「郷に入っては郷に従え」という諺があるが、ロングステイにおける日に三度の食事は、概ねタイ料理である。もっとも私の場合は、予算の制約によるところが大きく、気軽にホイホイと繁華街の和食店や居酒屋に入れる身分ではない。日本ではタイ料理好きを自負していたものの、悲しいことに次第に飽きてくる。庶民のタイ料理は、基本味が濃く、油っぽいものが多いのだ。バンコク滞在もひと月を超えると、休日の定番朝食であるセブンイレブンのハムチーズホットサンドをとても幸せに感じるようになるし、毎日の夕飯用に誂える屋台の総菜類も、ソムタム(パパイヤサラダ)、ヤムウンセン(春雨サラダ)、焼き魚(ティラピア、塩鯖)、鳥胸肉焼き(オックヤーン)など、あっさり系のものを注文する頻度が高くなる。決して揚げ物が嫌いなのではなく、鍋に滾る油から引き上げら...トンリーのガイトート(揚げ鳥)