【創作話】18話 指先の蜃気楼③
第三章:甘美な罠 最初のデートの後も、二人は頻繁に会うようになった。平日の仕事終わりに食事をしたり、週末には美術館や少し遠出して景色の良い場所へドライブに出かけたりした。涼介と一緒にいる時間は、美咲にとって安らぎそのものだった。彼はいつも美咲を気遣い、決して急かすことなく、ゆっくりと関係を深めていこうとしてくれているように見えた。 仕事で大きなプレゼンを控えてナーバスになっていた時、涼介は夜遅くまで美咲の相談に乗り、「美咲さんなら大丈夫。自信を持って」と力強く励ましてくれた。プレゼンが成功した日には、彼は「お祝いしよう」と言って、少し背伸びしたレストランを予約してくれた。そこで贈られた小さな花…
2025/04/30 19:00