破船
作者:吉村 昭 発表年:1985 『お舟様』 貧しき人々の物語。 破船 読んだのは、ずいぶんと昔。 また10分ほど乱読しなおして、こんな話だったっけ?と、思った。それは、物語の本筋ではなく、主人公を取り巻く環境、そんな時代が印象的だったからだろう。 あらすじ――― 伊作。9歳。 与作ではないので木こりではない。 隔絶され、貧しく、小さな漁村。 村の男や娘は年季で身を売り、村には老人、女子供しか残されていない。 伊作は、そこに生まれた。 伊作の父も3年の奉公に出ていた。 残された、伊作、母や弟妹たち。 伊作は、家族と生きつなぐために、海で得た魚や塩を、隣村のブツとブツブツ交換して生活していた。 …
2024/11/25 19:56