小説のブログ

東京フクロウ34

「新しい車買うから春になったらお花見に行こうって。ほら、いつか行った大きな滑り台のある所」「ああ、あそこはいいな、桜が綺麗で。そうだ、そうしよう」「うん。今日…

2024/06/30 12:04

東京フクロウ33

らかな寝息。目の前には翔の背中がある。駐車場までの石の階段を翔と静かに降りる。穏やかな気持ち。安らぎの何か。上手くは言えない。何だろう。何だろう。翔とミギコ。…

2024/06/30 12:03

東京フクロウ32

女は輝く様な笑顔を見せた。  「あら、いらっしゃい」エミは微笑んだ。翔は小さなブーケをエミに渡した。エミの顔がほころぶ。「いつもありがとう」「いいのよ、座って…

2024/06/27 14:00

東京フクロウ31

由樹は胸に感動を覚えた。「いえ・・・私なんて」圭太は少し顔を曇らせた。由樹がそれに気づく。帽子を深くかぶり視線を合わせずに尋ねる。「ミギコは・・・」由樹は少し…

2024/06/27 13:59

東京フクロウ30

圭太はミギコと翔の部屋に来ていた。ミギコの寝ているベッドの横の椅子に座る。「思ったより顔色がいいんで安心したよ」「うん」圭太の優しい笑顔。由樹はそれを見ながら…

2024/06/18 13:52

東京フクロウ29

「はい」「私がどうしてあの二人に目をかけてやっているかわかるかね」 高藤牧師は首を横に振った。「私はね、あの施設を出たんだよ」「そうでしたか」「翔は知っている…

2024/06/18 13:51

東京フクロウ28

事に行かれるそうです」「翔、体壊さないといいんだけど」「お仕事ですからね」「あたしのせいだわ」「ミギコさん」「翔、本当は何でも出来るの。あたしさえいなかったら…

2024/06/14 06:51

東京フクロウ27

「世の中、金だよ」 翔はそう言って部屋を出て行った。岩沢は言葉を失ったまま軽く項垂れた。高藤牧師が声をかける。「先生」「わかっとる」「先生の気持ちは充分に伝わ…

2024/06/14 06:50

東京フクロウ26

「確かにお前の気持ちはわからんでもない。出来る事ならわしがミギコの事を引き取ってやってもいい。だがミギコは言うんだ。お前がいい、と。お前の側にいたい、と。私は…

2024/06/10 14:10

東京フクロウ25

ちらも急所を狙って的中だ」 ヒロムは左のこめかみ、父親は首を撃たれている。「康平は」「暴れ出したんで寝かせてる」「鎮静剤打ったの」 岩沢は頷いた。翔は眠ってい…

2024/06/10 14:09

東京フクロウ24

真夜中過ぎ、翔は由樹に電話をかけていた。由樹は頷いた。翔は今夜は帰れない旨を告げ、携帯をポケットに閉まった。「綺麗なお顔に戻られましたよ」看護婦が声をかけた。…

2024/06/04 23:29

東京フクロウ23

「由樹さん知ってる？雪の結晶って心の綺麗な人にしか見えないんだって」「まあ・・・」「あたしには見えないだろうな」由樹は戸惑いの顔を見せた。ミギコの横顔。それは…

2024/06/01 02:40

東京フクロウ22

「お帰りなさい」「…どうも」 小声で話す。翔は鼻をひくつかせた。どこからかいい香りがする。「食事の支度、出来てます」「すいません、買い物代を」「それは頂きます…

2024/06/01 02:38