いのちの時間

いのちの時間

「1日は24時間です。」そう習うが、本当に、陽が昇ってから沈むまでの時間は、均等で毎日同じなのだろうか。ブーケンビリアが白い壁伝いに咲き乱れ、潮風が吹くラバトの街。 ヒジャブを纏う女性たち。 日向ぼっこをする猫や、隅に座り込んで物乞いをする老人。 夕刻の鋭い太陽光。 滑らかなアラビア語の音。私が生きている世界は、本当に広いなあ。 どこまでも続く本棚に詰められた、大量の書籍のように、一生ではとても知り尽くすことができない。去年も、一昨年も、違う場所にいた。 好きに世界を歩きたくて、無茶をして、でもそれが心地よかったから。一年前の、コスタリカの海を憶えているかというと、その光景は写真頼りで、むしろ…