【創作話】 桜風に誘われて⑥
第三章:投げ捨てた蕾 1. 三度目の朝、歪んだ諦観と投げやりな決意 瞼に差し込む光の感触で、またしても「あの日」に戻ってきたことを悟った。三度目の、葉桜高校入学式の朝。もはや驚きも、新鮮な絶望もない。あるのは、全てを経験し尽くしたかのような、歪んだ全能感と、それゆえの底なしの諦観だった。 「……どうせ、また同じことの繰り返しなんでしょ」 呟いた声には、何の感情も乗っていなかった。一度目は臆病で何もできず、二度目は焦って行動しては裏目に出た。どちらの道も、行き着く先は袋小路。ならば、三度目の私はどうすべきか? 答えは、もう考えるまでもなく分かっていた。 何もしない。努力しない。期待しない。 だが…
2025/05/31 19:00