くじらの呼吸
マリノ・バジェーナ国立公園 朝の四時は、まだ闇の夜がずどんと沈んで静かだった。虫の声を聞きながら珈琲を飲んで、水着やカメラや日焼け止めをリュックに詰め込みながら、眠気を少しずつ取り除いていく。同じアパートに住むギニア人の友達とバス停まで歩く道で、少しずつ道が明るくなって、朝が来た。「私たち以外はみんな寝てるわね」。空っぽな道路で、彼女のフランス語が響く。坂の上から見渡すコロンの街は、まだ眠りの中だ。バスには30人ほどの国連平和大学の学生。毎日キャンパスで顔を合わせる皆と、こんな早朝から遠出をする特別感で眠気は吹っ飛ぶ。ふざけて笑い合って、朝ごはんを食べながらアメリカ人にスラングを教えてもらう。…
2021/10/27 14:51