に抗体を産生させる方法です。当然ながら、免疫応答は個人差があります。受動免疫は、あらかじめAβに対して作製した…

  • Aβと脳老化-軽度認知症の意味するもの

    前述したとおり、孤発性アルツハイマー病の発症リスク、80歳を過ぎてから、急激に上昇します。欧米のベータでは、80歳で四人に一人が罹患しています。100歳では実質的に10人中9人が影響を受けているという報告もあります。この数字は、アルツハイマー病が特殊な疾患でなく、かなり一般的な意味での脳老化の行き着く先であることを示唆します。老人斑や神経線維変化などの代表的神経病理を有しながらも認知能力が健常な方はいますが、認知症の潜伏期間にある可能性が高いと考えてよいと思います。また、1990年代以降に正常な老化と認知症の中間的な状態として、軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairm…

  • ネプリライシンを活性化する

    ネプリライシンを用いた遺伝子のは、アルツハイマー病の患者さんに対して成功する可能性は十分にあります。ただ、脳外科的処置を要するため、実際の患者さんを治療する神経内科医や精神科医には敷居が高いのが現状です。そこで、薬理学的方法の探索が進められています。その結果、神経ペプチドであるソマトスタチンが、培養神経細胞のネプリライシン活性を上昇させることを見いだしました。さらに、ソマトスタチン破壊マウスを用いて検討したところ、海馬においてソマトスタチンはネプリライシン活性を制御することによってAβ(特に病原性Aβ42)の量を調整することを見いだしました。ソマトスタチンは、ソマトスタチン受容体を介して作用し…

  • アルツハイマー病とは

    アルツハイマー病を発症すると、まず記銘力を含む認知能力が進行的に低下し、さらに、譫妄(意識混濁、幻覚、錯覚)などの精神症状を呈することがあります。認知能力低下は通常エピソード記憶(最近自ら行ったことや見聞きしたことに対する記憶)の異常からはじまり、言語能力や判断力が失われ、自分の居場所や家族の顔がわからなくなるほどに進行します。一般に運動失調は少ないので、徘徊などの問題行動の原因になります。精神症状としては、性格の変化、うつ症状、異常な攻撃性、根拠なき嫉妬、妄想などが典型的です。数年前、80代の女性が夫をまさかりで殺すという事件がありましたが、彼女はアルツハイマー病を患っていたため、根拠もない…

  • 因果関係の樹立

    ようやく役者がそろってきたので、因果関係の検討が可能となりました。原因は結果に先行するはずですから、これらの事象の時系列が検討され、 アミロイドペプチド(Aβ)の蓄積→タウタンパク質蓄積→神経細胞死 という順番が確立されました。また、現在では、神経細胞死の前に実質的な症状の原因として神経機能不全が存在すると想定されています。しかし、これだけでは厳密な意味での因果関係の樹立にはなりません。原因と想定される事象が、単なる付随的現象に過ぎない可能性も否定できないからです。この因果関係の検討において決定的な役割を果たしたのが、家族性アルツハイマー病です。患者さんや家族には幸いなことだった思いますが、人…

  • 100年前に発見されたアルツハイマー病

    科学することの本質は、「因果関係の樹立」と「メカニズムの解明」です。そしてそのためには研究対象を詳細に記述しておかなければなりません。これは「現象論」や「博物学」と呼ばれるものです。研究は研究対象に名前を付けることからはじまります。アルツハイマー病研究もそのようにしてはじまりました。たとえば天文学では、古代に星や星座に名前を付けられ、16世紀以降、コペルニクス、ガリレオ、ケプラーらによって天体の運動が詳細に記述されました。数学的に惑星の運動法則化することに最初に成功したのはケプラーです。さらに、ニュートンやライプニッツが確立した微積分学によって古典力学の対象として発展してゆきます。その後、電磁…

  • 最新の生命科学により解明

    アルツハイマー病は当初臨床医学や古典的病理学の手法で行われていたため、なかなか原因を捕らえることができませんでした。しかし、1980年代頃から基礎研究が導入されて基礎が築かれ、1990年代に入って研究は飛躍的に進歩しました。その主役は、生化学(タンパク質化学)、遺伝学、分子生物学、細胞生物学、発生工学といった生命科学の最先端の分析です。今や、アルツハイマー病の基礎研究と疾患研究は互いに影響を与えるだけでなく、研究の現場ではすでに融合していると言ってよいでしょう。以降、20世後半から飛躍的に進歩したアルツハイマー病研究の現状と将来への展望を解説することにします。一部、専門的な知識がないとわかりづ…

  • 脳老化の特異性とその本質

    基本的に神経細胞は分裂後細胞です。つまり、肝臓細胞等と違って分裂し続けることができません。したがって、一度出来上がった神経回路を維持するためには、個々の神経細胞が個体の死まで数十年にわたって生存し続ける必要かあります。言い換えれば、脳の老化は他の臓器に比べて細胞分裂によって回復される割合が非常に小さいことになります。また、神経細胞は他の細胞に比べて物理的サイズが大きい上にエネルギー消費量が高いので、様々のストレス(虚血ストレス・酸化ストレス・カルシウム恒常性異状など)に曝されやすいことが知られています。このよう状況で、細胞分裂によらずに構造や機能な異常を修復・修正するためには、細胞内外の品質管…

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