『オキシトシン』 第三話
満月だったのかもしれない。背中のニキビを、うっかり引っ掻いてしまった。鏡の前で身体をよじる。まあまあの血が出てしまった。「ねぇ、絆創膏貼って。」「うーん。」「背中の、ココ。」「うーん。……ごめん、無理。」「だよねぇ。」それから、しばらく、彼とは会わなかった。*「えー、まぢチョーえらい~!」すごいギャルみたいな褒め方してくる。「え、待って、ねぇココア作ってあげるぅ。」突然現れた彼。ひたすら褒めてくれる。事の始まりは、ついさっき。わたしは、悩みや不安や、過去の傷に引きずられてしまうことが多い。今目の前では何も起きていないのに、頭が余計なことを考えて、身体が反応して、静かにツラくなってしまうことが多い。でも、『どうすれば引きずられないか』を、たくさんたくさん試して、生きる術を身に付けてきた。だから、今朝も『ゆっ...『オキシトシン』第三話
2024/05/19 00:00