下僕からの献上品

下僕からの献上品

我は不機嫌である。なぜに?それは、下僕と信じていた人間に爪を切られたからじゃ。人間はご機嫌で眠っていた我の爪をーーパチリパチリと、それは無造作に切りおったのじゃ。我は怒っておる。チュールでは誤魔化されん。我は苛立ち紛れに腕を振り上げ、空間を1薙(なぎ)した。その爪がなにかに当たると同時にーー。「キャッ」と、真横から面妖な声が…。見ると、下僕が我の姿に目を見張っておる。なんじゃ、その珍妙な声は。まるで、この間、我に引っ掻かれて血を流したときのように…。そうか、我が空間を薙ぐと、下僕にダメージを与えるのだな?では、これではどうじゃ?我はカーペットに爪を立て、パリパリと切られた爪を研いてやった。じゃが、下僕は「そこならいいや」と読みかけの本に視線を落とした。ん?なんじゃ?場所によって、下僕に与えるダメージが違う...下僕からの献上品