アユタヤで象に乗る
正月を迎えて静かに酒を飲んでいると、幸若舞「敦盛」の有名な一節である「人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり」がふと頭に浮かんできた。人間界の50年なんぞ天界のたった一日であり、それからすると人生は一夜の短い夢や幻のようなものだ、という大意である。確かに儚いのだが、私にとってはたった一度の大事な人生であり、でき得れば最期の瞬間まで意義あるものにしたいものだ。そこで、昨年初めて体験したものについて、つらつらと思いを巡らせてみた。それがアユタヤでの象乗りと、チャオプラヤー川を渡し船で渡ったバーンカチャオでの染め物である。記憶を辿ると、子供の頃、隣り町にある小さな動物園兼遊園地にインドゾウが飼われていたことを覚えている。国鉄に一駅乗らねばならなかったので、当時象を見るのは、我が家にとって一日がかりの行...アユタヤで象に乗る
2025/01/30 15:50