第二章のはじめに

第二章のはじめに

宗教はこの世界を善と悪という単色の世界に落とし込み、人が皆、「不幸を退け幸福を追い求めている」としてより善の側の人間を鼓舞し、用いようとしてきた。だがしかし、もはやこの世に善悪などというものは存在せず、あるのは数え切れないほどの魂と、その魂同士が織りなす物語、ただそれだけなのだとしたらどうだろうか。 私という人間が、いかに形作られたのかについて考える上で、過去の出来事というものはとても重要なものである。私を取り巻いていた環境や人間関係、その中での役割分担。それらの全てがある時は型となり、ある時はシェルターとなって私を保護し、時に厳しく、時に優しく私を育ててきた。そして今、私もまたそ