月夜に溺れて 34
静まり返った続木の敷地を雪久は琥珀の手を引いて歩いている。何も言わずに彼女をここまで連れ帰ってしまった。明日も仕事があるのだから、あのまま寮へ返すのが良かったはずなのに、それすら選べずに手を繋いでいる。琥珀は何も言わない。ただ雪久の手を握り返しただけで。続木の洋館を通り過ぎて、奥の一軒屋にたどり着くと鍵を開けて琥珀を招き入れる。使用人の珠はすでに帰ったようで中はしんとしている。『どうぞ、あがって。...
2024/07/26 12:49
2024年7月 (1件〜100件)
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