デリダとハイデガー(その1)
デリダの「精神について」(港道隆訳)は、抑圧されたものの回帰としてハイデガーの「精神」を捉えている。デリダは序論を難解にするというクセがあって、ツカミが悪いんだけど論述が進むにつれて問題が明確になると、俄然面白くなってくる。ハイデガーは「問われているもの」Gefragteを「存在」とした時点で、自らもそれが循環論だって気づいてた。なぜなら問うことFragenが存在を問うGefragteわけであり、しかも問いかけられているものBefragteが現存在なんだから、循環論であることは最初から自明なんだ。でもハイデガーが一度も問わなかったのは、まさに問うことFragenの特権的価値というか、なぜ問うことが問われなければならないのかという問いなんだ。デリダはそのことをまず指摘してる。結局のところ「存在と時間」はこの...デリダとハイデガー(その1)
2024/02/18 09:45