秋風
お盆を過ぎても蒸し暑い日々が続いていたが、今年は3年ぶりに花火大会が開催された。さすがに中止、中止の鬱憤が溜まっていたのか、見物客も多く、花火の内容も、以前とは比べようもないほど豪華だった。とはいえ、ドンドンと雷鳴のように響き渡る音を聞きながら、いつものように玄関側で花火見物ということはしないで、テレビのライブ映像を観ていた。玄関を出て、下を見下ろせば、堤防に集まった大勢の見物客。淀川の上流側を見れば、毎年眺めてきた花火が打ち上がっている。本当に久し振りだなと思ったのも刹那、幼くして病気で逝った近所の女の子の姿がフラッシュバックした。その子は弱った体で、最後にこの花火を見て、その年に逝った。元気で明るかった子が、声も出せないほどになって、最後に見た花火はその瞳にどう映ったのだろう。あれから13年。まさか花...秋風
2022/08/30 13:44