『給仕の室』 日下諗 感想

『給仕の室』 日下諗 感想

「給仕の室」(明治43年7月)は、高所から割りつけるような堅い論理的な文體で、サディスティックな同性愛を描いて、ある水準に達している。小宮豊隆が「旨いと思つたけれども厭な感じがした。それにしても、氣味を悪るがらせる程の力强い執着のある全篇の氣持が、何處かに人を牽き付けなければ止まぬ魔力を持つてゐる。近頃の文壇にこんな感じのするものは、先づなかつたと云つてよからうと思ふ。」と評した。ある官廳に勤める給...